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プロジェクトにおける良い課題設定の条件

ミミクリデザインでは、クライアントから事業開発や組織開発のプロジェクトをご依頼いただく際に、課題(問い)を再定義(リフレーミング)するところから始めます。課題の渦中にいるクライアントの目線から語られる課題の切り口は、必ずしも事業や組織のイノベーションにつながるとは限らず、クライアントとの対話を通して、第三者の目線の交えながらブレイクスルーにつながる課題に再定義をするためです。

ところが、再定義した課題が、本当に適切な課題設定なのか。良い課題にアップデートされたのか。課題を評価する方法は曖昧で、いつも頭を悩ませます。そもそも、社会構成主義の観点に立てば、客観的に「良い課題かどうか」を評価すること自体に、意味がないのかもしれません。

ですから課題の良し悪しは本質的に関係者(クライアントと弊社の混成のプロジェクトチーム)のあいだで対話を繰り返しながら、主観的に検討せざるを得ないと割り切っていますが、主に以下の3つの視点から評価をするようにしています。

(1)効果性

第一に、クライアントが置かれた問題状況を、どれくらい効果的に解決することができるか。言い換えれば、問題の本質をきちんと突いた切り口になっているかどうか?という指標です。

問題を構成する変数を網羅的に概観し、変数と変数のあいだの関係性を深く理解した上で、問題を構造的に解決する切り口になっているかどうかを検討します。これを誤ってしまうと、問題状況に埋め込まれた「部分課題A」は解決できるが、副次的に新たな「部分課題B」が発生する..などのもぐら叩き的悪循環が生まれる場合があったり、課題に対する表層的な対処に囚われ、真因にアプローチできていない場合があったりなど、課題設定によっては課題解決の投資対効果が得られません。

(2)社会的意義

第二に、課題設定の社会的意義、という観点も重要です。つまりその課題を解決することが、どれくらい社会に付加価値をもたらすか?良い社会の実現に貢献できるか?という視点です。課題をリフレームするときは、常に「その問いが解決された世界が見たいか?」と常に自問自答するようにしています。プロジェクトに哲学を宿す、といってもいいかもしれません。

課題を定義する際に陥りがちな失敗パターンはいくつかありますが、一つには【自分本位】な視点から問いを立ててしまうケースがよくあります。たとえば「自社プロダクトが生き残るにはどうすればいいか?」「売り上げをもっとあげるには?」「地域に観光客を呼び込むには?」のような視点です。

自分の利益を守るための課題設定は、外部の協力者を得にくいほか、最終的にユーザーや観光客など課題解決の価値を享受するステークホルダーの視点が抜け落ちるリスクがあります。多様なステークホルダーにとって建設的な課題を設定するためにも、社会的意義の視点は重要です。

また、別の失敗パターンとして【手段の自己目的化】というケースもあります。本来の目的について十分に検討せぬまま、「アクティブラーニング」「デザイン思考」などの手段の導入が自己目的化し、その前提で「どうすれば、導入がうまくいくか?」を課題に設定してしまっているパターンです。これも社会的意義が欠如しがちなパターンです。これについては以下の記事をご覧ください。

(3)内発的動機

最後に、内発的動機に基づく課題設定になっているか?という観点です。問題の本質を突いていて、社会的意義が高い課題になっていたとしても、プロジェクトメンバーにとって「解決したい」と思えるか課題になっていなければ、プロジェクトはうまくいきません。

別の言葉でいえば、関係者の創造的衝動がかきたれられるプロジェクトになっているか?と言い換えられるでしょう。プロジェクトにおける衝動(impulse)の重要性については、以下の記事をぜひご覧ください。

闇雲に課題をリフレーミングするのではなく、以上の「効果性」「社会的意義」「内発的動機」という観点を意識し、今後も「良いプロジェクト」の設計を心がけたいと思います。

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ミミクリデザインとの共同プロジェクトにご興味がある方は、お気軽にウェブサイトのCONTACTからご連絡ください。

課題設定の方法を含んだ「問いのデザイン」については以下の書籍にまとめています。是非ご覧ください。

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