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しゃべるのが苦手な人のための職場の雑談入門 4.長い雑談をする


コロナも明けて職場の懇親会に参加する機会もあるだろう。ときには、職場の人とプライベートな飲み会に誘われることもあるかもしれない。
あるいは上長やメンターとの1on1ミーティングのような場でお互いの話をすることもあるだろう。

こういった場に参加するとなると、否応なく長時間の会話をすることになる。そこでモジモジして会話が続かなかったり、気後れしてしまって会話に参加できず辛く感じてしまうことは、誰しもが通過する苦い経験だ。

数分で終わるちょっとした雑談とは異なり、長い雑談が想定される場ではこういった経験を繰り返さないためのいくつかのポイントを押さえておこう。

会話を準備する

卒業発表や社内報告会、あなたはどれくらい発表の準備をしただろうか。
原稿を準備して何回も読みこみ、想定される質問の回答を準備して本番に挑んだはずだ。準備をせずにぶっつけ本番で挑んだ結果さんざんな目にあった経験を持っている人もいるかもしれない。

報告会と同じように雑談も本番前にちょっとした準備をしよう。

たかが雑談といえども、長い場合はぶっつけ本番でうまく話が盛り上がる都合の良い展開ばかりとは限らない。
雑談が苦手だと感じているのなら、懇親会のような長時間の場所では事前に雑談の内容を想定をしておき、関連する時事ニュースをざっと調べておいたり、予備知識を頭に入れておくことで会話ができるような準備をしておこう。

・雑談する相手はだれか。話好きか、あまり話さない人か。
・相手の趣味や仕事内容は何か
・想定される会話のテーマは何になりそうか(仕事、趣味、時事、プライベート、など)
・共通の知り合いがいないか
・前回その人とどんな会話をしたか

話題を準備するにあたって考えてみること一覧

笑いのとれるきれいなオチのある話を懇親会でしゃべれる人は、事前に内容を準備したり、何度も同じ話をしゃべることで練習をしている。

特に自分が長い雑談で話し役になる可能性があるは、複数の話題を準備しておこう。その日使わなくても準備を繰り返すことでストックが増えていき、準備無しでもいろんな引き出しを増やせるようになる。

聞き役か話し役か

長い雑談では多くの場合、どちらかが話し役にたち、どちらかが聞き役になる。
立場上、年上/役職者が話し役になり、年下/部下が聞き役になるケースが多い。聞き役に回れば必ずしも多くをしゃべる必要はない。

しゃべっている方は基本的には楽しいので、相手が話し役になりそうなら相手に話し役をゆずり聞き役に回る。ただ世の中にはあなたと同じように会話が苦手な人がいる。相手が話し役にならない場合に備えて、いつでも話し役になれる準備はしておこう。

私個人は話したい人がいる/主賓がいる場合はできるだけその人に話し役をしてもらい、話し役がいない/自分が主賓の場合には自分が話し役になるというポジションを目指している。

〇よい聞き役になるために

漫才と一緒で会話の面白さは話し役の話の面白さだけではなく、聞き役の反応に負うところも大きい。よい聞き役として、うなずいたり、オチには笑ったり、テンポよく相手に質問をぶつけたり、つっこんだりすることで会話のリズムを作っていくことを心がけよう。

わざとらしい反応は白けてしまうが、自然にリアクションをとってあげることを意識しておこう。
聞き役は話さなくてよい一方で、話し役の話が面白くなくても聞かなければならない。ときには我慢が必要となるがそんなときでも聞き役として上記の役割をこなそう。

〇よい話し役になるために

いくつかエピソードを準備しておこう。
時事ニュース、最近あったできごと、じぶん自身のこと、話題はなんでもよいが、聞き役が興味を持てそうな内容であること、聞き役が知っている話題を選ぼう。自分だけしか知らないテレビドラマの話をしても相手は反応に困ってしまう。
あまりしゃべりに自信がない人でも会話が途切れたら囃し役として話題を提供してみよう。無言になるよりも何か話している方がずっと良い。

話し役の場合、自分ばかりが話してしまわないよう自分の話がひと段落したら相手にも話を振ってみよう。聞き役にも3割は話してもらう按分が好ましい。

会話を準備する方法

しゃべりに自信がない人は次の観点から話題を準備してみよう。

プライベートを開示する

ハラスメントの意識が浸透した昨今、相手はあなたのプライベートに関する質問を切り出しにくくなっている。
特に上司や役職者ほど気を遣わなくてはいけないので、下手をすれば自分から言い出さない限りプライベートに関する質問をされることがないということすらありうる。

しかし懇親会などの場では、ある程度自分のプライベートな部分を話さないことには会話が成立しない。

そのため職場の人に対してプライベートをどこまで開示するか自分自身で決めて、話題にして問題ない内容を自分から開示し「この内容は聞いてOK」という線引きを周りに示してあげよう。

最近恋人と別れた、趣味のために借金している、すべての有給を使ってアイドルの追っかけをしている、etc…、もちろん言いたくなければ言わなくてもいいが、話題にして大丈夫なら思い切って自分から開示してしまおう。

プライベートはすべてを開示する必要はないが、開示できる内容が多いほど、話題として切れるカードが多くなる。
趣味・住んでいる地域・出身・家族構成・恋人の有無・学歴/職歴・健康状態・好きなもの、自分がどこまでを職場の人に開示するか考えておこう。

趣味がサッカー観戦であることを相手が知っているからこそサッカーの話題をふられるし、恋人がいることを相手が知っているからこそおすすめのデートスポットの話題が提供される。

