ゼロから始める伊賀の米づくり50:秋起こしの季節
9月上旬に稲刈りを終えた我が家の田んぼも、秋起こしの季節がやってきました。トラクターで田んぼへ入り、生長しつつある蘖(ひこばえ)を鋤き込み、地中へと還していく作業です。
稲刈りを行ったばかりの田んぼはコンバインという収穫機械を入れるため、そして稲の水分量を調節するために落水し、地面を乾燥させているためパサパサになった稲藁が散らばっているような状態です。
それが、収穫から1ヶ月も経つと再び青々としてきます。
これは、収穫時に地面に根を張っていた稲の株が再び栄養を地面から取り入れ、収穫後の切り株から再び生長しようとしているためです。
この生長してきた株を蘖(ひこばえ)と呼びますが、通常、これらは再び良質な穂をつけるほど生長することができません。
気温や水分、土中の栄養素など、さまざまな条件が整わないためです。
また、来年以降に良質な穂をつけるための田んぼから栄養素を吸い上げてしまうため、これらの蘖は根を切り、土中に戻し、微生物らの働きによって分解してもらう必要があります。
そのための作業が秋起こしです。
昨年は用水路と畦の経年劣化によって水路から水が染み出し、湿地のような状態になっていましたが、今年は違います。
地域の組の保全予算を活用し、水路の劣化部分を補修し、すっかり水漏れもマシな状態になったため、スムーズに耕すことができました。
トラクターの足がぬかるんだ泥に取られることもなく、無事に秋起こしを終えてみると、夕日に照らされた田んぼが明るく黄金色に反射しているように見えました。
トラクターそのものについても、今年の春のうちにバッテリー交換を行い、冬に近づきつつある現在も調子良く動いてくれました。
祖父から父、父から私へと継がれた農機具や土地での営みが、一つひとつ着実に終えていけると、ホッとするような気持ちになります。
この記録をまとめるまでに、私はこの土地で生まれ育った「土着の民」の意識があることを改めて意識する機会がありました。
それは、どれだけ外へ出かけていって仕事をするようになっても、あり方の根元にはこの原風景があるような意識です。
その意識を持ちつつ、今後もまた、この土地での米作りの取り組みを発信していければ幸いです。
サポート、コメント、リアクションその他様々な形の応援は、次の世代に豊かな生態系とコミュニティを遺す種々の活動に役立てていきたいと思います🌱