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【読書感想】サッカーをもう一歩深く理解するための戦術入門

こんにちは、Yukiです。

龍岡歩さんの『サッカー店長の戦術入門 「ポジショナル」vs.「ストーミング」の未来』をご紹介します。

これまで人文社会科学系の本を紹介してきましたが、ここにきて突然サッカーの本を取り上げたので、驚いているかも知れません。実は、僕は小学校3年生から中学3年生までサッカーをしていました。そして高校1年生から大学3年生までは社会人のフットサルチームでフットサルをしていました。

約10年間サッカーとフットサルをしてきたので、最近人と一緒にサッカーを観戦して解説するということが増えてきました。とはいえ実際にプレーするのと観戦するとでは、かなり異なります。もう一歩深くサッカーを理解するために本書を読んだところとても良い本だったので、今回取り上げました。

本の内容

本書は、サッカーショップの店長であり、クラブチームの戦術分析官も務める龍岡さんによるサッカーの戦術入門書です。

龍岡さんは、戦術の進化は「戦術と戦術のせめぎ合い」が生んだ産物であると述べています。つまり、誰かが戦術を進化させようと思って進化させたわけではありません。相手チームに勝つために考えて生まれた、いわば副産物です。

これは言い換えれば戦術にも歴史があり、その歴史を辿ることで今の戦術が誕生した背景が分かります。

例えば龍岡さんが言うには、ここ10年でサッカー界でおおきな「パラダイム・シフト」が起きました。「パラダイム・シフト」の張本人は、ペップ・グアルディオラです。彼は、サッカーの本質を覆してしまいました。

サッカーの本質は何かと言われれば、龍岡さんも述べているようにそれは「不確実性」です。足と手であれば、手でボールを扱う方が足よりもよっぽど確実です。なぜなら、手でボールを掴むことができるからです。しかしサッカーはその手をわざわざ使えなくし、より不安定な足を使わせています。これによって、意図的に「不確実性」を生み出しているといっても良いでしょう。その不確実性がゆえに、人は点を取るごとに熱狂し、落胆すると龍岡さんは言います。

そんな不確実なサッカーで、ペップは確実に点を取る方法を模索し続けました。そしてたどり着いたのが、「ボールを支配する」という考え方です。その原点は、彼がプロサッカー選手だった頃の監督であるヨハン・クライフの考え方に大きく影響されています。

このように背後にある歴史を辿ることで戦術の今が分かります。とはいえ、歴史を辿ることだけでは不十分です。ある戦術が優れていた場合、他のチームは何もせず指をくわえてみているわけではありません。その戦術を上回るために、徹底的に対策を練り新たな戦術を考えます。こうして上述したように、戦術の進化が起こります。

つまり、歴史を辿るだけでなく同時代の他のチームの戦術にも目を向ける必要があります。そのために、ジョゼ・モウリーニョ、ディエゴ・シメオネ、マルセロ・ビエルサ、ジネディーヌ・ジダンといった名称の戦術も見ていきます。

こうしたいわば歴史(縦)と現代(横)という軸から戦術を概観するのが本書です。

読んだ感想

冒頭で述べたように、僕はサッカーに10年ほど関わってきました。しかし、本書を読んだことでサッカーの半分も理解していなかったことに気がつきました。経験的にはなんとなく分かっていたものの、きちんと戦術を学んだことがなかったからです。そのため、僕にとっても初めて知ることが多く、また一歩サッカーを理解できたように思います。

本書では、現代サッカー界における知将をとりあげ、彼らの考える戦術を見ていきます。ここで強く感じたのが、選手が試合に出れるかどうかは、実力もそうですが監督との相性に左右される、ということです。

当然と言えば当然ですが、監督によってやりたいサッカーは異なります。パスをつないで相手をジワジワと攻めていくのか。それとも、守って守って相手のちょっとしたスキをついて一気に攻撃するのか。このように監督には、それぞれサッカーの構想があります。

そして、監督はこの構想に合致している選手を使おうと考えます。となると、構想から外れている選手は試合に出場できなくなります。したがって、どれだけ素晴らしい選手でも、合っていなかった場合、試合に出場できない可能性が高まります。実力と人との出会いが重要な要素だと感じました。

終りに

今年は、4年に1度の祭典であるワールドカップが開催されます。開催地はカタールで、11月21日から始まります。我らが日本代表もこの大会に出場します。現在日本代表は、そこに向けて最終調整の段階に入っています。

サッカーのルールはとてもシンプルで、点を多く入れた方が勝ちです。もちろん細かいルールはありますが、とりあえずはそれさえ理解しておけば、ワールドカップを楽しむことができます。

ただそれだけでなく、更に楽しみたい・もっと深くサッカーを理解したいという人は、ワールドカップに向けて是非本書を読んでみてください。

一緒に日本代表を応援しましょう!

ここまで読んで頂きありがとうございました!

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