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『チョコレートドーナツ』と日本の同性婚

今回は本ではなく、映画『チョコレートドーナツ』(原題:Any Day Now)を見ての感想文です。珍しく邦題がいいですよね。

法律の無情さ

この映画を見るまで「同性婚」というワードこそ知ってはいたものの、結婚の法的な効果について考えたことがありませんでした。認識していたのは、戸籍上の名前が変わるということぐらいでしょうか。

同様に同性婚を認めることに向けた運動については、LGBTに対する偏見差別をなくすためという観点からでしか考えていなかったのです。

しかし、いざ調べてみると同性婚が認められない中でLGBTの人がいかに生きづらいかというのを目の当たりにします。

まず映画でもあるように親として子どもを育てても親権者になれない、相続ができない、国籍を得られない、怪我・病気の際にたちあえないということがあり得ます。

これってバリアフリーとかと一緒で、当事者からすると圧倒的に不便で理不尽であるにも関わらず、多くの人にとってそれは当たり前過ぎて視界に入ることがない話なんですよね。

自分の場合機材を車輪つきのキャリーに乗せて電車→街中を移動する機会が多かったのですが、その際にいつもの倍以上の時間と体力が移動にかかりました。しかも周りからは嫌な目で見られるという、、

身体になんらかの障碍を抱えていて車椅子移動などをしているような人たちは外に出かけるたびにそういう思いを覚悟しなきゃいけないのだなというのを思ったのを覚えています。

財産の相続でも親権でも、配偶者に対して「当たり前」に成立するような考え方が、法律が「ない」というだけで通用しなくなるということに衝撃を覚えました。

その観点から見れば、今の日本で同性どうしの婚姻が認められていないというのは法律の欠陥であり、憲法制定時の想定外に他ならないと思うんですよね。

ただ「当たり前」に存在するはずの選択権と権利を認めることにメリットやデメリットを推し量るのもおかしい話なのですが、社会や経済に対する影響や変更によって発生するコストを考えても、デメリットはないのでは?と思ってしまいます。

世界で認められる同性婚

世界と比べて日本がどれだけ遅れているかということについても調べてみるまで知り得ませんでした。

世界では2001年に初めてオランダで同性婚が法律で認められました。2015年にはアメリカでも合法化され、29の国・地域で同性婚が可能になっています。

しかしアジアで同性婚が認められているのは台湾のみです。むしろ犯罪化されている国の方が多いのが現状です。

親たりうる資格とは?

映画の中では同性愛者が親権者になることが子どもへの悪影響になるとする考え方も言及されていました。

これを指摘されてルディとポールは法廷ではっきりと反論ができなくなってしまうのですが、まあ自分たち自ら反論するのは難しいですよね。

むしろ自分が親として充分だとはっきりと言い切れるような人っているのでしょうか?

完璧な人がいないのと同様に完璧な親も存在しないはずで、だからと言って子どもを育ててはいけない、子どもは親の価値観や能力の囲いの中でしか成長できない、というわけではないと思います。

この映画でも示されていると私が考える、親が親たりうる資格というのはそこに愛情が存在するかどうかではないかと思います。

子どもは親から愛されているという自覚を何よりも求めているし、それがどんなことよりもどんな時でも救いになってくれると思うのです。

私は子どもを持ったことも育てたこともないので、あくまで子ども目線での意見ですが。

できること

2021年3月の朝日新聞での調査ではすでに日本でも65%の人が同性婚を認めるべきと答えています。こういうことについてはまずは自分の中で考えて、調べて、話して意識を変えることが大事だと思っている派ですが、下記でネット署名も募集しているようですので、リンクを参照させていただきます。





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