360度フィードバックは誰のもの?:プロジェクトアドベンチャージャパンの360度フィードバックをつくる #01
プロジェクトアドベンチャージャパン(PAJ)では、「一人ひとりが自己成長していくために自分を客観的に認識する」ための方法のひとつとして、2018年から360度フィードバックを始めました。今までに2回やってみて出てきた課題を見据えながら、何がいまのPAJにとって最適なのかを考えながら、3回目に向かっての新たな取り組みが始まりました。私は前任者が退職した流れで担当することになりました。ゆくゆくこの「流れで担当」したことが私の仕事の仕方やスタンスに影響していきますが、その話はまた別の機会に書きます。
課題は「負担感」と「やらされている感」
360度フィードバックがいくら一人ひとりの成長を目指していたとしても、会社から「やらされている」感があったら、本来の目的を達成することができません。かといって、「一緒にやろうよ!作ろうよ!」と声をあげるだけでもそういう感覚を拭えません。いかに自分ごとにしていくかは大きな課題としてあります。
いままでのやり方は、ランダムに抽出された7〜13人のスタッフのフィードバックをするという方法でした。設問数は、1回目は47問、設問数の多さに対しての意見が出たので内容を精査して2回目は27問にしました。設問が半分近くになった2回目でも負担感は依然としてありました。
負担感の原因は回答人数や設問数にもありましたが、5段階評価を選択するだけではなく、コメントが「必須」になっているのも大きな要因です。数字だけを受け取るのでは成長のためのフィードバックになりにくいという考えから、1回目から各設問に対するコメントを必須にしています。
実際の作業(フィードバック)の「負担感」があるうえに、プロジェクトの設計に関わっていない人の中には、「仕事も忙しいのにさらに業務が増える」という「やらされ感」を持つ人もいます。実際に私も1回目の準備に関わっていなかったので、自分たちで作っていこうというよりは、降ってきたものをこなす感覚がありました。そして2回目以降を担当することになったら見える景色が変わってきました。PAJにとって、自分にとってどんな意味があるだろうと考えざるを得なくなってきたのです。
そして「意味がある!」と信じつつ、「どうしたらみんなが自分ごととして関わってくれるのだろう?」と考えること自体がそもそも、「上から目線」なのではないかとも悩みました。
何より、私は日々忙しく仕事をしているスタッフから「またやることが増える」と思われることに少しの恐怖感があります。
「自ら選ぶ」を一番に
どのようにすれば負担感を軽減し、決められたことをやっているという気もちではなく、「自分たちのためにやっている」ということを実感できるのか、答えは出ないまま進んでいきます。理想と現実はまだまだかけ離れています。
そんな中、準備ミーティングであるアイデアが生まれました。
それは「フィードバックを受けるか受けないかを選択できる」というものです。PAJでは極力「やらされる」を排除し、「自らが決める」を大切にしようとしているので、こうして選べるようになることには意義がありそうです。
☆「自ら選ぶ」を実現するために、以下を軸にすることにしました。
●フィードバックを受け取るか否かは自己決定し、フィードバックを書いてくれる回答者と人数を自ら選択する。
●仲間の成長に協力するという意味で、他者からフィードバックのリクエストがある場合は、無理のない範囲で関わる。
これにより、「いまは周りの人からのフィードバックを受け入れる準備が整っていない、必要としていない」という人は、「フィードバックを受けない」という選択ができます。協業しながら一人ひとりが成長していく場としてPAJがあるため、今回は仲間に対するフィードバックすることは選択制にしませんでした。またこの方法だと、フィードバックを全く希望されない人も出てくる可能性があります。
☆以下のことも試してみることにしました。
●数量的な負担感を減らすために、受け取れるフィードバックは5人までとする。(1人につきフィードバック回答者は5人まで)
●被フィードバック者を3ヶ月前に決定する。(ゆっくりとその人のことを見る、知るための時間を確保)
具体的な方法
《一次受付》
①各人が回答者(フィードバックを書いて欲しい人、社内の誰でも可)を0〜5人選ぶ。
②選ばれた人は、回答する人数を選ぶ。(自身のスケジュールや気持ちを踏まえて、無理のない人数を決める)
③回答者が選んだ回答する人数よりフィードバック希望者が多い場合は、オフィスチームが抽選を行い決定。
※回答者を5人選んでも、抽選により希望した5人全員からフィードバックをもらえない可能性あり。
《二次受付》
①各人が「二次受付をしない」「あと何人までフィードバック希望者を受け付ける」を一覧表に入力する。
②特定の日時を決めて、一覧表をオープンにする。回答者が5人に満たずさらにフィードバックが欲しい人は、一覧表の希望回答者の空欄に入力する(入力が早い者順で決定)
この方法は果たしてどんな影響を及ぼすでしょうか?!
告知の工夫〜4コマまんがにしてみよう!
ここまで話し合って、いよいよ社内全体にアナウンス。
日々、山のような情報を社内で共有している中、「360度フィードバックの改善点」についての長文をゆっくりじっくり読んでもらえないことがあるので、4コマまんがにしてみました。これについては、準備ミーティングに参加したスタッフから「この方が情報を受け取りやすい人はきっといると思う!」「情報獲得の方法が複数あるっていい!」と言ってもらえたので、スタッフ全員に告知文と共にまんがでお知らせすることになりました。
心を込めて文章を書いても、まんがをつけても、伝わっているかいないのか、その肌感覚ははっきりとはわかりません。告知をリリースして、そのまま「特に意見がないようなので新しい方法で進めます」というのもしっくりきません。
そこで週一回行われている各チームミーティングの中の30分を使って360度の説明と意見交換の場を持つことになりました。どんな場になるのか、楽しみな気もちとちょっと不安な気もちの中で進んでいきます…!
(#02に続く)
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