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お店をやりたい若い人へ

こちらは以前の記事を加筆修正して、再掲したものです。


お店をやりたい若い人へ、というタイトルですがもちろん年齢は関係ない。
30代以上の方にもなると資金的にも経験的にも余裕があったり人生経験も増えている頃でしょう。支えてくれる人もいるかもしれない。

僕がお店を作ったのは26歳の時で資金や経験など、いろんな面で不足していたし、不安だった。何もかも足りていなかった。
だから便宜的に若い人へ、としている。

お店をやってみたいお考える人を最初に阻む壁は「お金」で、お店を作るのに一体どれだけの貯金が必要なのか、それを貯めるためにはどのくらいの期間が必要なのか。その頃自分は何歳になっているのか。


とはいえ、お金の問題というのは大したことではなくて、もちろん大したことあるお金が動きますので大したことがあるのだけどクリアの難易度でいうとCランクくらい。

最初に書いておきたいのですがお店を作るということそのものは特別なことではありません。
コンビニに行きたいから行く、と同じくらいに難しいことではない。
だからお店をやりたいけどいつまで経ってもやれない人は「自分は本当はやりたくないのだな」と自覚したほうがいいかもしれない。 

さて。

お店をやりたいなぁと”漠然”と思った時に最初に考えるのは「いくら必要なのか?」です。
300万円くらい貯金がないといけないのか、と漠然と自分に失望し”まぁいいか”と諦めたり先延ばしにしたりする人がほとんどだと思う。

でも、お金があれば誰でも始めることができる。
つまり最初のお金の問題だけクリアしてしまえば「始めることだけ」は誰でもできる。

意識すべきは資金の額からやりたいことを選ぶのではなく、やりたいことを決めてしまってからその費用を後で調達するということ。

20代で300万円の貯蓄というのはなかなか難しいのだけど、金額の問題というよりも「自己資金」で成し遂げようという選択肢そのものが的外れだな、と感じます。

今の時代はクラウドファンディングなどもありますが集金装置ではないのでハードルが高い。
(あれは換金装置です。これまでにどれだけのgiveをしてきているかを問われる)

となると、お金がなかったらどうするかというと借りるしかない。
借金はよく分からない怖いもの、よくないものというイメージだけど、それは「知らないから怖い」だけなので知れば怖くない。

銀行や国(日本政策金融公庫)はそういう人を応援しながら利子や手数料で稼ぐというシステムでありビジネスのモデルなのですね。
儲かった儲からないに関わらず、毎月返済していくのですがそれを返すのが遅れたからといって飛んでくるのは怖い借金取りではなく「残高が不足しているようです」という担当の人からの電話です。

何もないところに新しいものを作るというのは多額のお金が必要で、借りるというのはほとんどの人が選択している。

みんながやってると思えば怖くない。
赤信号をみんなで渡るということではなく、一般的な話だということです。


自己資金でももちろん良いのですがお店を作るのには500万円から1000万円くらいの幅で費用がかかる。それを貯めるとなると何歳で貯まるのか。
夢を邪魔するお金という問題はどうやら「稼ぐよりも借りるという選択」で簡単に解決することができそうです。

お店はお金という問題をクリアすれば作ることは簡単そうです。
では、なぜわざわざ誰にも頼まれていないのにやる必要があるのか。

JAMCAFEは2011年にオープンした。
当時はカフェブームが終わりを迎えていたとはいえ、まだカフェにいろんなものが求められている時代で、隙間産業でもありました。
2015年に姉妹店grammeをオープンさせましたがそういう焼き菓子と珈琲の店は少なかった。
2021年には東京にpenitentをオープンした。

今となってはもう何でもある。
急速的に「大勢が良しとするもの」がインターネットで共有されるようになって、みんなが正解を知ってしまっているしもはや不満や足りないものがない。
つまりこの時代に僕らが想像できうるお店やサービスはほぼ存在している。

お客さんになる可能性のある人たちは買わない選択肢を持っている。それでもあなた(僕も含め)のお店の商品やサービスを買わないといけない理由がありますか?と考える必要がある。


長くやっていれば上手くいくものいかないものが想像できてしまう。
だから自分の中で意味があるものじゃないと作ろうと思えない。
「いいお店」も「役に立つサービス」も無限にあるし、2番や3番では無意味だけど1番になるにはどうやら難しそうです。今から世界一のランナーになるのは不可能でなので。


だから自分の中で意味があるもの、悩んだり苦しんだりしながら作るもの。
そしてその苦悩こそがお客様にとって意味のあるものになっていく。
チーズケーキもコーヒーも別にどこにでも売っている。
その人の苦労やストーリーは世界にただひとつ。

僕はそれを含め「スタイル」と呼んでいる。

これからもお店(カフェ)ってたくさん生まれていくと思うけどとても大変だと思う。もう2011年の頃とは違うし「いいお店がいらない」時代で僕らはかつてこれまでそんな時代を経験していない。


これからお店を作る人はそれをちゃんと考えた方がいい。あなたの存在そのものが大事なのだ。

そしてそこからがスタートです。
もっと大事なことは続けていくこと。継続です。資金があれば始めることは誰にでもできる。だからこそもう良いお店はいらない。ただの良い店は資金があっても始めるべきではないようにさえ感じる。
とはいえ「やりたい」と思ってやらない人の方が多いので始めただけでももちろん素晴らしい夢のあることなんだけど、継続できることはもっともっと大きな価値です。

諦めながら、諦めず、自分のスタイルに自信を持って、バテないように走り続ける。
スタートを切るよりもそれが難しい。フォームも時には乱れるでしょう。それがいい。
死ぬまで続くレースなのだから、あなたらしくやればいいのだ。




PENITENT(東京)
https://www.instagram.com/penitent_tokyo/
JAMCAFE(仙台)
https://www.instagram.com/jamcafe_jp/


お店にも来てくださいね〜〜!!