Ethical?

みなさん、エシカルと聞いて何を思い浮かべますか。

ゴミを減らそう、CO2を減らそう、動物の命を守ろう、なんていうところが思い付くところではないでしょうか。もちろんこれもエシカルな重要なポイントです。最近だとスーパーやコンビニでのレジ袋有料化の法律も環境に配慮して作られた法律ですね。

似た様な言葉の意味をそれぞれまとめてみました。
・エシカル    環境、社会、人に対して思いやること
・サステナブル  暮らしを維持していけること
・エコ      環境に配慮していること
・ロハス     健康で持続可能な生活様式という意味。
         「Lifestyle of Health and Sustainability」の略語

さて、僕のレザーブランドでは、この観点で見た時どういう認識でいるのか今回クリアにしておきたいと思います。

牛革を使用する意味

多くの消費者は一口にレザーと言ってもそれがそもそも何の革なのか(牛なのか豚なのか、はたまた馬なのか羊なのか)認識していない方もいらっしゃるかもしれません。
どの動物であったとしても、ファーなどごく一部を除いて革にされるためだけに殺される動物はほとんどいません。食用肉の副産物として、精肉や内臓はじめ骨や血液等と同様皮もヒトが道具を使い始めた頃から身近な材料として生活に活用してきました。布すらない時代から身体を覆って寒さからも守れる貴重な材料として重宝され、布が出来た後も人々は各地で生き物からの頂き物として皮を革に変えて生活に役立ててきました。

動物の命を奪う行為を人間の身勝手あり、野蛮だとして動物愛護活動を行ったりベジタリアンになる方々もいらっしゃり、そういった方々の主張を否定するつもりは全くありません。しかし、僕自身はそういった趣旨に賛同して自分の生活に取り入れるには違和感を感じます。
僕にとって一番大きなポイントなのですが、『動物はダメで植物は良い』という命の線引きの仕方です。動物は意識があり血も流れているので可哀そうだから殺すのは止めよう、その代わりに何も言わない植物はどんどん育ててどんどん収穫しよう、という判断は『人間は特別』というのと同様に同じ命の扱い方として不平等だと感じます。これは自分が花や木々を育てていて思い入れがあり、植物寄りの立場だからこその考え方だとは思いますが、動物にダメであれば植物にもダメであるべきです。ただ、そうすると人間が食べられるものは、動物から分けてもらうミルクか植物から分けてもらう果物くらいしか無く、とても現実的ではありません。

突き詰めれば、僕ら人間は他の生き物の命を戴く事以外で生きていく事ができない生き物である事を今一度認識する必要があります。それを踏まえれば、何を食べ何を食べないかではなく、取ったものは余す事なく使い切り絶対に残さない事・廃棄しない事を考える事が重要な論点になるべきだと思うのです。それが結果的に古い時代から繰り返されてきた一昔前のエコサイクルであり、命を戴く生き物に対する最大限の感謝であり供養になると僕は考えます。

話をレザーに戻すと、レザーが新たな化学物質で作られたフェイクレザーに変わればそこに使用される石油系材料の使用は増え、元々使用されていた動物のレザーのニーズが無くなれば余った皮は不要となり新たに廃棄される事になります。これが本当にエコでサステナブルと呼べるのでしょうか。
事実、ファッションブランドの中でも群を抜いてエシカルブランドとして高い認知度を誇るStella McCartneyでさえ、現在使用しているポリエステルとポリウレタンで作っているフェイクレザーが環境上全く問題ない訳ではない事を認めています。(Stella McCartney のベジタブルレザー

もちろん、人に対してそうである様に動物も植物も命を奪う事が無しで済ませることが出来るのであれば、そうあるべきだと思います。しかし、人間が生きていく上で動植物の命をもらわなければ生きていけない現実を見れば、命を奪った以上はそこから得られたものは最大限活用して全てを生かし切ることが本当のエシカルだと思うのです。
そして、レザー本来の魅力を引き出す天然鞣しのレザーを使うことが(天然の素材を使うことで環境への影響が少ない事も踏まえ)レザーを扱う者として僕なりの素材となってくれた生き物に対する敬意であり、供養だと思っています。

明日の朝ごはんから『いただきます』と『ご馳走様でした』を言葉にして1週間が始められたらと思います。

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