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【読書録】魔法界に感謝を

11月に入った頃に読み始めたハリーポッターシリーズをすべて読破した。
考えてみれば1カ月近くも同じシリーズの本を読んだのは初めてで、この1カ月、私の頭の中は本当に魔法でいっぱいだった。今からでもふくろう便がホグワーツの招待状を届けてくれたらいいのにと思う。

この大作を読んだ私の想いの軌跡をここに記しておこうと思う。
ここから下は盛大なネタバレのオンパレードなので、ネタバレは嫌いだよ!って人は回れ右していただいて、なにか一つでも違う記事を読んでいっていただいたらと思う。

■賢者の石~アズカバンの囚人

賢者の石は小学生の頃に読んでいたし、映画でもアズカバンの囚人までは伏線を含んだストーリーもほぼ把握していたので、すいすいと進んだ。映画でちょっとわかりきっていいなかったところを補充するように読むことができて、そうか!そういうことだったんだ!!と某通信教材の宣伝漫画の主人公のようになった。

キャラクター設定は映画と大差なかったが、思っていた以上にハーマイオニーは勉強をしていたし、全編を通して言えば、映画でハーマイオニーを演じたエマ・ワトソンは美人になりすきたんだろうなとも思った。どうしてもキャラクターは映画の俳優さんたちで頭の中を動くものだから、ハーマイオニーに対してのセリフや行動にどうもピンとこないものも多かったのだ。まぁ、素敵な誤算ではあるとは思うけど。

アズカバンからは少しずつ知らないエピソードが出てきたり、少し話が前後するところもあり、映画の尺に対する葛藤も見えてきた。しかし、それでも映画と本の間に歪みを感じることもなくて、あの映画は原作を大切にしていたんだと身に染みた。

■炎のゴブレット

ここから話は複雑になるし、なにより登場人物が増えすぎて、それもそれが(当然と言えば当然だが)みーんなカタカナなものだから、誰が誰やらわからなくなっていた。ヴォルデモートの存在もどんどん濃くなり、なんとなくどんよりとした雲が全体と覆っていくようだった。
なによりやっぱりしんどいのは、最後のセドリックが亡くなってしまうことだ。映画でも本当に本当に悲しかった。原作では映画で省かれたエピソードがあった分、余計にその死が重たかった。あの死の呪文の恐ろしさが目の前に迫るようだった。
このどんよりした雲はハリーがヴォルデモートから逃れ、ホグワーツに戻るにつれ、どんどん重くなっていった。
しかし、このどんよりはただの始まりでしかなかった。

■不死鳥の騎士団~謎のプリンス

この2冊は、ハリーポッターシリーズの中で一番読んでいてしんどい2冊だった。アンブリッジがうっとおしくて仕方がなかったことは重々承知していたが、それよりも、ヴォルデモートが復活したことを周りがハリーのことを信じてくれないという状況が一番しんどかった。ページをめくる手(今回の場合はkindleなのでページをめくるためにタップする指)が自然と遅くなってしまった。

ここぐらいから、学生ならではの思春期の描写が色濃く描かれることになる。映画ではどうしても尺の問題で削られていたので、唐突感が否めず粗削りなところが目立っていたように感じたが、小説は細かく描かれていたので、納得して読み進めることができた。ファンタジーの金字塔と呼ばれダイナミックな場面が思い出されがちだが、青春の描写を、それも日常的なファンタジー要素たっぷりで存分に楽しむこともできた。

ダンブルドアが亡くなった後、お葬式のシーンではハリーの決意がしっかりと描かれていた。このシーンを映画で見た覚えが正直なくて、新鮮に読むことができた。映画ではあまり感じられなかったダンブルドアへの悲しみや、どうしてと責める気持ち、そして、これから挑んでいく戦いへの決意を見ることができた。この決意が映画以上に重く感じられた。

■死の秘宝

いろいろ映画で把握しきれていないことが解決したことはもう割愛することにして。ただ、思っていた以上に今までの伏線の回収が細かく描写がされていたので、最後まで訳が分からなくなることなく読み進めることができた。

原作のホグワーツの戦いは、映画より少しあっさりとしていた。というのも、これはこの小説全体で言えることなのだが、まず大前提に、この話はハリーの視点のみで語られている。話の導入によってはハリーがいない場面でいわゆる神の視点から描かれる部分もあったが、ほぼ全編でハリーの視点のみで話が進んでいった。なので、映画でも有名なシーンである、ロンとハーマイオニーが秘密の部屋にいくエピソードは秘密の部屋から戻ってきたロンとハーマイオニーから語られるのみだった。ハリーが一度死んでからの戦いも映画ほどダイナミックなものではなかったが、これはこれで面白かった。映画は映画、小説は小説で違う楽しみ方ができた。

ただ、映画を見たときにも思ったがなんでこんなに人が死なないといけなかったのかだけはやっぱり理解ができなかった。ドビーとルーピンとフレッドの死は本当に悲しかった。死の秘宝に限らずでいえば、セドリックとシリウスの死もしんどくてしんどくてしかたがなかった。別の本で作者が「本当はルーピンを死なせたくなかった」と記していたが、じゃあなんで死なせたのか!!ともはや怒りが湧いたぐらいだ。それぐらい厳しい戦いだったといえばそれまでだろうが、それでも、それでもやっぱり悲しいものは悲しい。みんな生きていてほしかった。

この死の秘宝で、全編を通して悪者のように描かれていたスネイプ先生の過去が明らかになり、映画を見たときの印象より複雑な立場で、あんまりスネイプ先生は好きではなかったが、少し印象が上がった。文字になったことによってようやくスネイプ先生のことが理解できた気がした。だが、これは全編を通して言えることだが、それでも、どうしてもスネイプ先生はあんなにもハリーに厳しかったのだろうかと思う。だって、曲がりなりにも先生でしょ?と思うシーンが多々あった。まぁ、私情を挟む先生なんて現実でもいくらでもいるので、そういうことなのかなとは思うのだが。それでも、このスネイプ先生のいけずな理由だけは原作を読んでもわからなかった。


ここまで、いろいろ長々と語ってきたが、全編で言えることは本当に面白かったということだ。結局そういうことである。
ブクログの本棚に登録をする際、ちらっとレビューを見てみると、やっぱり訳が酷いだのいろいろ書かれていたが、翻訳文が苦手な私だが、今回はそんなに思うこともなかったので、読んでみないとわからないものだなと思った。なんでも自分の目で確認するべきである。

休みに入ったら映画をもう一度全部見ようと思う。そして、次はぜひ原文で読んでみたい所存。英語の多読をもっと進めて、原文で読んでまた違う楽しみを見つけたい。

この1ヵ月、しんどい毎日の中ささいな楽しみをくれたハリーポッターに感謝をしたい。ありがとう。

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