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【海洋ごみ問題のソリューションについて】回収した海洋ごみの価値

私が代表しているクリーンオーシャンアンサンブルは、皆様からの支えのおかげもあり、着実に実績を積みあげ成長することができています。
改めて応援・サポートいただきありがとうございます。

今回の記事では、2020年から約4年間、海洋ごみ問題に取り組んできた経験から問題の複雑さと構造を改めて説明し、その上で私たちがフォーカスしている希望のレバレッジポイント・挑戦していること・出したいインパクトを詳しく書いていきます。

今回、この記事を書こうと思ったきっかけは、
私たちの取り組みを説明する時に、海洋ごみ問題の理解度がどれだけ深まっているか・それぞれが持っているフレーミング(事象の捉え方)によって説明する内容が変わってくるためです。
特に5分ピッチ等での短時間での説明の場合は、本当に伝えたいことが伝わってないかもしれないと思うことが増えてきたからです。

既に先輩たちが行なっていた類似の取り組みは、ほぼ一通り試してきたからこそ、ニュースや検索でわかる表面上ではない深掘りした構造の理解ができました。
自分たちが出したいインパクトには届かないと思った既存のアプローチは枝葉を切ってきました。
これは先輩方や他の方がやられているアプローチを否定しているというよりは、出したいインパクトに対してアプローチが足りてないなら自分たちで作ろうという考えです。

もう少し誤解のないように書くと、
同業他社として喧嘩したいわけではなく、自分たちの独自のポジショニングを明確にして同じ業界の仲間と協力できるところは協力していこう。
業界やマーケットを一緒に広げていこうという考えです。

世界と日本の潮流を踏まえて、どこに焦点を当てて私たちが挑戦しているのか、私たちが作ろうとしているソリューションと今後のビジョン・それを達成する上での課題についても書いていきます。


悪化する海洋ごみ問題


2050年には魚よりもごみの方が多くなる

※引用:エレン・マッカーサー財団

そもそも海洋ごみ問題の何が問題なのか


まず初めに海洋ごみ問題とはそもそも何が問題なのかというところから説明していきたいと思います。

一言で何が問題かと言うと、
ごみが海に放置され続けることによる様々な悪影響が問題です。
特にプラスチックは半永久的に分解されないので回収しない限り、悪影響を及ぼし続けます。

様々な悪影響は私たちの経験の中で、大きく分けて3つに整理しています。

①世界の経済損失が年間1兆円以上あること(漁業・養殖・海運・観光等)
※引用:OECD 「 Improving Markets for Recycled Plastics」(2018)

②世界の生物多様性損失において、既に約700種以上に被害が確認されていること(魚類、哺乳類、鳥類等)
※引用:WWFジャパン 「海洋プラスチック問題について」(2018)

③人間の健康被害の可能性が懸念されている(マイクロプラスチックによる食物連鎖汚染)
※引用:環境省「令和2年度 海洋ごみの実態把握及び生物影響把握等 に関する総合検討業務 報告書」

数字で見る海洋ごみ問題の現状


次に数字で現状を確認していきたいと思います。

①年間海洋プラごみ流出量は世界で約170万トン(毎年新しく海に出ているプラごみ量)
※引用:OECD 「Global Plastic Outlook」(2022)

②世界の海洋プラごみ堆積量約3000万トン(既に流出していて海に放置されているプラごみ量)
※引用:OECD 「Global Plastic Outlook」(2022)

③日本の海洋ごみ流出量約2万トン〜6万トン
※引用:環境省「海洋ごみをめぐる最近の動向」(平成30年9月)

何万トンという数字を聞いても、数値が大きすぎてよくわからないと言う意見をよく聞いてきたので、私たちの現場の経験から説明したいと思います。

下の写真は海岸に漂着していたペットボトルだけを計量した時の写真です。
重さは1Kgほどでした。

海洋ペットボトルごみをごみ袋(30L)で回収した時の写真

この袋が1Kgなので、日本の年間最低流出量だと言われてる2万トンを回収するのであれば、

1Kg×2000袋=2トン
2トン×1万分=2万トン

という計算になり、この1Kgのごみ袋が2000万袋で2万トンです。
世界の流出量170万トンをカバーするには、単純計算で1Kgのごみ袋が17億袋という計算になります。

この途方もない数字を知って多くの方は、
「そもそも海にごみが出ないようにするべきだ」
と思います。

なぜ、これが今までできていないのかは後で説明したいと思います。

そして、流出が防げないとわかった後に多くの方は、
「海に有害なプラスチックはそもそも無くすべきだ」
と思います。
こちらもなぜ、今までできていないのかを後ほど説明していきます。

海洋ごみは場所で3つに分類できる

海洋ごみは存在する場所によって以下の3つに分類することができます。
1.海岸ごみ
2.海上ごみ(漂流ごみ)
3.海底ごみ(4.深海ごみ 含む)

海岸ごみの方が目に見えるため、海辺の方々はより身近に感じますが、全体の約75%以上が海上・海底に放置されています。

瀬戸内海の特徴

瀬戸内海は閉鎖的な海域のため約93%が日本由来のごみというデータがあります。
瀬戸内海の海洋ごみの割合は以下の通りとなっています。
海岸ごみ:約150トン
海上ごみ:約24トン
海底ごみ:約325トン

瀬戸内海でも海底や海上に放置されているごみの方が多い結果になっています。

海洋ごみで私たちの身の回りはどうなっていくのか

今までの私たちの経験から、以下のようにまとめてみました。

  • 海岸などで放置された海洋ごみを日常でより多く見かけることになる。

  • 漁業者・養殖者等の業務に支障が出てくるため、魚が手に入りづらくなる(魚を獲る際にごみも引っかかることがあるので、既に支障が出ています)。

  • プロペラやエンジン故障などの船舶被害が増加してくる(今後、修理コストが反映されて物流コストが上がるかもしれません)。

  • 綺麗な海岸が徐々に汚染され、観光やリゾートホテル系の綺麗な海のイメージと現実にギャップが出てくる(自会社でビーチクリーンしているところも増えてきた印象です)。

