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「思考は現実化しない!?」~世界はあるベストセラーに80年騙され続けた~

いつもはスポーツについてツイートしている私だが、本日はだいぶ毛色の違うトピックを取り上げたい。

最近日本でも、嘘で固められた自称ビジネス系インフルエンサーがその真の身元がバレ、炎上し始めている。はい、竹花君とか、マナブ君とか。実態としては何をやっているかわからないものの、なぜか凄くお金を持っていることをアピールして、その信用力を糧に情報弱者を上手に操り、そこから月額制の情報商材でお金を巻き上げていくという仕組みだ。

この二人以外にも個人的に怪しいなと思う日本のビジネス系ユーチューバーはいるが、その話題はさておき、今回はビジネスをしている誰もが知っている超大物著者についてその疑惑を分析してみたい。

もしこの彼が本当に「黒」だとすると、竹花君みたいにビジネスを題材にした情報商材屋さんは、100年以上前から存在していたこととなる。しかも、それで巨万の富を稼げるのだから驚きだ。。

0)その超有名な著名人とは?

タイトルからお気づきの人もいるかもしれないが、今怪しいと改めて取り上げられているのが、世界的超ベストセラーである「思考は現実化する」で有名なナポレオン・ヒルである。この本は恐ろしいセールス数を誇っており、なんと世界で合計7,000万部!?も売れているのだ。。。

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彼については、ネットを調べると兼ねてから怪しいという人がちらほら出てきているが、その怪しさが最近より有名になってきている。

それはコロナ下で多くの人が時間を持て余したためか、YouTubeやインスタグラムなどをみるようになり、それに準じてそれらSNS上にて活動していたビジネスインフルエンサーを分析するものが増えたためだ(日本の竹花君が暴かれたそれと同じですね)。

なお、米国では過去数年に亘り、YouTubeの発展とともに①アジア系億万長者なダン・ロック(Dan Lok)、②黒人成り上がり億万長者ヴァージン・ウェスリー(Virgin Wesley)、③白人で、働かなくして簡単に数千万稼げると歌ったエイドリアン・ギー(Adrian Gee)らが台頭していた。

しかしそのいずれもは、実態としてはお金を全く稼いでおらず、YouTubeを軸にした、「彼らのビジネスサロン(≒嘘の情報商材)」でぼろ儲けしていたことがわかってきた。ダンロックなどはこれだけど、10億円ほど稼いだのではないだろうか?

1)ナポレオン・ヒルの何が怪しい?

まず彼の本を読んだ人ならわかると思うが、ヒルは名も無い記者として活動していたときに、当時世界一のお金持ちとされていた超有名ビジネスマンであるアンドリュー・カーネギーへの3時間にも及ぶインタビューに成功し、彼からビジネスの基礎を教わり、それを他の人からの教えとあわせ書籍化した人物だ。(後にそのカーネギーからフォード社の社長など様々な、有名実業家を紹介してもらい、彼らのインタビューにも成功しているという設定)

この本は何も知らずに読むと確かによく書かれており、一時期日本でも流行った「シークレット(=引付の法則)」のように、欲しいものを念じ、強く欲望し続け行動し続ければその願いが叶うという機軸を元に書かれている。

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つまり、超短的に述べると、カーネギーがお金持ちになれたのは、最初に欲しいもの(お金)を強く念じ続けたためという事になる。

しかしこれが怪しい。そもそもカーネギーは多くの自叙伝を執筆しているが、その中では一度もナポレオン・ヒルは登場しないのだ。(カーネギー公式の自伝代筆者である、デイビッド・ナッソー氏も、カーネギーから一度もヒルの名前を聞いたことはなかったと後に答えている)

また、調べるとヒルがカーネギーとのインタビューについて積極的に宣伝し始めたのは、カーネギーの死後からだいぶ時間が経ってからだ。(=カーネギー本人や、その周囲に嘘だと暴かれないようにか?)

2)具体的な怪しさ満点ポイントとは?

