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お客は警戒されている

僕らは普段何となく飲食店に入り、食事をして、お店をまた出るというサイクルを送っています。

何を食べようか、このあとはどこへ行こうか、なんてことにはとっても敏感に考えや思いを巡らせる。

僕はカフェをやっているので、毎日いろんなお客さんをお迎えしますが、もしかしたらお客さんはあまり気にしてないんだろうなぁ、と思うんですけど、実は僕らは
お客さんのことを「警戒」しています。

お客さんにしてみたら飲食店っていうのは、何となく食事をしたり、その後に向かうどこかへの中継地点に過ぎないのだと思いますが、そのお店はやってる側からすると自分の聖域なので、僕らは「そのお客さんがどんなヒトなのか?」にとても敏感です。
なぜなら自分の家に知らない人を迎え入れるのと同じだから。

もう何でもいいから回転させてとけ、ジャストセイイエスで面倒なことには脇目も振らずとにかく回転させるんや〜〜っていうわけにはいかなくて(そんなところないと思いますが)、僕らみたいな小さいお店は治安が生命線で「招き入れてもいいのかどうか」に非常に敏感で、恐らく皆さんそうだと思うんですけどもう猫のようだと思います。面倒なことに蓋をするとそれが元凶となってお客さんが来なくなる。うちは知名度もブランド力も低いので何もしないでいると売り上げは落ちて行くだけ。誰を招き入れるのか?は実はかなり大事で、値付けと並んで超大事な仕事です。

無言で席に座ったり、こんにちはの挨拶に対してリアクションがないとかだと警戒心はより強くなる。「あれ、なんかこの人おかしいな」。
そして、そういう人は決まってお店の荷物入れを勝手に移動したり、店内で大声で会話や電話をしたりして「あぁ、やっぱり招き入れるべきではなかったな」となるし、その積み重ねは僕らお店側の猜疑心をより強くするわけです。だからそんな人ばかりが続く日は後のお客さんを見る僕らの目はもう猜疑心あらわですね。

僕は小さいお店に行くと必ず警戒されているのを知っているので、まずそのお店のルールを読み取ろうとするのに必死だし、勝手な行動はしないようにする。
なぜなら人様の家に上がらせてもらうのとおんなじだからです。
だから30分くらいするとようやく落ち着く。

飲食店だから、飲食しに行くだけだけど、そのお店は家賃払って借りてる人がいるわけです。人様のお家っていう感覚。何を食べようかな?は意識できるけど、警戒されてるな、は意識できないもんですなかなか。

お店に入るときに「あ、警戒されてるな」っていう心構えがあるだけでお店の人のお迎えの仕方や対応も全然違くなります。
お客とお店っていう利害の一致してるだけの関係なら別に何でもいいんですけど、「人と人」なので、そうはいかないのが小さい飲食店(まぁ大小問わず、ですか時代的に)。

お客さんは前提として警戒されていて、まずお店の警戒を解くところからのスタート、みたいに極端に捉えるくらいでも全然いいと思います。

挨拶されたらする、し損なったらちゃんとコミュニケーションを取る気はあるよ、というのを伝える、勝手な行動はしない、分からないことはお店の人に聞く。

う〜ん、当たり前のことなんですけどね、なかなか難しい。警戒された状態でスタートなんだからこれがクリアできないと火に油というか、疑いの目にさらにサングラス、みたいなこと。

だから常連さんになると何がいいかというと警戒されないこと、ですね。

警戒心を解くこと、解いてもらうこと、これが飲食店をより楽しむ方法ですよ。

そんな面倒なこと言うなら商売向いてないんじゃない?って言う人はぜひこちらも読んでみてくださいね。

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お店にも来てくださいね〜〜!!