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[漫画] 闇子ちゃん 第25話 ~蛙化現象!ケロ子ちゃん~

今話題の #蛙化現象 について描きました!去年、編集者に教えてもらって、ずっと描こう描こうと思っていたのです。妻ちゃんも、蛙化わかるわかる~!とおっしゃっていました。

編集者に教えてもらった当時は、①の「自己評価の低さによってテリトリーに入ってきた相手に嫌悪感を持つ」と解説されていることが多かったです。

自分はきもくて頭のおかしい蛙だ(自己評価の低さ)

自分を好きになる人は私と同じで頭がおかしい

うわ!あこがれの先輩が私のこと好きとか言ってこっち来た!(テリトリーに入ってきた)あの人頭おかしかったんだ!

きもい!(嫌悪感)

…というようなことです。どんなあこがれの池面先輩や聖人が相手でも、頭おかしいイメージを持ってしまうとムリになりますよね。しかもそれは池面先輩や聖人が実際に頭がおかしいわけではなくて、自分自身を蛙と思い込んでいるという幻から始まっていることが、問題の根深さなのです。自分は蛙=テリトリーにいる相手も蛙、ということです。

一方、今は蛙化現象という言葉がカジュアル化したため、意味が広がって②の「清潔になりすぎた世の中」が原因として解説されることが多いようです。世の中が清潔になると、相手にも清潔を求めるようになってしまうということです。これは相手に完璧を求めるということでもあります。また、恋愛慣れor人間慣れしていないために相手を理想化してしまうパターンもこれに含まれると思います。人間も動物なので実際そんなに清潔じゃないですよね。しかも相手が男性だったらなおさらです。慣れてないと「ウッ」となるのは仕方のないことです。

世の中が清潔になった例として、エンターテインメントを出してみます。エンタメは世の中を映す鏡です。鬼滅の刃の炭治郎くん(2016年)は、こんなに汗をかいていてもあまり臭そうに見えません。

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しかし一方、男ドアホウ甲子園(1970年)は、まだ試合前で汗をかいていないのにムンムンきます。

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その臭そうな理由は、単純に作風です。1970年代はこういう劇画風の作風が主流でした。一方、現代は小綺麗な作風が主流です。つまり、架空の世界での人間=幻も時代の流れとともに清潔になったのです。それはこのように漫画であったり、SNSであったり、テレビや映像の世界であったり…です。そして実際の人間よりも幻の清潔さにとらわれてしまうと、現実の人間に対して「ウッ」となりやすいですよね。ちなみにこの清潔とは見た目のことだけでなく、性格やモラルのことも含まれます。シンプルに言うと「立派さ」です。(後ほど説明します)

あと、この動画でドーパミンについても解説されていました。3:20くらいからです。

ドーパミンは人間を「何か成功を得るために頑張らせる」脳内物質です。それによって我々の祖先はマンモスを狩るために頑張れて、絶滅せずに済みました。成功用の物質なので成功した瞬間が「ヤッター」のMAXになります。成功した後はドーパミンの用事は終わり、「ヤッター」は下がっていきます。恋愛を「叶える」ことが目標になっている場合がこれにあてはまります。昔の男性によくあった、以前はまめだったのにつきあったり結婚したとたんいい加減になるというパターンも同じです。ドーパミンの働きについては、以前こういう漫画も描きました。

蛙化現象を説明するときによく使われるのが「冷める」という表現です。でもこれも以前はもっときつめの「嫌悪感」という言葉がよく使われていました。①の場合、自分のことも相手のこともきもくて頭がおかしい蛙と思っているので、「嫌悪感」を持ちます。けれども②やドーパミン原因の場合は、嫌悪感よりも「冷める」寄りだと思います。なぜなら例えば②の場合、もし相手の外面や内面の清潔でない部分に気づいてウッとなっても、相手の何か聖人面に気づけばまた好きになりそうな気がしませんか?清潔じゃないけど良い所もあるから…ということです。ドーパミン原因の場合も、おつきあいできてヤッター!でもなんか冷めてきた…となっても、何か聖人面に気づけばまた違う角度からの好きが始まりそうですよね。でも「嫌悪感」の場合は結構厳しいと思うんです。生理的なものですし、その原因は自分の内面、自分を蛙と思い込んでいる部分にあるので、相手が聖人だったとかは関係ないのです。なので、冷めるパターンと嫌悪感パターンは分ける必要があると思うのです。冷めるパターンの場合は場数を踏むことで「まあ現実なんてこんなもんか」と慣れていったりもしますが、嫌悪感パターンの場合は場数を踏む=嫌悪感をたくさん感じることなので、悪化しやすいと思います。根本的には、最後のコマで描いたように自分の良さを認め、自己評価を上げることだと思います。

