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"Co-founder"という名のライオン
こんにちは。
わたしは海外というジャングルで起業した、
世にも珍しい日本猿。
前回のわたしという猿の紹介の合間に出て来た親友の美しい猿からコメントが届いた。
![](https://assets.st-note.com/img/1680745069303-laXAgcZule.jpg?width=1200)
流石に北海道のヒグマはやり過ぎだw
仁王立ちして両手を上げ、今にも人々に襲いかかりそうな様が想像できる。
さて、今回はわたしのパートナーの話をしていく。
いわゆる、"Co-founder" (共同創業者)というやつだ。
今までの起業のなかで何度か共同創業というものをやったり身近で見ているのだが、実際は正直もう懲りている。
始める時はお互い納得して始めるのだが、
あとからどんどん話が噛み合わなくなってくる。
お互いがお互いに対するエクスペクテーションが高すぎたり、コミュニケーションが取りづらい状況になったり、最終は信頼関係が失われることでうまくいかなくなる。
人間と人間、猿と猿、
はたまた猿とライオン、
猿とライオンと馬、など
同じ人種であったり違う人種や宗教であったり、
世界というジャングルで起業するには、
様々なパターンが考えられる。
実際にうちも、
わたしという日本人の猿(とくに宗教なし)
インドネシア人のライオン(クリスチャン)
中国人の馬(元々は仏教の家系だけど特に縛りなし)
という3人の共同創業者で創業している。
またあたらめて馬については話すとして、
どうしてライオンとシンガポールで会社を共同創業することになったかを話していく。
簡単に言うと、
とてもしつこかったからだ。
これは、良い意味でも悪い意味でもある。
この雌ライオンは、
わたしにとても執着した。
わたしは彼女に知り合った当時日本含む3つほどの会社で
F&BからコンサルティングからITのPRからバイヤー業から
業界や国を跨ぎながら
毎日SlackからChatwork、
emailからWhatsapp, LINE WORKSを行ったり来たり、時差も様々でたまにミーティングをダブルブッキングしちゃったり、
とにかくしっちゃかめっちゃかしていた。
その状況も見ていたわたしのクライアントだった彼女は
"あんたとビジネスしたい" と、
一歩も引かなかった。
"この案件に数%で良いからお金いれない?"
と良く誘われたが、わたしは全て断っていた。
興味がないからだ。
それに関してもきっぱり伝えていた。
はっきり言ってその時のわたしは、
それどころではなかった。
毎日秒単位で必死に生きていた。
もうこんなに案件取ったらダメなんだな、と今ならわかるが、一回だけやってみたかったことがあった。
それは、
わたしの8個上の、いわゆる一流大学を卒業した
"旦那の月収を超えてみる"ことだ。
今はくだらないことだったなと思えるのだが、
ずっとずっと身近にある結構高い山に、
一度だけでいいから登ってみたかった。
すぐ近くにあるのに、一度も登ったことがなかった。怖くて登れなかったのだ。
一度で良いから山頂の景色を見て
美味しいお酒を味わって見たかったのである。
そして、一気に沢山の案件を請け負うことで、
それを数ヶ月やり遂げた。
やり遂げた後のシャンパンは確かにうまかった。
が、
あとから思うと擦り切れるほどに働いただけで、あまり記憶がない。
それはただの短距離走で、とにかく必死に駆け抜けた人生の一部だった。
彼は頭容易く自分を維持しながらその額を稼ぐわけだけど、わたしは息するのも忘れるぐらい・なんならトイレに行くのも忘れて膀胱炎になるほど働くのだ。
膀胱炎になったって、病院にいく時間すら惜しい。
ただ、受けたすべての仕事の人間関係や仕事内容はひとつひとつ楽しすぎて没頭していて、
全部辞めたくなかった。
尊敬できる世界の動物たちと働けたことを今でも誇りに思うし、
ベルリンにいるチーターみたいな足の速い元上司や
シンガポールにいるラクダみたいな優しい元上司を
