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2023年F2ドライバー紹介&シーズン展望

F2はF1の直下カテゴリーである。マシンこそ違えど、F1と同じコース、同じポイント制度、同じミシュランタイヤ特性で、若手ドライバーが毎年熾烈な戦いを繰り広げる、F1ドライバーへの登竜門的なシリーズである。

毎年このF2で優秀な成績を修めた上位ドライバーたちがF1へ昇格してく。

今年F1デビューしたマクラーレンのピアストリ(写真中央)は2021年のF2チャンピオン。ウィリアムズのサージェント(写真左)は2022年のF2の4位入賞者。アルファタウリのレギュラードライバーとなったデ・フリーズ(写真右)も2019年のF2チャンピオンだ。

DAZNに加入していれば、F1だけでなく、このF2も観ることができる。せっかくの見放題なので、未来のF1ドライバーたちの活躍を観れるF2も是非のぞいてみよう。

この記事では、一般に情報が少ないF2シリーズの今シーズンの見どころと参戦ドライバーを紹介していく。

① 日本人ドライバー岩佐歩夢の活躍

岩佐歩夢 F2参戦2年目 所属チーム DAMS
以後、ドライバー肖像はすべてF2公式サイトから引用

岩佐歩夢は現在、最もF1に近い立場にいる日本人ドライバーだ。
アルファタウリの角田と同じく、ホンダの支援の下、RedBullの育成ドライバーとなり、2021年にF2直下のF3で活躍し、2022年にはF2へランクアップした。2022年にはデビューイヤーながらF2で年間ランキング5位と優れた成績を収めたことで、一気にF1ドライバーへの道が現実味を帯びてきた。今年ウィリアムズからF1デビューしたサージェントが岩佐の1つ上のランキング4位だったといえば、F1デビューにかなり近い位置だったことが分かるだろう。

彼にとって今年のF2シリーズは間違いなくF1への切符を掴めるかどうかの勝負の年になる。F2チャンピオンとなればF1ドライバーへの昇格が大きく期待でき、年間シリーズ2位か3位となれば、状況次第ではF1ドライバーへと道が拓けるはずだ。

今年も引き続きDAMSから参戦。DAMSはトップチームに比べてやや地力が劣るが、開幕4レースを終えた時点でスプリントレース1勝を含む全戦入賞とマシン以上の実力を出し、視界良好の出だしだ。

② RedBull育成ドライバーたちの熾烈な争い

このまま岩佐の好調さが続けば、彼のF1昇格も現実味を帯びてくるが、もちろん障壁は決して低くない。同じRedBull育成ドライバーに所属するライバルたちが例年になく多数F2に参戦しているからだ。

Redbull育成ドライバーは自分が良い成績を残すことは必須として、良い成績をとったうえでほかのRedBull育成ドライバーたちよりも秀でた成績を納めなければならない。極論、F2選手権で2位をとってもチャンピオンがほかのRedBull育成ドライバーならF1への道が拓けない可能性もある。育成ドライバー同士のチャンピオンシップの争いにも注目だ。

今年F2に参戦しているRedBull育成ドライバーは6名。継続参戦が岩佐、ハウガー、フィッティパルディの3名。新規参戦がハジャー、マロニー、クロフォードの3名だ。

継続参戦の岩佐、ハウガーはジュニアカテゴリーでの実績からは下馬評ではハウガーが有望視されていたが、昨年の岩佐の活躍とハウガーの不調から序列が逆転しそうになっている。
フィッティパルディは70年代にF1チャンピオンを獲得したエマーソン・フィッティパルディの孫。もともとはフェラーリ育成であったが、そこから外れてしまったものの、F2に参戦した初年度に光る走りを魅せRedBull育成ドライバーとなった。

デニス・ハウガー F2参戦2年目 所属チーム MPモータースポーツ
エンツォ・フィッティパルディ F2参戦2年目 所属チーム カーリン

新規参戦組ではハジャーの活躍が注目されている。F3で速さをみせ、RedBull育成の総帥ヘルムート・マルコのお気に入りだ。初年度から飛び抜けた成績を修めれば、序列を一気に追い抜いてF1デビューがあるかもしれない。
若干17歳でF2に参戦するクロフォードもハジャーのチームメイトとなり対決が楽しみな存在。
また、マロニーは昨年度F3で優秀な成績を修めたことで、RedBull育成契約を獲得。