  • この問題に対処しようとする世界的なプラ規制の動きから、世の中から使い捨てプラがさらに減っていく(既に紙ストローなどが流通してきました)。

  • 海洋ごみによって魚、サンゴ、動植物が死に生物多様性が失われる。(海洋ごみが全ての要因ではないですが、器官を塞いだり、絡まったりは既に確認されています)。

  • 深海の未知の薬草などが知らぬ間に消えていく(人類が到達できてないレベルの深海に難病を治す薬草が存在している可能性があるそうです)。 

  • 食物連鎖汚染によって、人間の健康被害が顕在化してくる(引き返せないレベルの汚染度まで上がれば、日本の昔の公害(水俣病等)よりも取り返しつかない状況が世界中で発生する可能性もあると思っています)。

世界の矛盾


世界の動き 〜規制と生産量の矛盾〜

この状況を踏まえた上で世界の動きはどうなっているのかを見ていきたいと思います。

世界では使い捨てプラの規制が加速しています。
2018年7月にG7で日本が署名を拒否した「海洋プラスチック憲章」では以下のことが記載されています。

欧州諸国とカナダが署名した憲章は「発生の抑制が、海洋ごみ問題への取り組みと対処を長期的に成功させるカギであることを認識する」と明言し、具体策の一つとして「不必要な使い捨てプラスチック製品を大幅に削減し、代替品の環境インパクトも考慮する」とうたった。さらに「2030年までにプラスチック製品をすべて再利用可能あるいはリサイクル可能、またどうしてもそれができない場合には、熱源利用などの用途への活用に転換する」「30年までに、プラスチック製品の再生素材利用率を50%以上にする」「プラスチック容器の再利用またはリサイクル率を2030年までに55%以上、2040年までには100%にする」など年限を限った具体的な数値目標を含む、先進国首脳による政治的な宣言としては画期的な内容だった。

公益財団法人日本野鳥の会


一方で使い捨てプラの生産量が増加している矛盾もあります。

世界では年々プラスチックの生産・使用量が増加しており、2020年には3億6,700万トンのプラスチックが生産されています。2040年までに生産量は2倍になると予想されており、プラスチックだけが環境汚染の問題ではないものの、間違いなく最重要課題となっています。

日本財団


なぜ、使い捨てプラの規制が進んでいる中で、生産量が増加しているのでしょうか。

欧州を中心に地球をもっと守っていこうという動きが加速していっています。
一方でアジアを中心とした発展途上国ではまだまだ経済成長の余地があるため、経済成長の速度を落としてまでプラを減らそうとは思っていないというのがこの数字に表れていると思います。

使い捨てプラは安価で便利なため経済成長に不可欠になってしまいました。
この状況は2酸化炭素排出と経済成長の関係に似ていると思っています。

プラスチック生産量と流出量の関係

世界の年間プラ生産量3億6,700万トンを世界の年間流出量170万トンで割ると0.46%という数字が出ます。

日本で見てみると、年間プラ生産量が1067万トンを日本の年間流出量の最低の2万トンで割ると、0.18%という数字が出ます。
日本の海洋ごみ流出ランキングは世界で30位なので、比較的少ない割合と考えられます。

この0.18%というのは、必ずしもポイ捨て等のモラルだけではなく、ごみ集積所をカラスが荒らしたり、ごみ収集車から漏れ出たごみだったり、台風等の自然による流出だったりと、構造的な問題になります。

よってプラの生産量を減らしても、この0.18%や世界のアベレージの0.46%という数字を改善するのは難しいと想像できます。

生産量は減らすことに対しては賛成ですが、どうやってこの総生産量の0.46%の流出を超える回収システムを世界が作れるかがポイントになってくると考えています。

犯人探しや敵対関係を作るのではない第3の選択肢の重要性


総じて言えるのは現状悪化していることです。
現状の資本主義システムは多くの恩恵をもたらしてきた一方で地球という犠牲者を出してきました。
国や企業だけではない、何か新しい仕組みを作って行動する人を増やすことが必要です。
犯人探しをするのは一見正解に見えても、長期的にみたら不正解かもしれません。

敵を作らずとも、今のテクノロジーをもっと上手く使えば、今までできなかったこともできるようになると思っています。
今のシステムを否定し壊すのではなく、補完する新しい仕組みを作る必要です。
白黒やゼロイチのような極端な思想ではなく、カラフルな色があり、ゼロとイチの間には小数点が沢山あることを認める視点が重要になってきたと思います。
今まで解決できなかった社会課題にこそ、常識では考え付かなかったようなソリューションとイノベーションが必要です。

加速する世界の対策

The Ocean Clean Up

この業界でオーシャンクリーンアップのことを知らない人はいません。
CEO & FounderのBoyan Slat氏は立ち上げ当時の2013年、高校生ながらもTEDで堂々のプレゼンを披露し世界中の応援者から資金を集めました。

失敗を続けながら組織と活動を発展させ、2023年の予算額は約90億円規模になりました。
今では、イーロンマスク氏やAirbnb創業者ジョーゲビア氏、日本の上場企業からも寄付金を集めることに成功しています。
世界的なアーティストのコールドプレイ、世界一のYoutuberの Mr.Beastともコラボをしており、世界で最も勢いがあるNPO団体の1つと言えると思います。

広がる海洋ごみのマーケット

世界では海洋ごみの市場規模というのができています。

世界の海洋リサイクルプラスチック市場は、2021年に約15億4000万米ドルと評価され、予測期間2022-2029年には7.3%以上の健全な成長率で成長すると予測されています。

NEWSCAST

陸ごみを含む再生プラスチック市場規模も拡大しています。

世界の再生プラスチック市場規模は2020年に411億3,000万米ドルで、2021年から2028年の間に8.2%のCAGRで2021年の440億3,000万米ドルから2028年には762億3,000万米ドルに成長すると予測されています。

FORTUNE BUSINESS INSIGHTS

ちなみに関連する市場は他にもあります。

世界の海洋監視市場は2023年に330億9,000万米ドルを占め、予測期間にCAGR11.5%で推移し、2030年には708億9,000万米ドルに達すると予測されています。

株式会社グローバルインフォメーション

進んでない日本

マーケットのメインプレイヤーに日本企業が入っていない

主な海洋リサイクルプラスチック市場プレイヤーは以下の通りとなっており、日本企業が入っていません。

オーシャン・プラスチック・テクノロジー
オーシャンクリーンアップ
オーシャンワークス
オーシャンプラスティックエスアール
サンタンデリーナのテキスタイル
シークワーサー・イニシアティブ
ウォーターホール
ビオニック
ブレオ
アクアフィルS.p.A.

