Design concept: natural leather②

さて、今回は前回の予告通り、『タンニン鞣しのリアルレザー』に関してお話しします。

タンニン鞣しとは

鞣しは動物の皮膚である『皮』から様々な物に加工できる素材の『革』に変える工程だと前回お伝えしました。

その工程を文字通りタンニンという植物に含まれるポリフェノールを含む、ミモザやチェスナッツを用いて行うのが、タンニン鞣しになります。このタンニンが、動物性タンパク質と結合して状態を安定させます。
タンニンは、ワインやお茶に詳しい方なら渋み成分としてご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。

古代エジプトの時代からやってる方法が(もちろん様々アップデートされているとはいえ)今なおメインの方法の1つとして残っているってちょっと感動しませんか?笑

タンニン鞣しの特徴

化学薬品を使用して扱いやすいクロム鞣しのレザーが8,9割を占める中、このタンニン鞣しのレザーを皆さんもきっと見た事があります。
Louis Vuittonのモノグラム・キャンバスのハンドルやトリミング等に使われている、新品の時は肌色で使い込まれるとアメ色になっているあのレザーです。あれこそ、ヌメ革と呼ばれる最もベーシックなタンニン鞣しのレザーです。染色を一切せずに鞣しだけの、本来の素材に1番違い状態のレザーという訳です。

あのレザーを見ればよく分かりますが、タンニン鞣しのレザーの特徴をいくつか挙げると…
・水を吸いやすい
・傷が付きやすい
・色が変わりやすい(日焼け)
・使用と共に艶が出る
と言ったところでしょうか。

つまり、自然に仕上げられ表面にも何もコーティングなどの余計な処理が施されていない為、繊細であると同時にその状態から環境や扱い方によって一つひとつ全く違うものに変わっていく。
使い手の個性が出る、持ち主の分身の様になるのがタンニン鞣しのレザーという訳です。


前回『クロム鞣しならプラスチックで良いじゃん』と極端で乱暴な発言をしましたが、僕は『革を革たらしめるもの』がタンニン鞣しだと思います。

私の作品は、数シーズン、数年使って使えなくなるいわゆる『流行り』のデザインではないので、長く使う事で愛着が深まる製品であることを目指しています。(実際僕は15年ファッション業界の中で働きながら自分のバッグを今も使い続けています。)
このコンセプトを満たしてくれるのは、(使い始めたその日がピークのクロム鞣しのレザーではなく)お客様と日々を積み重ねて、個人的な思い出も反映しながらユニークな相棒になっていってくれるタンニン鞣しのレザーしかあり得ません。

もちろん、『綺麗な状態で長く使いたい』という気持ちもよく分かります。
ただ、そんなバッグが溢れる中、人生を共に歩む、自分と共にエイジングしていくバッグの愛おしさも1人でも多くの方と少しでも共有できたら、僕はとても嬉しいです。

コロナ感染者も増えてきて、東京ロックダウンの様相を呈してきましたが、皆さんもお身体にはくれぐれも気をつけて、新しい1週間をお過ごし下さい。

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