しかし現代は幻にあふれているので、何か自分も立派なものを持っていないと評価が上がらないように感じてしまいますよね。それが、↑↑で書いた性格やモラルに対する清潔さです。もう一度炭治郎くんと男ドアホウを見比べてみましょう。

2016年炭治郎くんはまだ13歳で家族をみんな殺されてショックなのに、妹の命を助けるために一生懸命です。立派です。つまり「清潔」な心を持っています。

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一方1970年男ドアホウは緊張感に耐えられなくなったのか微妙なギャグを発しています。あまり立派さは感じません。

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でもどうでしょう、炭治郎くんは理想ではありますが、ドアホウのほうがリアルですよね。ピンチの場面では逃げたくなってしまうものです。13歳で一家全滅したらショックでピーピー言ってるほうが正常です。炭治郎くんがリアルに存在したら、自我を抑えすぎて将来うつ病になります。にもかかわらず、ピーピー言わないで妹を助けないと評価が上がらないと思わされているのが現代なのではないでしょうか?清潔な幻にあふれていて、「どこでも寝れる!」「何食べてもおいしい!」「手先が器用!」レベルじゃ評価に値しないという空気があるというか。すると自己評価も下がりますし、相手に対しても清潔さを求めるようになってしまいます。それが恋愛という身近なところに表れたのが蛙化現象だと思うんです。逆に私を例に出すと、私自身は立派なことを成し遂げたことはありませんが、自己評価は高いです。それは小さい頃おばあちゃんに「上品な顔立ちねえ」と言われていたからです。「どこでも寝れる」と同じようなレベルです。しかも↓↓の漫画のとおり、たぶん実際に上品だったわけではなくて孫だからかわいがられてただけなんですよね。でもこれって言い換えれば「あなたはあなたのままで良い」と言ってもらっていたということなんです。私の生まれた男ドアホウ甲子園の1970年代は、清潔な幻はあまりありませんでした。だから本来はそのレベルで充分なんです。

日本はすごく清潔でモラル意識も高い国です。住みやすい国ということでもあります。それは幻のおかげ、良い点でもあります。漫画や芸能人、宗教や法律など架空の人間上で清潔が表現されてそれが良いものとしてみんなに伝えられていれば、みんなもそうしようと影響を受けるからです。そこでみんなの清潔レベルがちょっと上がって、さらにもっと清潔な幻が表現されて、そしてもっとみんなの清潔レベルが上がり、その連鎖でピカピカの現在に至るのです。それは多くの国で清潔レベルが上がる過程で起こっていて、その最先端が日本なんだと思います。蛙化現象はその清潔最先端だからこそ対応しきれなくて生まれてしまった悲しい現象なんだと思います。「蛙化現象」で検索すると予測で「蛙化現象 クズ」なんて出てきますが、クズどころか逆に、悲しい被害者だと思います。

そう思うのは、私の妻も蛙化現象の要素を強く持っているからです。漫画内では「洋服がかわいく見えない」「子供がきもい」として描きました。特に「子供がきもい」は、「成長するにつれて子供が自分に似てきてぞっとする」とか、子供がいない場合は、「自分の分身が生まれるなんてぞっとする」といった気持ちになる人は意外と多いのではないでしょうか。妻もそうです。蛙化現象は恋愛についての話なので、これらは別カテゴリーですが、根本に「自己評価の低さによってテリトリーに入ってきた相手に嫌悪感を持つ」があるという意味では一緒です。妻は私よりも見た目も内面も美しいですが、それでも自己評価は底辺です。「あなたはあなたのままで良い」と言ってもらったことがなかったのです。男ドアホウの時代に生まれていれば、妻も今回の漫画が刺さるような人たちも、もっと自分を肯定し、幸せになれたのではないかとよく思います。それが私がこういう漫画を描いているモチベーションでもあるのです。また次回もぜひ楽しみにしていてください。

https://note.com/yuki1192/n/n1245288e4acc?magazine_key=m99be84dd6d2f


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