藍6:藍の建て方
おはようございます。
今日は朝からバッチリ晴れて、でも気温は9℃と寒くて寒の戻りを感じる。ただまだ春物も出してきていないから、これくらいの方が服の調整はしやすい。
さて、今日は染料の種になるすくもを作った後、どのように染料にしていくのかを見ていこう。
藍染め独特の染色法
すくもを作ったらすぐ染色、とならないのは、藍は水に溶けないという性質を持つから。常温で水に溶けている親水性の状態の草木染めの染料とは異なり、藍染めは水に溶けない藍を発酵という工程を経て可溶化させる必要がある。この染色可能な状態にすることを「藍を建てる」というのだ。(偉そうに書いているが、当然僕も調べて今回初めて知った言葉で、嬉しさのあまり調子に乗ってタイトルにまで使っているのはご容赦いただきたい。)
すくもを使用した藍建ては難しい工程となるため「地獄建て」とも呼ばれる。
叺(かます)に入ったすくもは、藍師のもとで保管。半年ほどですくもに白いカビが生え、カビがなくなると保存可能な藍染め料が完成する。カビが消えると重さは3分の2程度まで減る。
すくもと木灰と石灰を通した液に熱湯を入れて攪拌、泥状になったものを藍甕の水に加える。次に石灰を入れて仕込み終了。麸(ふすま)とブドウ糖、清酒、消石灰などを加える。釜の脇の大壺で木屑を燃やして50~60℃になるまで温めて発酵を促す。その後も20~25℃を維持する必要がある。温度管理だけでなくpH管理も同時に行う必要がありかなり繊細な作業で、これが地獄建てと呼ばれる所以か。
発酵の進み具合の目安となるのが、発酵時に発生する気泡が集まった「藍の華」。12~3日して藍が完全に建つと、攪拌した時に発生する泡が残り酸化して紫がかった藍の花を咲かせる。最初花には粘りがあるが、攪拌する度に赤みをおび、花が赤紫になり粘りもなくなれば、藍が落ちつき染色できるようになる。職人は藍を舐めて状態を確認する。元気な状態の藍はピリッとした味、疲れた藍は酸っぱい味がするという。
染料に布や糸を漬けては取り出して、天日で乾かし空気に触れて空気媒染する。これを10~20 回繰り返してだんだんに濃く、より深い藍の色にしていく。
藍染めの原理
藍染めのプロセスを科学的に見ていこう。(数字は全て半分のサイズ)
藍植物に含まれる水溶性で無色のインディカンを加水分解することで、インドキシルとグルコース(ブドウ糖)ができる。
インディカン C14H17NO6 → 加水分解(H2O) → インドキシル C8H7NO + グルコース C6H12O6
このインドキシルを、まず空気に触れさせ酸化してインディゴに変換。
インドキシル C8H7NO → 酸化(+O2) → インディゴ C16H10N2O2
インディゴは不溶性のためそのままでは水に溶けず染まらないため、天然灰汁醗酵建てで水溶性のインディゴにする。インディゴが溶けた染液に布や糸を浸しては引き上げて空気に触れることで、酸化して不溶性のインディゴに戻り青く発色する。
インディゴ C16H10N2O2 →発酵→ ロイコ体インディゴ C16H12N2O2
→酸化(O2) → インディゴ C16H10N2O2
インディゴの名前の由来
このインディゴとは、青色成分の名前。インド生まれの藍の品種インド藍が、染めの原料として世界中で使われるようになり、「インディゴ」と呼ばれるようになった。語源はギリシア語の「indikon」で、これがラテン語の「indicum」、ポルトガル語を経て、英語の「indigo」になっていった。
師藍の栽培からすくも作りまでを担当する職人を藍師と呼ぶのに対して、すくもから藍を建て、布を染める工程を担当する職人を染師と呼ぶ。
実際に藍甕が置いてある部屋にお邪魔させてもらったことがあるが、発酵という言葉が指す通り最初はかなり鼻をつくような匂いが立ち込めた部屋になっていた。そうした中で藍を丁寧に建てて、何度も何度も浸けては乾かしを繰り返してようやく藍染めされた糸は出来上がってくるのだ。
*上記の情報は以下のリンクからまとめています。
https://www.metro.ed.jp/koishikawa-s/assets/filelink/filelink-pdffile-9695.pdf
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。
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