日本の主流は陸ごみ管理&楽しい活動&啓発&アート

海外がビジネスモデルが回るようなレギュレーション作りやテクノロジーでのイノベーションを試みている一方で、日本の取り組みはガラバゴス化している印象です。
科学的に正しいこと、既存の事業からの取り組みやすさ、短期的に成果が見えやすい活動に流れやすいのが日本の特徴だと思います。
企業が取り組みやすい活動の代表格が陸ごみ管理で、一般が取り組みやすい活動が楽しくボランティアで、日本的な儲けを出そうというのがアート活動だと感じています。

陸ごみ管理を海ごみ活動と言う違和感

花王など日本の大企業を中心に連携を試みている
クリーンオーシャンマテリアルアライアンスの会合に一度出席したことがあります。
年次の活動報告会のような会合でしたが、内容を聞くと陸ごみ管理を中心に海洋に流出しないような対策がメインでした。

確かに、海洋ごみの約8割は陸から川を経て流出していると言われているので陸ごみを抑えようという対策は科学的には正しいと感じています。

一方で、個人的に違和感を感じているのは、陸ごみ管理は間接的には海ごみ活動となると思いますが、クリーンオーシャンという名前でなくともできる活動であり、企業の社会的な責任として普通のことのような気がしていることです。

私たちが「一度海に出てしまったごみに関しては何もしないのですか?」
と質問したときに
「それは自分たちの領域ではないからやらない」という回答が印象に残っています。

儲からないからやらないという企業の背景を感じました。
やる気は本当はあまりないが、付き合いや時代の流れでやっている感を出すということでメンバーに入っているという建前も感じられました。

イノベーションを起こす気が全くない、日本のダメなところが入っている雰囲気で、もちろんど真中の領域で現場で海洋ごみと向き合っている私たちの活動への協賛も断られました。

ボランティア活動を楽しくしようへの違和感

海洋ごみ対策での歴史を辿っていくと、ビーチクリーン活動はボランティアでの事例が多いです。
この現状を放って置けない人たちが、「そんなことやっても無駄だよ」と言われ続けながらやってきたケースがほとんどです。
そんな中で、ボランティア活動を少しでも楽しくしようという流れが生まれるのは、自然のことだと思います。
たとえば、競技性にしたりイベントを混ぜたりといったやり方で参加者を楽しませるという工夫が行われてきました。

この進化自体はアリだと思っている一方で、ほとんどの人がこれが全てと認識していると感じています。
社会的な損失が大きい領域なのに、「ボランティア以外の選択肢はない」、「いかに楽しませるかしかない」というのは、社会全体が思考停止状態になっているのではないかと違和感を感じてきました。

講演や展示会のような啓発活動への違和感

人々の意識を変えようという啓発も日本では支持され、多くの環境団体が啓発を行ってきました。
一定の成果はあげたとは思いつつ、個人的に人々に訴えかける啓発活動は頭打ちをしていると感じており(誰も啓発後の行動変容数値をとってないからはっきり言えないモヤモヤも感じています)、同じ人が同じことを言い続けている状態、全く動かない人たちの割合は変わってない気がしています。

とりあえず、講演で人々に知ってもらおう・とりあえず展示会をやってみようは本当に正しいのだろうかという違和感をずっと感じてきました。

私たちも啓発活動を一通りやってきたからこそ言えることだと思っています。

私は頑張っている姿や新しい挑戦というコンテンツこそが今まで巻き込むことができなかった影響力がある人々(経営者等)を巻き込めるのではないかと仮説を持って行動してきました。
結果、普通にイベントや啓発をしていては出会えなかった方々に応援いただけるようになってきました。

盛り上がっている海洋ごみアートへの違和感

日本では海洋ごみアートも流行っています。

海洋ごみとアートの相性が良いのは間違いないです。
相性が良い理由は、海洋ごみが均一的ではない傷つき方をしているため、逆にオリジナル性があり、硬質プラスチックはカラフルで高度もあるためアートの素材として使いやすいからです。

しかも、買い手が了承すれば価格は青天井なのがアートの良い部分なので、オリジナルなアートを高く売って、利益を海洋ごみ回収活動等の費用に回す動きが活発になってきたと思います。

一方で、私たちもアートを一通りやってきて思う課題があります。
①製作で使う海洋ごみ量は多くないため、再利用量は思ったよりも増えていかない
(回収量のペースの方が早いので、再利用できずに処理することになる)。
②製作活動と売ることに集中するため、製作者が回収活動を行う時間はなくなる。
③作れば売れるものではないので、売れないアートはごみになる。
④アートに必要な接着剤など新たなごみを生み出している
⑤才能あるトップアーティストたちだけが残ることになり、才能ないアーティストは淘汰されていく(誰もができる展開できるようなソリューションではない)。

これらの課題から、日本の海洋ごみアートの流れに乗らないことにしました。

日本DNAと欧州DNAとの違いを感じる

物事の捉え方や根本的な考え方のようなものがアジア(日本含む)と欧州間でDNAレベルで違うのではないかと頻繁に思ってきました。
DNAだけではなく、民族性・風土・言語・教育システムなどもろもろ複雑に絡み合っているのだと思います。

仲間を集めようと多くの人と話をしてきましたが、この違いで日本においてこの活動を進めることは厳しいかもしれないと何万回も思ってきました。

ただ、若い世代は「ごみ」という嫌な印象やアレルギーはなくて、世界に良いインパクトを与えられるチャンスとして捉えている人も増えました。
30−40代の若手経営者の方々も自分の子供たちのために、過度なITや金融へのマネー膨張を危惧し、新しい資本主義のあり方を考えている方も増えてきました。

