Design concept: simple design①

今回はYu Kasagiのブランドで重要な3つのコンセプトのうち、最後のsimple designに関してお話しします。

そもそも最初にPetalというバッグを作った時には、明確なデザインコンセプトはありませんでした(もちろんPetalという名前も)。ただ、当時からファッションに興味があり様々な服を着ていてどんなスタイルにも合わせられることが重要だったので、自ずとシンプルなモノになりました。

そして、デザインをシンプルにする事で結果として、ブランドとして大切にしているもう二つの要素、natural leatherとcolorsを際立たせる事に繋がりました。その意味では、自分のコアとなる3要素の調和を図るために最も重要な要素とも言えるかもしれません。

僕が考えるsimple designとは、『モノを魅力的・機能的にするためのアレンジを最小限にする』事です。

もちろん、魅力と機能という異なるアプローチを両立させる上で、まず本質的な美しさを優先させたことは言うまでもありません。なぜなら、それは直感に訴えるブランドのアイデンティティそのものだからです。それに対して機能は他の製品と単純に比較できる定数的なものに過ぎません。

それでは、本質的な美しさとは何でしょうか。

僕が考える理想のデザインは、人が見た瞬間に抗い様がなく恋に落ちる様な美しさを兼ね備えた造形です。(そう言ってすぐそれが作れれば良いのですが、目指すところはそこだと考えています。)

その第一歩として、まず僕はnatural leatherを素材に選びました。美しいデザインを表現する素材も同時に美しくある必要があるからです。詳しくは以下のリンクをご覧ください。

Design concept: natural leather① (https://note.com/yukasagi214/n/n1c87f336fd00)、

Design concept: natural leather② (https://note.com/yukasagi214/n/n898df8168299)

一枚のレザーで作るバッグの魅力

このnatural leatherとその色の美しさを際立たせるためにはその表面をなるべく広く見せることが効果的です。そこで本来であれば細かくパーツに分けて組み立てるところ、接合部分を最小限に留めるためにメインパート(本体)を1つのパーツ、1枚革で作り上げる様にしました。(Budのハンドルは別パーツで付けられていますが、これは本体の美しさが一枚革で既に表現されており、ブランドとしてアイデンティティを加える重要なアイコンを盛り込むため。)

これにより、レザーの平面だけでなく、コーナーで折れることで染み込んでいたオイルの出方が変わり色目が変わったり、自然のカーブが生まれて全体のフォルムも柔らかな丸みが生まれるといった、バッグにより深みのある表情が生まれます。また、異なるパーツを組み立てるよりもはるかに耐久性が高まり、より長く使う仕様に適した作りになります。

例えば上のPetalでもわかる様にバッグ自体は1枚の革のシートになっていて、サイドをレザーコードで纏ってハンドルもバッグの延長線上でつけられています。デザインとしては極めてシンプルでありながら、レザーがただ折り畳まれた状態からモノが入って立体的に膨らむ、どんなスタイルにも合わせて使える使い勝手の良いバッグになっています。

この平面から立体への変換も、1枚革からデザインする上で個人的に面白いポイントになっています。日本人が昔から使ってきた(そしてエコバッグの流れで見直されている)風呂敷のコンセプトが、自分のブランドコンセプトにフィットしていることが日本人の自分がバッグを作る上で意味があると思っています。

次回、二の次にしてしまった機能面に関してお話ししたいと思います。

ようやく梅雨が明け、夏らしい日々が始まりましたね。晴れた空を楽しみながらマスクと水分補給を忘れずに素敵な1週間をお過ごしください。

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