進路や就職先を決めるためにどうすれば良いか?【進路が決められない人向け】
こんにちは!
"どこに生まれてもどんな環境にいても、世界中の生き方に触れられるようになり、より良い人生を考えることができるようになる"
をミッションにしているCenaka Mediaです。
「特集:進路未決定研究」ここまでの3回で
・自分の未決定タイプ
・未決定の人はなぜ決められないのか
・決定した人はなぜ決められたのか
に触れてきましたが、最終回となる#04ではいよいよ「決めるためにはどうしたら良いか?」に触れていきます。
決めるためには、
・探索行動がやはり最も必要
・それらの行動の中で「職業情報」「自己についての知識」「意思決定スキル」を得ていくことが重要
という結果でした。
若松養亮『大学生におけるキャリア選択の遅延 そのメカニズムと支援』(風間書房, 2012)にて考察されている内容を中心に紹介します。
結論:「探索行動」を通して3つの領域の情報・スキルを得ることが大事
1)職業情報
2)自己についての知識
3)意思決定スキル
『行動が大事』は、やはりという結果ですかね・・・!!
もとより何事も行動が大切と言われることが多いですが、未決定研究においても、進路や就職先を決める上では「探索行動(情報収集や外的活動)を行うことが大事」だという結論に至っています。
ただ、以下が学びポイントになるかと思います。
未決定研究では調査や分析を通して、
・どんな探索行動(情報収集や外的活動)があるのか
・その探索行動を通して得るべきもの
を整理してくれています。
具体的には、3つの領域の情報やスキルを得ることが重要と考察されているので順に紹介していきます。
・進路や就職先を決めようとして決められない人
・上首尾に決めたいと思っている人
という方に参考になる情報かと思います、それではどうぞ!
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①探索行動が不可欠
具体的には、以下のような探索行動(情報収集や外的活動)を通して、情報やスキルを得ることを目指していきます。
とはいえここには目新しさはあまりないかなと思います、自身の行動を振り返る・今後の行動の予定を立てる際に使っていただければと思います。
▶︎情報収集の方法(こんなことをしてみる)
- 特定の職務や会社について情報を手に入れた
- 自分が進める進路にはどういうものがあるか調べてみた
- 興味がある進路の特定の領域について情報を探した
- 今の進路からどんな職種にどのくらいつけそうか情報を集めてみた
- 進路の方向を考えるのに役立ちそうな催しものにいろいろ出かけた
...etc
▶︎外的活動の方法(こんなことをしてみる)
- ある役割を好きになれるか、試しにその仕事についてみた
- 同じ学部・専門の人で進路のことをよく知っている人と話をし始めた
- さまざまな進路での活動を試みた
- 自分が持っている技能を発揮できる機会を探した
...etc
上首尾な進路意思決定を行うためには、自分自身を正確に評価したり、周囲 から情報を収集する「(進路)探索行動」が不可欠であるとされています。(Jordaan, 1963; Chickering, 1969; Harren, 1979; Stumpf, Colarelli & Hartman, 1983)
例)教育学部の場合:
- たとえすでによく知っていて情報も入手しやすい「教職」という選択肢のみを念頭においていても、教育実習や子どもと接した経験や見聞きした情報をもとに、改めて志望を吟味・検討し、確信する
②行動を通して、3つの領域の情報やスキルを得る
1)職業情報
2)自己についての知識
3)意思決定スキル
「どんな情報やスキルを得ればいいのか?」について本書では、調査で得られた結果と先行研究の知見や近年の理論を合わせた中で、"Fretz(1981)のキャリア選択への介入"を取り上げまとめています。
それぞれがどんな情報やスキルかは名称の通りですが、得る上で重要になるポイントを順に紹介していきます。
1)職業情報
進路を決める上で当然欲しい情報ですが、未決定研究においても重点が置かれています。
具体的には自分の「興味・好み」を現実の選択肢と対応させるために必要になってきますが、情報を得る方法にポイントがあります。
それは「自らの体を使って探索する」ことです。
まさに"百聞は一見に如かず"。
講義のみなどで情報を得たとしても、実際の意思決定には反映しづらい情報になってしまう、とされています。
- ある役割を好きになれるか、試しにその仕事についてみた
- さまざまな進路での活動を試みた
といった探索行動、具体的には自らの体を使うインターンシップや職場体験などで、ある程度以上の時間やコストをかけて探索することがより良い意思決定をするためには重要です。
注意点