欧州が絶対に正しいとは思わないですが、欧州に有利なレギュレーションを取られ、後手後手になって、適当な予算を作り適当な活動を日本がやらされるのは違うと思っています。
日本の国土は約38万平方キロメートルで世界61位ですが、排他的経済水域と領海を足した面積は447万平方キロメートルで世界で6位です。
さらにフレームを変えて、大陸棚を含む海の深さ(海水の体積)を比較すると世界4位という海洋国家です。
廃棄物の管理・リサイクルで世界トップクラスの技術を持ちながら海洋ごみマーケットのプレイヤーになれていないことは危機感を抱くべきであり、私たちはこの分野での世界への貢献もマーケットのシェアも日本がトップを取れる領域であると信じています。

数字で見るクリアンの成長


ベンチマークしている世界中の先行NPOや企業の良いところを模倣している(しようとしてきた)ので、着実に今までの日本のやり方とは違うアプローチを生み出していると思います。
大きな目標に対して小さな前進の積み重ねかもしれませんが、プライベートもキャリアも捨てて全身全霊、1人の凡人が人生かけてきました。

足りない能力は自分が長期間働くことでカバーしつつ、他の人から様々なものや能力を借り物競走で補完してきました。

良くも悪くも4年での実績です。
人生かけてやってきた割には全然ダメだねという意見もたくさんいただいてきました。
正真正銘、等身大の積み上げてきた数字になります。

予算額

団体の規模や影響力を測るのに予算規模は重要な数値です。

2020年度 :52万円
2021年度 :89万円
2022年度 :451万円
2023年度 :964万円(年度締めの関係から暫定です)

海洋ごみ回収量

団体のミッションとして私たちがどれだけ海洋に出たごみを回収してきたのかを測る重要な指標です。

2020年度 :106kg
2021年度 :119Kg
2022年度 :659kg
2023年度 :756kg

再利用量

回収した海洋ごみをどれだけ再利用することができたかは、再利用量だけ自治体の負担を減らすことができたと言えます。

2020年度 :0kg
2021年度 :12kg
2022年度 :7kg
2023年度 :351kg

海洋ごみMAPデータ件数

回収の見える化をどれだけしたかも重要な指標として2023年度から導入しています。

2020年度 :0件
2021年度 :0件
2022年度 :0件
2023年度 :646件


回収装置実験回数

失敗も全部公開してきています、成功のために前進した回数です。

2020年度 :0回
2021年度 :0回
2022年度 :3回
2023年度 :3回

啓発人数

啓発は最重視してないと言いながらも、呼んでいただいた講演やイベントでの啓発人数は記録してきました。

2020年度 :0
2021年度 :40
2022年度 :472
2023年度 :532

パートナー団体数

団体のビジョン・ミッションに賛同いただいたパートナーの数です。
自分たちだけではできないことはパートナーのお陰で成り立っています。

2020年度 :0
2021年度 :0
2022年度 :15
2023年度 :11

団体SNS総フォロワー数

SNSフォロワー数は影響力の数値です。

2020年度 :NA
2021年度 :NA
2022年度 :1503
2023年度 :1915

問題の構造理解と見つけたソリューション


海洋ごみ問題の解決策は大項目で3つにわかれる


①既に流出した海洋ごみ・これから出る海洋ごみの回収量を増やすこと
②これから出る海洋ごみの流出量を減らすこと
③回収した海洋ごみの再利用量を増やすこと

これら3つがなぜ進んでいないのかの理由を説明していきます。

3つの大項目を細分化してみる

それぞれどのステージで止まっているのか複雑に絡み合う問題を分解していきます。

①なぜ回収量が増えないのか


現状、回収量を増やす有効な手はボランティアによるビーチクリーン回収活動です。

ボランティアでの回収は、多くが定量化をしない清掃活動のため正確なデータがわかっていません。

昨年のワールドビーチクリーンアップでの回収量が約20万トンほど(どこまで正確なのかは疑っています)なので、おそらく100万トン以下なのではないかと思われます。

ビーチクリーンを企業が開催することも増えてきましたが、定量化できていないところも多いため、後どのくらい回収が必要なのか、どのように改善していけばいいのかの数値が見えてこないのは大きな課題だと感じています。

回収量は増えている印象はありますが、実態はよくわかっていないというのが現状です。

ビーチクリーン以外の回収活動もあります。
行政発の海上での回収活動
漁業者による漁の最中に取れた海洋ごみの回収活動
ダイバーによる海底に沈んだごみの回収活動
マリーナでの回収装置
河川での回収装置

回収量を増やすためには、定量化を促進させ、回収に対して、様々なインセンティブ(新しいビジネスモデルが回るレギュレーション含む)を構築できるかどうかが鍵になってくると考えています。

これを段階的に整備しない限り、企業や人々が本腰入れて回収に取り組まないため回収量は増えていきません。

②なぜ流出量を減らせないのか

流出量を減らすための一番のアプローチがそもそもの陸でのプラスチック使用量を減らすことです。

マイボトル・マイバックの流通や国際規制なども進んできましたが、悪化している現状を鑑みるともっと大体的な規制が進むのも納得できますし、国などの大きな組織はもっと大きな規制を実行しようとしています。

すぐに使用量を減らせないのは、経済とのトレードオフがあるからです。
仮にプラスチックが全てなくなったとして、どれだけの経済損失が生まれ、雇用が消えるかを想像するのは難しくありません。
フードロスや医療崩壊などの新たな社会課題が生まれるはずです。

プラスチックが経済活動を促進させ、様々な社会課題をクリアしてきた事実を認めたときに、全てのプラスチックが悪だと決めつけ極端に完全撤廃や強制的規制を強めることに疑問を感じています。

プラスチックがやめられないとわかった後に、次点のアプローチとして考えられるのはプラスチックに代替できるものを開発しようです。

生分解性プラスチックなどの開発が進んでいますが、コストが高すぎて置き換わることはないと思っています。
また、海洋で分解されるには数年以上かかるため、分解されるまでの数年間は悪影響を及ぼし続けます。
一部だけ部分的に導入を始めることも反対の立場です。
なぜなら人々が勘違いして海に捨て始めるからです。
今までの啓発活動が全て無意味なものになる危険性があります。

