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バンド界隈の展望

こんにちは、JC HOPPER Jr.のクワバラです。

少々期間をあけての投稿だが、前回同様リクエストに応え、自分なりの意見を投じる所存だ。

今回は「バンド界隈の展望について」だ。

バンドの展望について正直な気持ちを白状すると、ムーブメントとして今後バンド界隈が勃興し、大衆に認知される確率はかなり低いと言っていいだろう。

では何故バンドマンである僕が、界隈に対して悲観的な意見を有しているのか、その根拠を僕なりに述べよう。

1番目の理由としては、バンドという形態を始める・続けるハードルが他の音楽形態に比べて非常に高いことが挙げられる。

この理由について詳しく述べる前に、この記事を読んでいる人たちには「他の音楽形態では得られず、バンドからしか得られないもの」とは何かを考えて欲しい。

バンドをしている身として、その答えは「仲間」と一つの同じ音楽に向き合い、そして音楽をライブハウスで、ライブというナマモノで表現することにあるだろう。

複数人が同じ一つの曲に向き合う作業はバンドの醍醐味だし、更にライブという現場で自身の曲を披露、そしてファンやフォロワーを得る……皆バンドマンが思い描く理想のバンド像は、きっとこれと同じか、もしくはそれに近しいものだろう。

しかしバンドという代物を始め、続ける難しさはここにある。

2020年のコロナウイルスの流行によって、多くのライブハウスやバンドは大きな打撃を受けた。コロナウイルスの危険度やら感染やらをここで論じるつもりは毛頭ないが、事実として2020年の時点では人々の外出を妨げ、コロナは人を死に至らしめる恐れのある、非常に厄介な代物だった。

そんな中でライブハウスも積極的にライブをブッキングするなどという行為もできるはずもなく、当時大学に入学したての僕も、憧れのバンドを高校の時の知り合いたちと組んでみたはいいものの、結局1年で僅か1回しかライブに出演することができなかった。

つまりこの期間の間に、少々バンドの熱というものは界隈全体を通して、やや下火になってしまった。これはバンドだけでなく、全てのエンターテイメントに共通して言えることだ。

バンドを組むにあたっては、一般的に「ギター」「ベース」「ドラム」のメンバーが必要になる。そしてその3~4人の予定を都度すり合わせて練習やライブを講じ、スタジオ代やライブハウスの出演費を出すという精神、時間とお金を消費し続ける作業は非常に根気の要する作業だ。

具体的に言うならば、楽器を買うにしても、ライブに使える機材を揃えるとなれば、ギターならば、竿(ギター)、エフェクター、シールド、ストラップ等を合わせても5、6万~は覚悟しなければならない。(もちろんこれは最低限の支出。更に音作りをこだわるとなれば、そのコストは跳ね上がる)

さらに機材を揃え、いざ一度のライブに出演するのに1~2万円程度のノルマ、そして1回の練習は交通費を含めれば1000円~2000円程度。これがバンドによっては月に何万円もバンドマンの肩にのしかかってくる。

またコロナを経て、この数年でYoutubeやTiktokなどのSNSも目覚ましい発展を遂げ、気軽に配信といった音楽の発信方法も誰でも可能になった。

音楽をやりたい、という理由だけであればコロナウイルスによる社会情勢の中、「わざわざバンドで音楽をやらなくても、弾き語り・打ち込みなどの音楽で、路上ライブをやったり、配信をやったりした方がお金も時間もかからないし、いいんじゃない?」と多くのバンドマンが普段考えないようにしているバンドのデメリットに気が付いてしまい、バンドから離れてしまう。

「ライブハウス」に出演して「ライブ」をして、「仲間」と演奏をする……これがバンドにとって最大の魅力でありバンドをやる上での最大の欠点なのだ。

2つ目の理由は、「そもそもバンドは音楽の業界全体からみれば、流行っていない」ことが挙げられる。

日本において、90年代は所謂バンドブームと呼ばれるバンドにとっての黎明期であり、様々な形態のジャンル・編成の個性豊かなバンドの走りが誕生し、ラジオやテレビの当時のメジャーなメディアがそのバンドを取り上げ、ファンを獲得するムーブメントが確立されていた。

現在も続いている音楽番組「ミュージックステーション」も、現在に比べてバンドの出演数は多かったし、更には純粋なバンドの腕前や才能を審査員が見定め、メジャーデビューへの道という大きな夢をバンドマンたちに与えた「いか天」も、この時代に放送されていた。

しかしながら音楽も時代の流れと共に進歩を遂げる。(進歩ととらえるのか否かはおいておいて)日本だけでなく、韓国から輸入された、遥かに練度の高いダンスを披露するアイドルグループや、現在ではロック、バンドと同等以上の市民権を獲得したヒップホップクルーなどがお茶の間に顔を出している。これは当時の音楽のシーンから鑑みれば、あり得ない光景だ。

つまりメジャーな音楽業界は現在、ロックやバンドが以前のように介入するのが困難なほどガラパゴス化してしまい、ステレオタイプのようにメジャーシーンにて認知されるに至るには、今まで以上の苦痛の中で並み居るライバルを打ち倒し、その座に座る必要が生じる。

上記にあげた理由のように、音楽ジャンル全体からみればバンド界隈というものは苦境に立たされているのかもしれない。しかしながら、個々のジャンルを注視してみればまだまだ開拓できる余地は十分に存在している。

更にこれは理屈ではないが、上記につらつらと並べた文章も所詮は「頭でっかちなその他大勢の雑言」に過ぎない。きっと僕たちが憧れ、バンドを始めたいと願ったきっかけのバンドたちは、こんな些末なことを考える愚かな真似はしなかっただろう。

一度バンドを始め、これで飯を食いたいと思ったのだから、さっさと自分の人生くらいの駄賃くらいは賭けてしまおう。今この瞬間もバンドと向き合う同志たちが、こんな稚拙な文で心迷うことがないことを願うばかりである。


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