就活においては一旦のタイムリミットがあるため、意思決定のスケジュール感を早めに把握しておく
今時はネットなどでスケジュール感の確認は容易かと思います。
#02で触れたように、オープン・モデルの性質ゆえ、選択肢を探索・吟味しようとしても際限がないように感じられることから、その探索にタイムリミットを課し「この時期までにより良い選択肢が見いだせなかったら、そこから選ぶ段階に進む」といった意思決定までのロードマップを示すことが支援の視点からは必要とされています。
しかし、納得していない段階で、自分自身の意思のみで「次の段階に進む」という決断を行うのは難しいため、早めに動き出すことが1つの対策になるといえます。
2)自己についての知識
「自己分析」に該当する部分になります。
ここのポイントは、「探索行動と併せて自己分析を行う」ことです。
自己内省的な探索だけで自己分析を進めようとすると、その決定に対する納得感が低いことと関連が見られており、時間を多く使ったとしても信頼できる分析結果になる可能性が低いです…。
そのため、職業の情報に触れることで、自分が興味がもてるものともてないものが複数意識化され、それを抽象的に洞察することによって自己理解が進み、その自己理解によってさらに探索すべき職業情報が絞られるという循環を回せるように、探索行動と併せて自己分析を行ってみてください。
ちなみに本書の中では、具体的なツールとして「職業カードソート技法」が紹介されていました。
https://www.jil.go.jp/institute/seika/ohby/index.html
50枚におよぶ多様な領域の職業の図版が表の面に、職業名と解説が裏面に書かれ たカードであり、「選択する」、「選択しない」、「考え中」の三分類にカードを分け、さらにその理由などを探索的に考えさせるもので、職業情報の収集に際しての方向付けだけでなく、自己理解も促進できる仕組みになっているとのことです。
Cenaka Mediaでもまだ試せていないので、試せたら具体的な使用感を記事などで紹介できたらと思っています!
3)意志決定スキル
「意思決定スキル」については、意図的に得ようとしていた方は少ないかと思います。この分野については古くから多くの支援の試みが行われてきているとされていますが、今回はその中でも自身で活用できそうな部分をピックしました。
具体的には、進路選択の自己効力感を高める行動です。
自己効力感とは?
- 自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること
Bandura(1977)は自己効力感を高める4つの情報源を提起しています。
・遂行行動の達成・・・成功体験
・代理的経験・・・自分と似たような立場の他者(モデル)が成功するのを見聞きすることによって、あたかも自分事のように感じ取り、自信をつける
・言語的説得・・・ある行動に対して他者から繰り返し認められたり励まされたりする
・情動的喚起・・・身体や心の中で起きた生理的・感情的な変化を体験する
最も強力と言われる「遂行行動の達成」(成功経験)については、在学中の職業・進路の意思決定の場合には難しい中、本書では「代理的経験」を取り上げました。以下のような活動をこの領域においてはオススメします。
・就職活動経験者の体験報告を読む
・所属コースやサークルの上級生から話を聞く
・インターネットで就職活動の経験者の談話を読む
・SNS等を使って経験者の意見を聞く
まとめ
いかがでしたでしょうか。
決める上では、
・探索行動がやはり最も必要
・それらの行動の中で「職業情報」「自己についての知識」「意思決定スキル」を得ていくことが重要
という内容を紹介してきました。
人の数だけ取り組み方があるような進路決定活動や就職活動ですが、それだからこそ何を軸にしたら良いか分からず、迷いも生じやすいです。
今回の特集で取り上げた内容は「なんとなく分かっていた」「改めての確認になった」という情報も多いかと思いますが、学術的な調査研究、また多くのサンプルを経た上での結果による情報となると、受け取り方も少し変わってくるのではないかと思っており、Cenaka Mediaとしては進路意思決定のサポートをする身として、そこを重視しています。
今回は未決定研究の特集だったため、根元の情報が多かったと思いますが、さらに実践的な内容については、今後調査を進め記事にしていきたいと思います。
例えば、
・職業情報を学ぶのにオススメのインターンシップ企業紹介サービスは?
・意思決定スキルを得るために、上級生にはどんな質問をしたら良いのか?
・オススメの自己分析ツールは?
全4回にわたってお付き合いいただきありがとうございました!
今回の特集が、少しでも進路や就職先を決めようとして決められない人のお役に立てたら幸いです。
ありがとうございます!いただいたサポートは書籍代に充てさせていただきます。(本が好きなので)