もし、本当に生分解性プラを導入するなら、
できれば世界同時に。
少なくとも国単位で一斉に置き換える必要があると思います。

この活動を始めてからプラスチックにも200以上の種類があることがわかりました。
それぞれ特性が違うので、全部を世界同時に一斉に置き換えるのは現実的ではないと思っていて、またそこにコストをかけるなら他にかけた方がいいと思っています。

③なぜ再利用量を増やせないのか

理由はいくつかあります。

1つ目は、一度海に流出しているために純粋マテリアルではなくなるという点です。
海の塩分・汚れが付着し、空気なども入るため純粋マテリアルではなく混合物になります。
これにより硬度が保てなくなり、製品化してもボロボロ崩れていくという現象が発生します。
これをクリアするためには、一般ではできない特殊なリサイクル技術が必要になってきます。

2つ目は、コストです。例えば硬質プラスチックで説明すると、回収から洗浄・乾燥・分別(色分け)・切断・梱包・輸送という工程が必要になってきます。
全工程のコスト(人件費含む)を計算した時に、赤字事業になります。

この損益分岐点を超えるために色々な工夫がされてきました。
最たるものは最終製品の価格を上げることですが、そうすると市場から選ばれる製品ではなくなるため、結局は売れないという現象が起こります。

3つ目は、ロットの確保です。海洋ごみが点在しているため、素材として安定的なロットの確保が難しい現状になっています。
収益事業としてやるには回収コストが高すぎると言い換えることができます。

全部を一団体がカバーするのは現実的ではない

海洋ごみは世界規模の大きな社会課題であり、まずは未だ人類が攻略できてない大きな課題として認める必要があります。
様々なプレイヤーが協力し合わなくてはいけません。
1企業・1個人・1国ですら、全部をカバーするのは現実的ではないです。

四六時中どうすれば海洋ごみ問題が解決するのかを考えてきた

これをやれば絶対解決するというのがあれば、とっくに誰かがやっていて解決しています。
約4年間、四六時中考えていて気づいたことは、
いきなり根本解決ではなく、世界のバランスを保ちながら新しい仕組みを段階的に導入していく必要があるということです。

私たちが最初にやったことは既存の類似活動を一通りやるでした。
現場でやってみてわかったことや学びは多かったのですが、問題が改善にむかっているような感覚はなく、何か新しいアプローチに挑戦しないといけないという想いは当初からありました。

これだったらスケールする、いけるかもしれないという仮説を組み立て、実行しては、結果が出ないことを繰り返してきました。

その結果、最初は解像度が低く、大きかった課題が細分化されていき、筋が悪いと思った枝葉は切り落とし、細分化された課題のどこを抑えればインパクトができるのかもわかってきました。

自分たちが最終的に出したいインパクトとレバレッジポイント

より効率的な海洋ごみ回収技術開発と定量化された海洋ごみ回収量を増やしていきたい。
回収から全体へのレバレッジを起こしたい。
回収に付加価値をつけ続けることで、回収活動にバリュエーションとグラデーションが生まれ、ボランティアだけではなく陸ごみ収集車業者のような仕組みが出てくるような世界線を目指していきたいと思っています。

絞れてきた課題

回収に付加価値を与え続け、お金を出してもいいという顧客が出てくるようにするにはどうすればいいのかという課題に絞れてきました。

この回収の付加価値付けに焦点を当てる。

この話をした時に、多くの人から
「できるわけない、やめた方がいい」
「クレイジーすぎる、現実をみなよ」
「バカなのか、もっと賢くなりな」
「それじゃ続かないよ、持続的な方法はこうだよ」
「そんなことやっても社会は変わらない、無駄だからやめなよ」

と言った一見優しさのような言葉を何万回と言われてきましたが、そこまで言うならそれはあなたがやればいいと無視してきました。
「私たちはそれはやらないので、役割分担してそれをあなたがやってマーケットを一緒に盛り上げましょう」と言ったときに、実行する人はほとんどいないです。

だれもが「いいね!」というアイディアにイノベーションは無いと思ってきましたし、責任を誰かが取ってくれるわけではないのはわかっていたので、誰のせいにもしないで全責任は自分で取ると突き進んできました。

直感的にここを突破できないと問題が前に進まないことはわかっていたので、軸をぶらさずに、ど真ん中の直球勝負を力尽きるまでやろうと覚悟を決めました。

挑戦の歴史


単純に海岸で漂着しているごみを回収するという活動ではお金を出すまでの価値が足りていません。

私たちは、先ずは定量化による数値データという付加価値をつけ始めました。
やり方はシンプルで、回収活動時に袋ごと分別して袋がいっぱいになったら計量をするというものです。
プラスチックと発泡スチロールなど、素材によって体積辺りの重さが違うので、袋ごとに分別をして、計量をしています。
活動を続け、お金の出し手が出てくるまでの価値は、分別回収と計量では足りていないことがわかりました。

次に実行したことは、回収技術開発です。
海上・海底ごみの方が海岸よりも量が多いにも関わらず、放置され続けてきたので、回収難易度が高い海上・海底ごみの代理回収サービスのようなものを作り始めました。
こちらは、当初の想定よりも難易度が高いことに気づき、未だに挑戦をしているような状況です。
技術を確立させる前に団体の経営が傾く可能性を感じ、ここを諦めずに継続しつつ、新しい付加価値を作ることにしました。

次に実行したのは、分別回収後の再利用・再資源化の増加です。
分別回収のデータは引き続き取っていましたが、回収した後の海洋ごみの再利用までは手が回っていませんでした。
多くのビーチクリーン団体が回収したごみの処理を自治体の処理に頼っているように私たちも同様のやり方で回収した海洋ごみの処理をしていました。

回収した海洋ごみの再利用のハードルをクリアするためにやったことは、全国で再利用に挑戦している先輩方にコンタクトを取ることでした。
コンタクトを取り始めて1年たって、硬質プラ・ビン(ガラス)・鉛(鉄)は協働を開始し、再利用できるようになり付加価値を追加することができました。

