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2023年のベスト本②:捉え方で、見える世界はこんなにも変わる。大切なことを教えてくれた、優しい物語。

おととい髪を切りに行ったんですけど、美容師さん(35)が、「30代になると肌が乾燥してくるんですよ」ってぼそっと教えてくれました。

確かに最近痒いことが多かったのはそのせいなのかもしれないと思い、帰ってから保湿クリームなるものを塗ってみました。
これまで放置してきた肌が、いい感じに潤ってくれると良いのだけど。

本格的にスキンケアを始めようと思った32歳の年の瀬です。


前回に引き続き、本の紹介を

さて、先日に続き2023年に読んだベスト本をもう1冊紹介できたらと思います。

中年にして歩合制の保険営業に転職し、三年目の修一。
しかし、なかなか思うように成果が上がらない日々を過ごしていた。

ある日、唐突な担当顧客の大量解約を受け、
いよいよ金銭的にも精神的にも窮地に追いやられてしまう。

妻が楽しみにしていた海外旅行計画はキャンセルするしかない。
娘は不登校に陥っているうえに、今後の学費の工面も難しくなるだろう。
さらに長い間帰れていない実家で一人暮らしをしている、母からの電話が心にのしかかる。

「……なんで俺ばっかりこんな目に合うんだよ」

思わず独り言を言ったそのとき、
ふと目の前に、タクシーが近づいてくるのに修一は気がつく。

それは乗客の「運」を「転」ずるという摩訶不思議なタクシーで――?

【ざっくりとしたあらすじ】

営業成績がピンチな保健営業マン、修一の前に突如現れた「過去からの使者」。
「私はあなたの運転者です」と言って、心が疲れ切った修一を幸運へと導いて行きます。

しかし、目先で起こる事象は、幸運そのものというわけではないし、修一に劇的な変化をもたらすわけではありません。
一番の問題は、その事象を見過ごしてしまっていることと、捉え方の問題だったのです。

【感想】

このような出来事は、自分の生活の中でもよくあるように思います。
ついていない時や、うまくいかない時は、周りを疎ましく感じたり、時にうまく行っている人たちを見ることを、辛く思ったりすることもあるでしょう。

それでも、自分も何かを与えられた上で、今ここにいるんだと改めて考え直すことが大切なんだと、この物語を読むと感じられます。

穿った見方かもしれませんが、卑屈になってしまっている修一を見て、心を穏やかに周りを見ることができていない状態が、いかに寂しい時間かを知ることができました。


「今の自分があるのは、過去の誰かの頑張りがあったから。」
「世の中は、誰かが頑張る姿からもらったエネルギーの集合体。」

平易に読みやすい文章の中で、こういった言葉が繰り返し使われています。

「与えてもらった分、それらを受け継いでいけるように生きていかないとね。」
と思わせてくれる、優しく穏やかな気持ちになれる作品です。

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