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決められる人になろう!

Yukiです。

さて、言うまでもなく、この世の中は不確実なことだらけですね。そんな中でも毎日決めなければいけないことがいっぱい。組織や社会で立場が上になるほど意思決定を繰り返す日々ですよね。

商社の貿易取引の不確実性でいうとまず、市況リスク。市況の動きは基本は需給ですが、市況は商品、為替、海運など多面的に、また時に足元のコロナウイルスの影響のように全く予想外の要因で動いたりします。加えて輸送中の貨物の事故のリスク、商品のメーカー納期遅延・契約不履行リスク、取引先信用リスク、貿易相手国の政治・地政学的リスクなどなど不確実なことだらけです。

そんな不確実な中で意思決定をするために参考になるであろう「決断思考」について、以下良著、ご紹介致します。 

著者の瀧本哲史さんは、元マッキンゼー、京都大学客員教授でエンジェル投資家としても活躍されていた方ですが、誠に残念ながら昨年お亡くなりになられてしまいました。

この本ではディベートを通して意思決定について述べられています。簡単に私なりの視点から纏めて見たいと思います。

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1.ディベートとは
「議論を行ってものごとを決めていく」ことです。様々な視点をぶつけあうことで、その時点でもっともらしい「最善解」を導き出すことを目的としています。いわゆる「仮説思考」を「議論を通して」行うものです。

2.なぜディベート思考が必要か
「客観性」を持った「最善解」を見つけるためです。
意識的に反対の視点をぶつけることで、主観的な見方を可能な限り排除し、最善解を導くことができます。

あくまで、ある時点での最善解なので、100%正しい答えではありません。(そもそも100%正しい答えなど存在しないと思いますが。)しかし、ディベート思考によって結論に至る客観的筋道が明らかにできると思います。

それによって、後から前提が間違えていたことがわかった、もしくは前提が変わったのであれば訂正すればいいし、前提・事実からの推論の仕方が間違えていたならそこを訂正すればいい、と分かります。
一度決断したら終わりなのではなく、常に最善解に向けて方向修正できるようになるのです。

3.ディベートの方法
1)論題はYesかNoなど二者択一で答えられるものに設定する
漠然としていては議論がしづらくなってしまいます。
「どこに旅行に行くべきか」ではなく、「東京に旅行に行くべきか、否か」とするべきです。意思決定すべき問題が大きすぎて漠然としている場合は二者択一でできる問題に細分化して複数の論題を設定していくべきです。

2)相反する2つの立場で、メリット・デメリットを比較する
論題が設定されると立場が2つに分かれます。「〜をすべき」のような論題を設定したなら肯定側、否定側、といったようにです。
肯定側はメリット>デメリット、
否定側はメリット<デメリット
となるような根拠を考え、常に比較していかなければなりません。比較の基準はメリット・デメリットの質x量x確率を考えると分かりやすいです。

3)メリット・デメリットの根拠を考える
メリット・デメリットを成立させるためにはそれぞれ3つの条件があります。

①メリットの3条件
ⅰ)内因性(現状、その行動を取っていないがために何らかの問題があること)
ⅱ)重要性(その問題が深刻であること)
ⅲ)解決性(問題がその行動によって解決すること)
つまり深刻な問題が、取ろうとしている行動によって解決することです。
②デメリットの3条件
ⅰ)発生過程(その行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)
ⅱ)深刻性(その問題が深刻であること)
ⅲ)固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)
つまり現状では起こっていなかった深刻な問題がその行動を取ったときに、発生してしまうことを示すことです。

③根拠として使用する推論の3つの方法
演繹・帰納・因果関係

4)反対側の立場を検証・反論する
反対側の提示しているメリット・デメリットの3条件の前提、根拠の事実・推論の方法を検証し、おかしい点があれば反論する。
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ラフな纏めですが、何となく概要掴んで頂けましたでしょうか。

実は、私も大学生時代に競技ディベートをやっていました。ディベート自体はあくまで競技ですので、現実とは異なります。しかしディベート思考自体は今でも、意思決定に役立っていると思います。さすがに現実世界で相手とディベートをするわけにはいきませんが(笑)、常に反対の視点にも立ちながら意思決定が客観的になるようにしています。

ここまで書きましたが、ここぞ、という場面での直感での意思決定の重要性も時にはあると思います。結局はまずは決められることが大事、次に組織などでの意思決定においては後々に検証可能な客観性を担保するために、ディベート思考を取り入れるといったバランスがいいのかもしれません。

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