その後、海洋ごみMAPの作成に取り組み始めます。
海洋ごみMAPの取り組みのきっかけは、海洋ごみ回収装置でした。
ハードの開発をやっていく中で、ハードではなくソフトの問題だと気づきます。
どの時間にどの場所で、どの自然条件(天候・風・潮流等)でごみが海上に発生するのかという条件さえわかれば、回収自体はシンプルな漁網であっても十分に取れることがわかりました。
先行していた類似マップを調査し、回収時点での海洋ごみが海洋ごみの3分類である海岸・海上・海底でマッピングできるツールが絶妙になかったことから、無いなら自分たちで作り始めることにしました。

海洋ごみMAPのコンセプトを固めて、マップを開発していく中で、回収時点の付加価値付けにおいて、
『誰が・いつ・どこで・どの種類の・どれくらいの海洋ごみを回収したか』というのはとても重要な価値であるとだんだん気づき始めました。

海は陸と違って責任の所在が曖昧です。
それゆえに一度海に流出したごみは、回収・処理してもメリットがなく、誰も直視したくなく、処理したくないという放置され続けてきた問題でした。
プラスチック製造以来、海を使ったごみの押し付け合いが世界各国で行われてきました。

これは、二酸化炭素排出による地球温暖化の構造と近いものです。

課題に対する仮説

二酸化炭素の排出権クレジットが市場で取引され地球温暖化防止の流れができているなら、海洋ごみ排出権クレジットが市場で取引され、海洋汚染防止の流れが起きることは不思議な話ではないと思っています。

私たちが取り組む課題は、海洋ごみの回収にお金が入ってこないという点です。
課題に対する仮説は、海洋ごみの回収に対して、価値づけを続ければボランティアではなくなるのではという仮説です。

価値づけを続けてきたからこそ、どこまで回収に価値を付けていけば、価値のレベルによって顧客が生まれるのか見えてきました。

私たちが作っているソリューションについて

クリアンがフォーカスしているのは、海洋ごみの回収活動への付加価値付けをしていくことです。
ソリューション自体が複数のアプローチの組み合わせであるパッケージのようなものであることに気づき始めました。
パッケージというのは、構成内容が全て同じような価値・ポジションではなく、それぞれにグラデーションがあり、それぞれに顧客がいて、相乗効果を発揮しているような形です。
世界を含む他のエリアでも展開可能なミニマムのパッケージを小豆島モデルとして作っているのが私たちの活動です。

構成要素は以下の通りです。
1.海岸清掃における分別ビーチクリーンのノウハウ
2.定量化と発信のノウハウ
3.分別後の再利用出口戦略のネットワークとノウハウ
4.調査スキームと蓄積データによる成果物体制(論文・コラム・etc…)
5.約8割の海洋ごみのスタートである川と、エンドであるホットスポットの海洋ごみ回収のための回収装置
6.連携体制によるインパクト(ビーチクリーン団体・漁協・ダイバー団体・海洋ごみ系団体(企業)・廃棄物(リサイクル)系企業・他分野企業etc…)
7.回収時点の写真・位置情報・時間・回収実施団体・回収のオーナーシップを記録する海洋ごみMAP

それぞれの効果と出てきた顧客(当初想定していた顧客ではなく、やり始めて出てきた結果論でした)を振り返りながら、これから追加したい付加価値も記載していきます。

1.海岸清掃における分別ビーチクリーンのノウハウ
効果:海岸漂着している海洋ごみが回収できる。回収時点で分別をすることで正確な定量化データを取得することができ、その後の再利用に繋がる。

顧客:この時点での回収付加価値では顧客は出なかった。
強いて言うならば、ボラティア活動を推進したい日本財団等の助成金団体。理由は成果が見えやすく、研究者からもお墨付きがついているような効率的な活動であるため、助成金団体の審査委員たちが満場一致をしやすい市民活動であるため。

2.定量化と発信のノウハウ
効果:どれだけ良い活動をしても発信しないと意味がない(やっていないのと同じ)扱いになるため、定量化による成果(インパクト)の数字を蓄積でき、それを発信することで既存の応援者・協力者への報告や新規の応援者・協力者の獲得ができる。情報を発信すること自体が社会課題を知ってもらうきっかけとなるため、情報を受け取った人々の行動変容が社会を変えるきっかけとなる。

顧客:この時点での回収付加価値でも顧客は出なかった。定量化と発信自体は非営利活動における基礎となるものなので、分別ビーチクリーン以外の人々が驚くようなコンテンツの重要さを感じる。発信体制・影響力・コンテンツのレベルが上がるほど、顧客の獲得の可能性があがるキホンのキである。しかし、定量化と発信自体だけでは顧客は得られなかった。強いていうなら、助成金の報告書等で使うデータであるため助成金団体(もしくはそこが集めている資金提供者)が顧客である。

3.分別後の再利用出口戦略のネットワークとノウハウ
効果:自分たちに特殊なリサイクル技術がなくても海洋ごみの再利用量を増やすことができる。ただ、これをやるためにはリサイクル企業の事情を深くしらないといけない。最初に理解しなくてはいけないのは陸ごみと海ごみは化学的に異なるため、同様のリサイクル・アップサイクルができないことが多いという点。どのような出口を設定するのかで中間処理をどこまでやらないといけないのかが異なるため一律では言い切れない点があり、私たち自身半年毎に再利用できる海洋ごみの種類と量が改善しているような変化のステージにいる。
現時点では、海洋ごみはアップサイクルできるごみの種類をベースに12種類に分別すると全体フロー(回収・調査・アップサイクル)の効率がよくなることがわかっている。

顧客:
①海洋ごみのリサイクル・アップサイクルをしたいが回収のロット確保に困っていた企業(大きな金額にはならないが、買取収入が生まれ始めた)。
②海洋ごみの運搬・処理に困っている自治体(実質的に陸のごみ運搬・中間処理・最終処分場等の負担を減らすので税金減額につながっている。景観美化にもつながるため管轄の環境を良くもできるので、税金での負担減と景観美化に貢献している分だけ管轄自治体を救っていると言える)。
③回収海洋ごみの処理に困っていたり、再利用量を増やしたいと思っていたビーチクリーン団体等。

