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万年筆の魅力 その1 構造と線の特徴
万年筆を初めて使ったのは、何かと背伸びをしたがる高校生の頃でした。手にした万年筆は、黒い軸の長細いパイロットのデスクペン。1,500円くらいだったと思います。ホテルのロビーによく刺さっているあの筆記用具です。小指の爪くらいしかない短いペン先で、書き味はとっても堅かった事を覚えています。カッチリした書き味もさることながら、やはり自分でインクを詰めて書くというところにロマンがありました。
最近購入したのが、LAMYのSafariです。堅い書き味ながら、思い通りの線を引くことができて、そりゃ売れますよねっていう完成度の万年筆です。
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このスリットをつたってインクが流れるんですが、万年筆によってドバドバと出るものがあったり、かすれ気味のものがあったり。Safariはちょうどいい感じでしょうか。ペン先の裏側は、下のようになっています。
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筆圧をかけるとスリットが開いて太い線になります。
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ご覧のように、紙に対して正対してかくと、滑らかにインクが紙にのってくれます。筆圧に応じて太い線も書きやすくなりますが、逆に細い線は物理的な限界に左右されます。
ところが、ペン先を正対させたまま、横方向にずらして書いてみると、今度は角度に応じて細い線を書いたり、かすれた線などの演出がしやすくなったりします。工夫によって色々な線を楽しむことができるというところが、万年筆の魅力のひとつでもありますね。
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ただ、紙に対して斜めに接してしまうと、そもそもインクが紙に接してくれないので、線が書けなくなります。この微妙な角度調整が万年筆を操る醍醐味でもあります。
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書く時にペン先の角度を意識しないと均質な線質になって、あまり面白みのない字になったりします。
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線の強弱や、払いなどを注意して書いてみた字が下のものになります。それなりに頑張ったのですが、それでも、全体的に線の太さが同じように感じられました。
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払いを意識して書いたのですが、なんか、太いですね。
これにはちょっとした鍵があって、実は紙質が悪さ?しているのです。結構インクの吸いがよくて、滲みがちなノートに書いています。イメージとしては、和紙に書いているような感じでしょうか。ペンを置くとすぐインクを吸ってしまうので、線の強弱を出しにくいわけです。試しに、インクを吸われない筆記用具、というかインクを使わない、鉛筆を使ってみると、紙がインクを吸うか吸わないかによって、表現がどう変わるか予想することができます。
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右側が6Bの鉛筆です。万年筆よりも豊かな表現になっていると思いませんか?
もちろん、鉛筆の方が優れている、ということが言いたいわけではありません。例えば鉛筆だと、書くと同時に芯がすり減っていくのでコントロールが難しいです。
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万年筆は、それ自体の魅力の他に、紙によって(インクも)いろいろな表情をみせる、というところが表現の奥深さだと思います。
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