漆7:漆の硬化

おはようございます。
今日はうっすら雲が残っているけれど、久しぶりの晴れ。ベランダの植物たちもその柔らかい陽射しを浴びてより一層葉を大きく伸ばしそう。

さて、今日は漆が固まっていく工程を見ていこう。

漆が固まる工程

漆は乾燥して固まると思われているが、漆が固まるメカニズムは一般的な「乾く」というのとは大きく異なる。なぜなら一般的に「乾く」というのは、水分が空気中に蒸発するイメージがあるが、漆は全く逆で空気中の水分を取り込んで固まるからだ。そのため、漆は「乾く」では無く「固まる、硬化する」と言うのが正しい。
なぜ固まるかというと、成分の酵素(ラッカーゼ)が、水分の中の酸素を取り込んで反応し、ウルシオールが液体から固体になっていくからだ。

固まるのに適した条件

漆を固めるには、温度が25~30℃、湿度が70%程度が最も良いとされ、日本では梅雨時期が最も早くなる。梅雨時期や夏場は気候的にも固めすくなるが、それ以外の時期でも漆を乾かすため、「漆風呂」「むろ」と呼ばれる漆用の乾燥室を使う。漆風呂は密閉できる棚のようなもので、下部に濡らした布を置いて湿度を調整する。最も簡単な「むろ」としては、衣装用のプラスチックケースを使い、やはり下部に濡らした布を置き密閉する。

漆の保管

では、塗る前の漆はどのように保管しているのだろうか。
漆を塗り重ねる漆器職人の工房では、桶に入った状態の漆を保管している。 塗りの現場にある漆は既に精製されて漆器用として使える状態の漆が桶に詰められている。 一般に日用大工のお店などでは漆を少量から使える「チューブタイプ」のものが販売されているというからびっくりだが、 塗り職人(下地、中塗り、上塗り)が使う漆の量は非常に多いので、「桶」で漆精製の専門店から購入するのが一般的。

漆の桶は「紙製」のものも多い。 圧縮した紙を素材にして上から柿渋を塗って撥水性を高めた専用の桶だ。 昔は木製のものもあり漆桶をつくる専用の職人もいたが、コストが高いことから紙製が主流になり、近年ではプラスチック製のものも出回っている。
漆が空気中の水分を吸って固ってしまわない様に、漆が空気と接触しないよう油を塗った丈夫な「紙」が漆桶の蓋として使われる。さらに、この蓋紙を漆に被せて密閉できるよう、 棒が真っ直ぐに戻ろうとする反発する力を利用した「張輪(はりわ)」と呼ばれる輪状の棒が使われる。これは昔は竹製だったが、 今はプラスチック製が多く使われている。
現在では様々な密閉容器、保存容器が開発されているが、 漆桶は先人の工夫で開発されて現在もなお使われているシンプルな密閉容器であり、 水分を吸って固まる特長をもつ天然漆ならではの保存容器と言えるだろう。

なお、職人の工房に保管している漆には「腐る」「劣化する」などの使用期限のようなものは特に無く、漆桶にいれて密閉し、冷暗な場所に保管しておけば長期間にわたって使用できることも漆の特徴の1つである。


*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

「乾く」のではなく「固まる」というのも斬新すぎたけど、改めて漆がチューブで売っているというのが個人的には衝撃だった。何かにすぐ使いたいものがある訳ではないけれど、天然のパテとして強度もあって有害なものが入っていないんだとしたら家の中で補修など何かある時に気持ちよく使えるというもの。今度ビバホームで探してみようと思った次第。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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