4.調査スキームと蓄積データによる成果物体制(論文・コラム・etc…)
効果:良いデータを集められるかどうか調査スキームにかかっている。逆にアウトプットから逆算して調査スキームをデザインし、時間と共に良質なデータが蓄積できるようになれば、活動の意義やインパクトがアカデミックでも見える化される。良質なデータが論文やコラムなどの具体的な成果物に変わって行った時に現場活動の意義やインパクトがさらに加速されることになる。

顧客:
①海洋ごみの現場データをまとめて発表したいと思っていた大学や研究員(クリアンでいうと地元の香川大学)。
②現場データをアカデミックに出して活動の意義を高めたいと思っている団体(香川大学とはWin-Winなので金銭でのやり取りはなく純粋にインパクトを高めあいお互いの社会に対するプレゼンスを上げている)。
③海洋ごみ系の学術資料を求めている学会(クリアンは2023年度の瀬戸内海研究フォーラムin 山口にて最優秀賞を受賞することができた)や企業(企業のニーズにマッチしたデータやアウトプットの提供まではいけてない)。

5.約8割の海洋ごみのスタートである川と、エンドであるホットスポットの海洋ごみ回収のための回収装置
効果:海洋ごみが集まっているところで回収ができることは効果的かつ効率的である。どこに集まっているのかというと、海に放流(分散)するまえの河川、潮目や渦、海岸等のホットスポットである。
スタートである河川の海洋ごみ回収を今年実施する予定である。上陸するのが難しかったり陸からのアクセスが難しい海岸ホットスポット付近でのエンドでの回収ができるのであれば、スタートとエンドの回収ができるようになり、回収量と回収効率は上がっていく。

顧客:
①新しい挑戦を応援したいオーナー企業の社長かつ子育て世代(実際に支援金をいただいた後に気づく)
②海岸だけではなく、海上のごみ回収という形で海洋保全に取り組んでいきたいと思っている団体・企業
③脱炭素・生物多様性・海洋保全に取り組まなくてはいけないと感じている大手企業やその子会社

6.連携体制によるインパクト(ビーチクリーン団体・漁協・ダイバー団体・海洋ごみ系団体(企業)・廃棄物(リサイクル)系企業・他分野企業etc…)
効果:一つの団体ではできないことができる。それぞれの強みを活かした強力や一緒にやった方が二度手間ではないことなどができる。巻き込める人口を手っ取り早く増やせる。デメリットはただ組めばいいというわけではなく、組む前に綿密なデザインが必要であり、それがないと機能せずにいたずらにコミュニケーションコストとフラストレーションが高くなっていく。次第に組まない方が良かったのではと思ってくる。

顧客:箱を推したいと思っている企業や財団(私たちの中でも箱のインパクトの強さを感じつつも、箱だからというお金を出すと言う顧客にはまだ出会ってないため仮説になる)。

7.回収時点の写真・位置情報・時間・回収実施団体・回収のオーナーシップを記録する海洋ごみMAP
効果:海洋ごみの回収の実態がわかるようになる。インパクトやコストの計算がやりやすくなり、数値化することで次のアクションを改善することができる。ごみは自分たちで動けないため、データ数が多くなったときに自然(潮流・海流・風・波・etc…)の動きのマーカーとしての調査ローデータとなる。回収団体の実績や支援元が見えるかされる。

顧客:
①海洋ごみに取り組みたいと思っていた企業
②海洋調査企業・団体・組織
③海洋ごみ回収装置開発企業等

〜これから追加したい付加価値〜
8.トレーサビリティ(再現性)

効果:回収した海洋ごみの記録・定量化のデータが蓄積されれば、海洋ごみが回収される前の状況を再現できる。発生源はどこかがわかれば責任の所在が明確になり、それを回収した回収者に対して、お金の出し手が見つかりやすくなる。
また「いつ・どのような条件」で溜まるのかがわかり、スタート(川)からエンド(海岸等)にどのように流れてくるのかがブラックボックス化されており、わかるようになる。
こちらは海洋ごみMAPでの回収時点での記録とホットスポットでの定点観測等で徐々に付加価値を作っていきたいと思っています。

顧客:
①海洋ごみに取り組みたいと思っていた企業
②海洋調査企業・団体・組織
③海洋ごみ回収装置開発企業等

9.回収支援証明書発行
効果:定量化と回収の見える化(保証化)ができるとコスパの計算ができ、支援先やコラボ先へ証明書の発行ができる。
どのくらいのお金でどれくらいのことができるのかが重要であり、証明書の発行にニーズがある。
将来の海洋ごみ回収クレジットへの布石になる。

顧客:
海洋ごみに取り組みたい(支援したい)と思っていた企業

今までなかった概念・発明は最初は受け入れられないかもしれない。

海洋ごみの回収がボランティアであった世界線が変わるかもしれない。
海洋ごみの現場と繋がっていなかった経済活動を繋げるアイディアと事例が増えてきました。
企業と話をしていくなかで、海洋保全に取り組み始めたいけど何をやったらいいのかわからないと言った言葉も聞くことが多くなりました。
必ずしも私たちがそれぞれの企業のニーズを満たすコラボができるわけではないので、私たちが業界の仲間を繋げます。
業界全体を一緒に盛り上げていきましょう!

