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2023年のベスト本①:サスペンス?恋愛?本音と建前が交差する大作

こんにちは。
2023年もあと3日。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?

今年もいろんな挑戦、挫折、喜び、悲しみがありました。
特に10~12月は公私ともにバタついたなぁと感じており、久しぶりにゆっくりと文章を書いています。

(散らかった仕事は、納まっている気がしませんが。)
(引っ越した家も、まだまだきれいにする余地がありますが。)

文章を書けなかった日々は、やはり浮かんでは消えてしまう感情が多く、
とても勿体ない気持ちになったりしました。

「ちゃんとしたアウトプット」を目指してしまうあまりに、
継続ができずに頓挫していたことが原因な気がする。

だから、執筆においては小さくてもすこしずつ、
継続することをテーマにしたいです。

「では何を書くか?」

そのような中、
今年も読書は続けられていた活動なのではないかと思います。
ということで、書くことを再開するにあたり、
まずは読んだ本の感想を記載したいと思います。

年の瀬なので、2023年に読んだ本の中でも、心に残ったものを。

2023年のベスト本①

あらすじ
婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。

【ざっくりとしたあらすじ】

婚活アプリで出会った二人の物語。

真実は自分の意思が弱いように思える性格をしています。
そんな真実でも婚活がうまくいかないコンプレックスを持った状態であり、その悶々とした想いが募り募って、ある日突然姿を消してしまうところから物語が始まります。

一方架は、真実が夜遊びなどせず、堅実に日々を暮らしていると感じていました。だからこそ、驚きとともに不安や焦りを感じて、ストーカーの被害なのではないかと捜索を始めます。

その行方を探る中で、真実の過去を解きほぐしていくことになり、姿を消した本当の理由や、真実の素顔が見えてくる1冊です。

【感想】

「人生で一番刺さった小説」の帯にある通り、心がえぐられた小説でした。
日常の中でも起こりうる心の機微の数々だなと感じました。

過去を解きほぐしていく中で出てくる真実の「傲慢さ」。
たとえば、本当は鬱陶しい過去を捨て去りたかったり、
結婚を踏み切ってもらうための狂言をつくったり。

一方で架にも「傲慢さ」はあり、
たとえば「真実はいつだって自分のそばにいる」と考えていたり、
心のどこかで、結婚相手を値踏みしていたり。

こんな感じで、二人の関係には小さな偽りがちりばめられている。
それでも、相手を第一に思っているように見せる、二人の「善良さ」。

読み終わった後、タイトルの意味をもう一度かみしめられるような1冊です。


精算したい過去や、自分のごく一部だけ知っている人間関係など、煩わしいと思うものをすべて消してしまいたい気持ちは、わからなくないなと感じました。

特に、SNSやアプリなど、「もう一人の自分になれる場所」「自分をリセットできる瞬間」がたくさんある現代では、「偽りの自分」をいくらでもつくりだせると思います。
だからこそどこかに心当たりがあって、現代の読者には「刺さる小説」になるのではないかと考えました。

同時に、これから自分が関わっていく人たちとの関係では、
なるだけありのままの自分でいたいとも考えた1冊でした。

サスペンス(というかミステリー?)要素がありながら、読み進めると恋愛小説としても成り立っていく感覚が、とても楽しく一気読み不可避な作品です。

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