次の中からどこまでが話題に提供できるか考えてみよう。

学歴/職歴 自分の専門分野や大学のサークル活動、以前の職場での経歴など
出身 その地域出身のあるあるなネタや風習、方言など
家族 両親の職業や兄弟など。
パートナー 恋人はいるか。独身か既婚か。
健康状態 若いうちは気にしなくてよい。年齢を重ねると健康診断でバトルをすることになる
趣味 どんな趣味を持っているか。後述
好きなもの 好きな食べ物、好きな芸能人/アーティスト、好きなブランド、好きなスポーツチーム

プライベートを話すコツ① 趣味を話す

プライベートな中でも、趣味は最も無難な会話の糸口の一つだ。どんなにプライベートを隠したくても、職場の人に話しても問題ない趣味を一つくらいは用意しよう。
別にそのために趣味を作る必要はない。好きなものを語る程度でもよい。

さて、あなたはどういった趣味を持っているだろうか。

よくある趣味は
A. アウトドア/服飾/グルメ/旅行/音楽演奏/運動
B. ゲーム/漫画・アニメ/読書/音楽鑑賞/スポーツ鑑賞/映画
あたりだろう。

一般的にAのほうがより自分が主体となって体験する趣味に対して、 Bは他社の体験を鑑賞する傾向の趣味なので、便宜上、Aを主体的な趣味、Bを受動的な趣味と呼ぼう。

主体的な趣味はそのまま話すだけで内容があるので、雑談が苦手な人でも話しやすい。
旅行であれば車で1日かけて日光東照宮に紅葉を観光しに行ったというだけで話題になる。道中、渋滞に1時間はまったり、紅葉が非常にきれいだったこと、食事がおいしかったことなどを織り交ぜれば、どんなに口べたでもカタチになる。おいしいものを食べに行った、何か目標に向けて音楽やスポーツの練習をしているという主体型の趣味は、趣味そのものが話題となりうる。

雑談が苦手な人は主体的な趣味から話していこう。

とはいえ、受動的な趣味しかなければそれを話すしかない。
受動的な趣味を話題にして理解してもらうにはコンテンツの共有が必要となる。

例えば漫画の話題で盛り上がるためには、相手と自分の両方がその漫画のことを知っていなければならない。どんなに自分の好きな漫画だろうと、誰も知らない漫画を挙げられては相手も反応に困る。

漫画が好きなら自分が好きな漫画の中で最もメジャーな漫画を選ぶ。
できればワンピースやドラゴンボールのような多くの人が知っている漫画が好ましい。
相手も知っているコンテンツであれば「どのキャラクターが好きか」「○○のシーンが感動した」といった話題が出せる。相手との会話の中で同じ趣味だと分かれば、そのときはじめて、本当に好きな漫画の深い話をすればよい。

もちろん漫画好きならもっとコアな漫画、例えば「ぼっち・ざ・ろっく!」が一番好きでもいいし、それを紹介するというのも否定はしない。ただ「ぼっち・ざ・ろっく!」は周りの人全員が読んでいるわけではないし、まして名前を知っているわけではない。「ぼっち・ざ・ろっく!」が一番好きな漫画だと話せば、その後の会話の流れは「この漫画はどのような漫画なのか?」「この漫画は何がおもしろいか?」という質問になるだろう。

あなたは自分の好きなコンテンツに対するこの質問に相手が興味を抱けるような魅力的な回答をできるだろうか。コンテンツへの情熱で強力に会話をグリップして、そのコンテンツを知らない相手に対して布教までできるコミュニケーション強者は存在するが、私たちはそのような高い目標を掲げない。

私たちの目標はまずは、相手に興味を持ってもらうように自己を開示するということだ。そのためには「どんなテーマなら相手が話題に興味を持ってくれるか」を考えて準備をしよう。

プライベートを話すコツ② 体験談を話す

適度に自分が体験したエピソードを話してみよう。仕事でもプライベートでも構わないが、できれば興味を引くポイントやオチがある話がよい。

私がおすすめする話題は自分の失敗談だ。自分の失敗談には必ずオチがあるので笑いどころがあり、かつ他人を傷つけることがない。
自炊したら鍋を焦がした、車をぶつけてリアがへこんだ、初めて寝坊して遅刻した、といったそこまで深刻ではない失敗談を笑って話せるようになろう。大事なことは笑い話とすることだ。深刻な顔をして話すと相手も笑っていいのか分からなくなる。

プライベート以外の話題としては次の二つがよく使われる。

時事を使った会話

経済、社会、スポーツあたりの時事ニュースは皆が内容を理解しているので話題にしやすい。深刻な政治と社会問題は対立を生みやすいので避けるべきだが、特に年齢や役職が高い人はこういったニュースをよく見ていることが多いので話題に使いやすい。

男性が多いなら野球やサッカーのメジャースポーツは見ている人が多いので話題にしやすい。また昨今なら大谷翔平、藤井聡太などの話題の人、アメリカの大統領選挙、AIや半導体関連の話題は無難な会話を作りやすい。

相手が近くに住んでいるなら新しい店ができたことやどの飲食店がおいしいかといった地域の話題も使いやすい。

共通の知り合いを使った会話

その場にいない共通の知り合いの話をすることも話題をつなぐ一つの方法だ。

「○○課長とこの間話したら仕事が忙しそうでしたね」、「○○部長は甘いものが好きと聞いて意外に感じた」というふうだ。暗に自分がその人を知っているというアピールにもなる。

ただし、こういった話はあまり多用するとうわさ話が好きな人となってしまうかもしれないので注意。
話題に挙げた人から信頼をなくすようなことや嘘は言わないようにしよう。実は辛いものが苦手、よく道に迷っている、といったほほえましい程度のエピソードに留めよう。


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