ナポレオン・ヒルの本では、カーネギーは「人の給与・待遇は、その人の頭の中で限界を作ることで押さえ込まれている(英語分を筆者直訳)」と記載あり、お金はその人がどれだけ頭の中で限界を作らないか、またそれを信じて頑張り続けられるかで貰える額が決まるとある。

まさに引き寄せの法則であり、これだとどんなに学歴がなくても、どんなに実績がなくても多く稼げると思わさせられる。

しかし、当のカーネギーの自伝では、「世の中の競争環境によって、経営者は経済合理性に基づいてのみ、従業員に給与を払うことができる(筆者直訳)」と述べている。また、「衣類などを実際に生産する人より、その製造工程を所有する人の方がスケールの観点から、より大きな富を得ることができる(注:筆者直訳)」とも述べており、完全にナポレオンヒルに向けて「言ったとされる」内容と相反しているのだ。

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まとめると、ヒルは誰でもしっかりと頭の中で限界を作らずに、それを信じ続けられれば誰でも大金を得られると言っているのに対し、カーネギーの自伝ではそんな精神論は一切なく、純粋なビジネスマンらしく経営者(所有者)と労働者(非所有者)?に立ち位置の重要性が解かれているのだ。

3)カーネギーとの接点以外で怪しい点は??

ヒルについて疑いの目を持って「思考は現実化する」を改めて読んでいくと、カーネギーの話以外のものもかなり怪しく見えてくる。。。そもそも第一次世界大戦中に、ウィルソン大統領にアドバイスをしていたとの内容があるが、これに関しては一切ホワイト・ハウスに記録がないのだから。

ただ、ヒルの怪しさ満点の点は、この書物以外にもある。彼は思考は現実化するを執筆前、米国で自動車エンジニアを育てる専門学校を設立している。

1900年代初期といえば、第一次産業革命真っ只中であり、今でいうAIエンジニアと同様に、その当時は自動車整備士の需要が異常に高かったのだ。そこに目をつけて開校したと思われる。

しかしこの中身がヤバイのだ。そもそも彼は整備士の資格を持たなければ、自動車業界における経験もないのだ。そんな者が設立した学校にあなたなら行きたいだろうか?しかもその内容もやばく、生徒から学費を受け取りながらも、提携していた自動車会社(カーター・モーター車)からお金を貰いながら、学生に費用を払わずに派遣していたのだ。

言い換えると、無償労働者を上手に確保し、それをフル活用していたのだ。そして、その学校で教わる内容についても批判が多く、

同学校はあまりにヤバイことから、設立からわずか5年足らずで閉校に追い込まれたのだ。

他にも彼の歴史を掘っていくとヤバイことは多いが、今回はここまでとしよう。

まとめ

いかがだっただろうか?

これまで世界一のビジネスコーチとしてもてはやされてきたナポレオン・ヒル、こうやって見てみると彼の言っていることは真実に基づいているのでなく、頭の中で起きていることだった可能性が極めて高いことがわかってくる。

つまり、YOUTUBEの世界的な普及を期に誕生したと思われるビジネスGuru(=ビジネスインフルエンサー)達、実は80年以上も前からその原型は存在していたのだ。

もしかしたら、現在ネットの世界で活躍しており、実績を偽っている自称ビジネス・インフルエンサー達はナポレオン・ヒルがこのように虚構の世界に行きながらもこの一冊の本で超有名になれたことを参考にし、その現代版を模倣しているのだろうか。

このような時代に生きる我々、情報をしっかりと見極め、何を信じるかを磨く力は本当に重要である。でないと、ナポレオン・ヒルや、変な情報商材屋に騙される人生を送ってしまう可能性もある。

なお、個人的には本物のビリオネアである、ウォーレン・バフェットや、マーク・キューバンが言うとおり、コンパウンド・エフェクト(小さな努力・行動の継続が最後大きな結果を生む)が事を為すために最も大事だと思っている。。

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