【読書感想】哲学は何よりも実践である!
こんにちは、Yukiです。
長らく更新していませんでしたが、今回から読書感想シリーズを再開します。よろしくお願いいたします。
今回ご紹介する本は、荒谷大輔(著)『使える哲学 私たちを駆り立てる五つの欲望はどこから来たのか』です。
本書は哲学史の本なのですが、通常の哲学史の本とは異なる特徴があります。今回の記事では、本書の言うところの哲学とは何なのか、本書の特徴についてご紹介します。
本の内容
本題に入る前に、あなたは哲学に対してどのようなイメージを持っていますか?「なんだか良くわからない学問」「役に立たない」「難しい」「理屈っぽい」etc...
一般的には、哲学はどちらかと言えばネガティブなイメージをもたれている学問、という印象があります。
そんな哲学ですが、一体哲学とはどんなものでしょうか?
まず、著者である荒谷さんはこう述べます。
哲学は知識ではありません。あるいは哲学を知識としてどれだけ学ぼうが、そんなものには一片の価値もないと筆者は考えます。過去の哲学者が何を言ったかを知っていたり、日常生活を分析してごく当たり前のことを論理的に言い直したりすることに、どんな意味があるというのでしょう。
なかなかズバッと、哲学はこういうものではないんだよと著者は言います。その上で、著者にとって哲学とは次のようなものです。
哲学は何よりも実践です。日常生活において当たり前になっていることをもう一度疑い、あらためて考え直すことで、まったく当たり前ではない事実を私たちの日常の中に探り当てることが、本来の意味での哲学なのだと思います。
著者にとっての哲学とは、日常の当たり前を疑う、問うという実践であります。この著者の哲学に対する認識を前提に、本書では実際に現代の僕たちにとって当たり前となっていること問います。
具体的に言うと、僕たちにとって当然の5つの事柄を疑っていきます。5つの事柄とは、「富」、「美」、「科学」、「正義」、「私」です。
これらの事柄を問うわけですが、本書が採用しているアプローチが特徴的です。哲学史の本だけではなく歴史の本となると、過去→現在という流れが通常です。ところが、本書は逆で現在→過去というアプローチを取っています。
その理由は、過去→現在という流れで、歴史の積み重ねを解きほぐしても、ただ知識を覚え込まされるみたいであったり、リアリティを感じづらく退屈なのではないか、という荒谷さんなりの考えがあります。
現代において当たり前、当然となっている5つの事柄を出発点に過去へと進んでいく点が本書の特徴と言えると思います。
読んだ感想
僕はこの本で、「哲学ってこういうことなんだな」と具体的なイメージが湧いてきました。なので、僕にとってとても合っていました。
これまでも、何冊か哲学の入門書を読んできましたが、どれも途中で挫折しました。荒谷さんが言うように、どうしても知識を覚え込まされているようで退屈で、今とどう繋がっているのか分かりづらかったためです。
その点本書の現在→過去というアプローチは僕に合っていました。これは言ってみれば、ゴールがあらかじめ分かっているようなものだと思います。そのため、過去へと進んでいきますが現在とのつながりが見えやすく、途中で迷うことが無かったため、頭に入ってきました。
またこのアプローチは、別の側面でも良いと思いました。それは歴史は繋がっているということを意識させられるという点です。本書では実際に5つの事柄を問い返していくわけですが、過去へと立ち返るなかで、じつはそれらの事柄は全く当然ではないということ、僕たちの生活は歴史の積み重ねの上に成り立っているということが良くわかりました。
僕たちは生まれる前を経験していません。何らかの媒体を通じて知ることしかできません。実際に経験しておらず、知識としてしか知ることができない分、歴史は繋がっているという意識が薄くなりがちです。
その点、本書を読むことで哲学のみならず、歴史のつながりも身近に感じることができとても面白かったです。
終りに
冒頭に述べたように、哲学には難しい、役に立たない、良くわからない、というイメージが少なからず付随しています。しかし本書を読めば、哲学は難しくなく身近であること、役に立つということ、が分かると思います。
僕と同じように哲学の入門書を読んだけど挫折したという方や、学んでみたいけど取っつきづらいと感じている人もいると思います。
そんな人に是非手に取って読んでいただきたいです。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
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