企業にとっても、規制とプラ代替品だけではない新しい海洋ごみの取り組みとして浸透させたいと思っています。
日本はもっとできるはずです。

海洋ごみの回収に付加価値をつけ続ける挑戦は、一つ一つオセロの四隅をとっているような感覚で、私自身が白と黒が一気に逆転するかもしれない可能性を感じ始めます。


資金調達が必要なフェーズになってきた

お金が無いは言い訳だと思ってきた

お金がなくともできることをやってきました。
なるべく色つきのお金を入れずに自己資金、行動量と工夫で様々な壁を乗り越えてきました。
お金がないとできないことも確かにありますが、無くてもできることは沢山ありました。
多くの人がお金がないからといって諦めているのは、大抵はお金がないとどうしようもないと言い切れるほどやりきれていない言い訳だと思っています。
先ずは動くべきであり、足が棒になるまで行動し、頭がねじ切れるまで考え抜くべきです。

リサーチフェーズを抜けつつある

分別ビーチクリーンや再利用バリューチェーンの構築、回収装置の実証実験成功などは実はリサーチフェーズでした。
これがソリューションだと決めつけるには早すぎであり、そんな簡単に行くならここまで問題が複雑化していないからです。
ただ、既存の活動を一通りやって、日本では先駆的な活動も実際にやってみて、筋の悪い枝葉を落とし、これだったらビジネスモデルもインパクトも作れるというソリューションができつつあります。

小さいながらも黒字で回り始めた

起業したからには、ちゃんとしなくては!
どこかそう思ってた時がありました。
全ての人をちゃんと雇用し、売り上げも立て、インパクトも出す!
そんなことは、百戦錬磨のExit経験があるスーパー経営者でない限り最初からは無理でした。
売り上げー経費を追い求める一次方程式でも難しいのに、そこに社会課題へのインパクトとボランティアマネジメントも追加するので、追いかける変数が増えた連立方程式になり、その経営の難易度を私はわかっていませんでした。

優先順位を決め、限られたリソースの中でインパクトを作りながら、組織を整える。
まるでボロボロの特急列車を走らせながらも同時に直しているような感覚です。

優先順位を決めて、諦めるべきことは人件費でした。
先ずは、私自身の人件費を削り、究極に質素倹約を始め、その分を活動と組織に充てることからやりました。
それを透明性を保ちながらメンバーに公開する。

嘘はつかない。

きついことがあって、しんどくなって、弱音を吐きながらも、お願いをしてきました。
今もそうですが、プロボノでも大将級の活躍を見せるメンバーには感謝の気持ちでいっぱいです。

結果、小さいながらも黒字で回り始め、少しずつ、本当に少ないですが人件費も出せるようになってきたというのが今の私たちのステージです。

プロボノメインではない組織に向かいたい

フルコミットをしているメンバーが私しかいないというのは、時に孤独を感じることがあります。
同じ境遇の人がいないため、誰にも理解されず相談もできず(先輩経営者にメンタリングは定期的にしてもらっています)という感じです。

また、成功するかわからないけど、リスクを取って動き出せる人は少ないことを知ります。

プロボノや兼業はリスクヘッジ的な意味も含まれているため、本当の意味で共同創業者と言える人には出会えてこなかったですし、
皆が皆、私と同じように辛い・シンドイ経験をしなくてもいいと思ってきました(もちろん、いいことも沢山あります)。
だからこそ、これ以上シンドイ経験をする人が増えてほしくないですし、私たちが希望を見せたいと思っています。

リスクとってフルコミットしている人が人生を充実させるために

日本ではまだまだリスクをとって起業している人(私自身はそこまでリスクと思っていないのですが)にとって逆風なところは多々あって(方向性やその人の実力不足という問題もあるけども)、その人が挑戦を辞めてしまうことだったり・その人がいなくなってしまうことが社会的に損失なのであれば、もっと応援されてほしいと思うし、リスクとってフルコミットしている人がリスク分のリターンや人生を充実させることができたらと思っています。報われてほしい。

たとえクリアンが誰にも応援されずに死んだとしても、きっと誰かがやらないといけないこと


たまに、私が辞めたり、死んだりした時にどうなるのだろうかと思うことがあります。
クリアンは私がいないと回らなくなることは容易に想像ができ、時間とともに解散するか、スペシャルな挑戦などは一切しないといった、社会的に無くても困らないようなNPOや任意団体の一つになるかもしれません。

私たちは、クリアンのバリュー(存在意義)を必死に創ってきました。

クリアンが既にこの問題を5年進めている自信はあります。
無くなったら、日本の海洋ごみ問題はより一層進まずに放置されるということになるのだと想像する時もあります。

欧州発ではなく日本発ソリューションを日本人が実行して世界に出てほしいと願う

海洋ごみにおける世界の流れは変わってきています。
日本人と日本の組織が知らないだけ、もしくは見たくないだけであり、世界の先行事例調査・論文調査・ニュースのレベルの変化などはとても変わってきました。

さすがに4年もやっていると、海洋ごみ問題の先行事例調査の蓄積から、立ち上げ当初に比べて回答できない質問はなくなってきました。

放っておいても、欧州発のレギュレーションを作られ、いつものごとく後追いで従う日本の姿は想像できます。

いったい誰が日本の上場企業が二酸化炭素排出ゼロを目指し、自社の領域の生物多様性を意識した情報公開義務を負う現在を想像していたでしょうか。

海洋大国である日本から海洋ごみのソリューションを作ることができれば、自国の海洋汚染をオフセットした後、(このビジネスモデルが成り立つようにレギュレーションを整える必要がありますが)、汚染をオフセットできてない国へクレジットを販売することができるのであれば、島国で海洋ごみを多く取れる環境にある日本の優位性はとても高いと思っています(宇宙産業並のバブルが来るためにも前衛的な挑戦を続けようと思っています)。

ちなみにSDGs14最低評価は最高評価に変わります(SDGsのためにやると順番が逆になるので、逆になっちゃってる人や企業は好きではないですが)

レギュレーションを海外発ではなく、日本発で生み出してほしいと思っています。
日本はもっとできると思っています。
そう思っている行動を起こす人が増えることも期待しています。

最後に


私たちは、まだまだ道半ばです。
愚直に地味ですが、日々小さな一歩を積み重ねています。
私たちのビジョン・ミッションに共感いただけて、何か応援したいという方は是非、ご連絡ください!
https://cleanoceanensemble.com/contact/

寄付での支援はこちらから!
儲けファーストではないからこそ、作れる活動というのがあると思っています。
寄付額が多くなればできることも増えてきているので、純粋に応援したい方はこちらからお願いします!
https://donation.cleanoceanensemble.com/

お金は出せない(クリアンからも出せない)けど、実務で支援したい・一緒にやりたいという方は是非一度、プロボノ説明会にご参加ください!


IPOやM&Aではなく、コミュニティ型やエコシステム型EXITでも認めていただける投資家の方は、フェイスブック等で私宛に個別でDMいただけると幸いです!長期的にドカンといくために種まきしています。

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