まずは自分のタイプを知ろう。膠着型か途上型か?【進路が決められない人向け】
こちらのnoteは下記特集の#01になります。
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タイプが全てではないけど、知ることで進路・キャリアの悩みは表現しやすくなる
進路未決定研究を特集することが決まった時、最初に投稿したい!と思ったのが、未決定状態の「タイプ」についてです。
なぜかというと・・・これまで行ってきたインタビューの中で、悩んでいる多くの方々が、進路・キャリアに関する漠然とした悩みを、自分だけではうまく言語化できずに苦労しているのを見てきたからです。
各々抱えている悩みを自分で測るしかないため、言語化は進みづらく、それゆえに対処法を導き出すのが難しいという構図が覗けました。
そんなタイミングで出会ったのが、今回紹介する、未決定状態における「2つのタイプ」です。
これを使えば、例えば「2つのタイプの内で、自分はどちらかというと、こっちに該当しそう・・・!」と表現できるようになり、それに紐づいた対処法も正しく導き出しやすくなるのではないか、と考えました。
もちろん定義が全てではなく、当てはめられるのが好きではない人もいるかと思います。(自分もそうです)しかし、共通認識が1つあれば、それを元に、自分がズレを感じていることを伝えるなどの表現も可能になります。
そしてそのタイプが、公的な研究で扱われているものであれば、より信頼性は増すと思いました。
とはいえ、広まっていないものをいきなり世の中に伝えていくのは難しいので・・・笑
この記事をきっかけにさせていただきました。皆さんには、研究で用いられているタイプの定義を知ってもらい、「自分はどういう傾向があるのか」を考えるヒントにしてもらえたら嬉しいです!
2つのタイプ「膠着型」と「途上型」
ということで進路未決定研究では、未決定状態を2つのタイプで定義しています。(今日のnoteで最もお伝えしたいのはこれ)
ざっくり書くと・・・
①進路選択以外の領域でも意思決定が苦手なのが、膠着(こうちゃく)型
②進路を決めるための情報が 十分でないのが、途上型
です。それぞれのタイプの特徴を図でまとめてみたのでご活用ください。
どちらのタイプに該当しそうでしょうか。
ちなみに人数的に、多く見られるのは途上型です。
研究においても、最終的に決定するまでは誰でも未決定とも言える(竹内・秋田, 1996) ことから、途上型の多くが「発達の過程でふつうに見られるもの」(Slaney, 1988)と扱われており、主に研究されていたのは「膠着型」でした。
ただ近年、途上型に相当する未決定を軽視すべきではないよねという流れが生まれており、知見が増えているため、このnoteに繋がっています。
「じゃあ、この"進路を決めるための情報"って一体どんなものがあるの?」という質問については、#02以降で書いていきます。
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下記の内容は、さらに2つのタイプについて知りたい、または「本当なの?」と疑問を持っている人向けの内容になります。笑
Q.2つのタイプって明確に区別できるの?
A.おっしゃる通りです。
実はこのタイプ定義に関する話、現在も一筋縄ではいっていません。むしろ、このああでもないこうでもないというやり取りに、悩みというもののリアルが詰まっていて、今後も議論が進むところだと思います。
今回は、タイプに関する指摘を以下にて3つ紹介させていただきます。
指摘1)「膠着型」と「途上型」の相違は実証的に確かめられていない(Slaney, 1988; 竹内・秋田, 1993)
近年でこそ、膠着型を途上型から識別するための指標“indecisiveness”を測定する系統的な尺度が開発されました(Germeijs & Boeck, 2002)が、測定されるのはあくまでその傾向の強弱であり、質的な差異のある群の判別ではないとされています。
指摘2)25歳未満の年齢では「膠着型」とは断じられない(Salomone, 1982)
Crites(1969)は、「選択条件が最適なときにも決められないのが膠着型」と述べましたが、「選択条件が最適」かどうかは客観的には判断しづらく、また判断できるのはせいぜい事後(Osipow, 1999)であろうという見解をもとに。
指摘3)類型論的概念ではなく、特性論的概念として扱った方が妥当である可能性がある(若松, 2009)
>>類型論・特性論とは?
類型論:性格をいくつかのカテゴリにわけ、ある人がそのカテゴリのどれに属するのかを見つける考え方(例:動物占い)
特性論:性格をいくつかの要素に分け、その要素がどの程度備わっているかという側面から性格をとらえる考え方(例:ゲームのステータス)
↓類型論と特性論についてはこの記事が参考になります
Q.Cenakaではこのタイプをどのように扱うの?
「途上型」の解決を中心に研究、ソリューション解決を行っていく
理由:ミッションとの整合性からです。発達の過程でふつうに見られるもの、とされているものの、社会の変化スピードの上昇から、悩む場面に遭遇する人は増加すると考えており、無視できるものではないと考えています。
また、「類型論的概念ではなく特性論的概念」の視点も大いに活用できればと思っています。サービスのUXを考える視点では「情報の入って来やすさ」も重要な部分だと思うので、あらゆる可能性を無下にせず、最終的には、悩んでいる人のより役に立つような設計を提案していければと思います!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
とは言っても今回は2つのタイプを紹介しただけですが・・・!🙇♂️
しかし、自身の状況を客観的に見るための材料は重要だと思っています。そんな中で、現状を俯瞰するためのヒントに少しでもなっていれば幸いです。
次回は、より気になっている人が多いと思われる「未決定者はなぜ決めていないのか」に触れていきます。お役に立てれば幸いです。
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