今でも心から尊敬していて、
いまだに連絡を取る。
あなたと仕事できて本当に嬉しかった、
あなたの仕事の仕方から感銘を受けた、
と言ってもらえるだけで
SNSでもらえる100イイネ!よりも
自己肯定感は思いっきりどろっどろに満たされ、わたしは満足だった。
話をライオンに戻す。
ライオンは、インドネシアで20年近くF&Bやフランチャイズのビジネスをしていて、業界でいうベテランだ。
フランチャイズの業界だとあるあるな話だが、
色んな人が彼女に近寄ってくる。
簡単に言うと、ビジネスも成功していて、富裕層なのだ。
海外含め、数回日本の企業も海外でのフランチャイズ展開をしたいと、彼女の噂を聞きつけて相談しに来た。
はっきり言って日本でもそんなに有名じゃないブランドのことなど、彼女は知らない。
日本人猿であるわたしと
中国人の賢い馬は
彼女に近寄ってくる変な人たちを見極めて彼女を止めたりする。たまにおかしな話を持ってくるひともいる。
特にわたしは日本人なので、
日本のブランドを調べたり、業界の中での評判を聞いたりもできる。
彼女のことを一言で表すと、
天真爛漫なライオンだ。
喜怒哀楽は激しい。
ガオーっと怒ったかと思えば、
次の瞬間には爆笑している。
そんな人だ。
わたしはこの天真爛漫なライオンと何度も喧嘩したことがある。彼女の参謀である賢い馬も彼女といつも本気の喧嘩をしている。
朝から深夜まで仕事して、明日わたしだけ朝から仕事があるのに、夜中の2時に2人が深夜のモールの中で女ふたりがどつきあいの喧嘩を始めた時、
はっきり言って
わたしがふたりをどついてやろうかと思った。
とんでもないやつらだ。
どうしてそんな激しい女ライオンと会社を共同創業したかというと、彼女には激しさと共に愛があるからだ。
わたしが朝から晩まで働いていると、
たまに予期せぬことが起きて子供の学校のお迎えに間に合わないことがある。
その時グループチャットにわたしは
HELP!!!! UGENT!!!! (緊急!!助けて!!)
を発令する。
そうするとグループのマネージャーたちやライオンや馬が連絡を取り合い、うちの息子のお迎えに誰かが走るのだ。
グループの働き者オペレーションマネージャーの雌の羊がよく反応してくれる。
"おっしゃ、
わたし今車出してるからそのまま向かうわ!!"
本当に助かる。頼りになる。
そして時間が空いている誰かが店舗に息子を連れて行ったり、わたしのところに連れて来たり、
ライオンが預かりライオンの息子たちと食事に連れて行ってくれたりする。
家族ぐるみ、
会社ぐるみ、
動物ぐるみの付き合いだ。
ひとつ彼女がわたしに言ってくれた言葉で
すごく心に残っているものがある。
新規ブランドの店舗のオープニングで
オープンで店舗オペレーションにも入らないといけないけど、前日夜までセントラルキッチンで仕込みをするわたしは感慨深く、
"あー、明日オープンだね"
とテキストしたら
" I trust you" (あなたを信頼してるよ)
" I believe your taste and crativity also"
(あなたの作る味とクリエイティビティを信じてる)
と連絡が来た。
少しだけナーバスになっている試合前の選手にかけてあげる一言って
こんなのがぴったりだと思った。
わたしだって良いこと悪いこと、
成功体験や苦い経験含めて今まで色々な経験をしているから、
今後の将来はどうなるかなんてことはわからない。絶対なんてないと思う。誰だってそうだと思う。
でもそれでも今はこの人を信頼し、
信頼してもらい、
パートナーシップを組んで会社やブランド、
そして自分を必ず成長させる、
思いっきり面白いことをしてやる、と決めた。
パートナーとして、
こんな素晴らしい動物はあまりいない。
わたしのようなとんでもない気狂いの日本猿のパートナーになるには、上等な百獣の王だ。
シンガポールに住むライオンと日本の猿は、
シンガポールというジャングルに会社を創業した。
つづく。
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