アイザック・ハジャー F2参戦初年度 所属チーム ハイテック
ジャック・クロフォード F2参戦初年度 ハイテック
ゼイン・マロニー F2参戦初年度 所属チーム カーリン
全員RedBullカラーのマシンで参戦するので見分けがつきづらい。観戦の際にはこちらを参照

さらに昨年F2で3位入賞し、今年スーパーフォーミュラに参戦しているローソンもF1ドライバー候補であり、実質的には彼がほか6名よりもF1への道は半歩先んじている。ローソンはスーパーフォーミュラにてチームメイトの野尻に負けない速さをみせ、シリーズで優秀な成績をたたき出せば、真っ先にF1に召集されるだろう。

スーパーフォーミュラ参戦予定のローソン 所属チーム TEAM MUGEN

彼らが狙うF1のシートは当然アルファタウリの角田とデ・フリーズの席だ。アルファタウリの2名としても下でひしめく候補生たちにシートを奪われないようにF1で結果を残さなければならない。2024年のアルファタウリのシートが誰のものになるかを想像しながら見ると、F1とF2、そしてスーパーフォーミュラをより楽しく見ることができるだろう。

③ 将来のF1候補生たちの活躍

もちろんF2にはRedBull育成以外にも将来を嘱望されているドライバーは多い。F2に参戦している22名のうち、F1チームの育成ドライバー契約している有望なドライバーを中心に何人か紹介していこう。

育成ドライバーたちは、F2の結果をもって契約先のチームがF1昇格を判断する。おそらく彼らのうち数名は数年のうちにF1にデビューするだろう。

プルシェール

ザウバー(アルファロメオ)育成ドライバーであるプルシェール。若干19歳ながら昨年はドルゴヴィッチに次ぐ2位入賞。実力は申し分なく23年のF1昇格も噂されたがシートの巡り合わせで席を獲得できず。さらに23年はスーパーフォーミュラでの武者修行も報道されたが実現せず。F2に留年となった。

実力的には今年のF2優勝筆頭候補。

テオ・プルシェール F2参戦3年目 所属チーム ARTグランプリ


アーサー・ルクレール

現フェラーリチームのエースドライバー、チャールズ・ルクレールの弟。チャールズ・ルクレールがフェラーリ育成だったように、アーサー・ルクレールもまたフェラーリの育成ドライバーである。
F3では速さはあるが、荒いドライビングも目立った。正直、兄ほどの才能は感じないが、ネームバリューもあるので、好成績によってはF1昇格がありえる。
岩佐のチームメイトであり、岩佐としては彼よりもいい成績をとることが求められている。

アーサー・ルクレール F2参戦初年度 所属チーム DAMS


マルタンス

アルピーヌ育成ドライバー。昨年度のF3チャンピオン。参戦初年度ながらすでにF2上位陣と対等の速さを見せ始めている。同じくアルピーヌ育成ドライバーであるドゥーハンとともに、アルピーヌ育成の2台はチャンピオンシップ争いに絡んでくるだろう。

ビクター・マルタンス F2参戦初年度 所属チーム ARTグランプリ


ベスティ

メルセデス育成ドライバー。昨年度から時折レースでの強さをみせてきたが、今年は名門プレマ・レーシングのドライバーとして速さを一段と魅せるようになってきた。

フレデリック・ベスティ F2参戦2年目 所属チーム プレマ・レーシング


ベアマン

フェラーリ育成ドライバー。昨年はF3で3位。初年度から名門プレマ・レーシングに加入していることからもフェラーリ育成ドライバーの中でも目をかけられた存在であることがうかがえる。
このフェラーリ育成-プレマ・レーシング所属は系譜はシャルル・ルクレールやミック・シューマッハらが通ってきたF1昇格の王道ルート。彼も続くことができるだろうか。

オリバー・ベアマン F2参戦初年度 所属チーム プレマ・レーシング

その他、継続参戦しているドライバーについては昨年の記事を参照してほしい。

まとめ

2023年のF2シーズンもF1に負けず劣らず熱い戦いが繰り広げられることだろう。F1ファンの皆さんも、ぜひF2を見て彼らの奮闘を楽しみにしてほしい。

参考サイト
F2ランキング

F2公式

F2 Lap Time


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