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『光る君へ』第34話を観て・・・※ネタバレあり

みなさん、こんにちは。
『令和源氏物語 宇治の恋華』第二百二十八話は、明日掲載させていただきます。
本日は『光る君へ』第34話を視聴した感想を掲載させていただきます。
タイトルは「目覚め」でしたね。
「彰子目覚める」でしょうか、「紫式部覚醒」でしょうか?
それとも両方???


 定澄の強訴

なんともふてぶてしい興福寺別当・定澄(赤星昇一郎さん)でしたね~。
まさに適役でございます。
それにしても藤原氏の氏寺である興福寺が幅を利かせていたというのが今回よくわかった回でした。
中世史では「僧兵」なる言葉が頻繁に見られるようになり、まさにその先駆けともいうべき事件です。御仏に帰依した人達が自分たちの望みを聞いてもらう為に武力に走るとは、これ如何なものか・・・。
生臭坊主というか、なんか勘違いしているようなところが否めません。
そして内裏にまで押し寄せてこようとは。
不遜極まりないことですが、中宮(見上愛さん)に何かあってはと危惧した中宮大夫の藤原斉信(はんにゃ金田さん)は中宮を避難させるよう女房達に申し渡します。
まひろ(吉高さん)は帝の御傍がもっとも安全な場所であると機転を利かせましたね。
道長(柄本さん)は興福寺の願いをバッサリ切りましたが、「陳情のうちのひとつでも叶えば上々」というような老獪さを発揮する定澄です。
それにしても簡単に家を焼き払うなんてことをしていいのでしょうか?
本当に仏道に悖る人達です。

 今週の真宙君

再び登場しました真宙君コーナーです。
(四回目くらいでしょうか?)
まひろの弟役の惟規を軽快にコミカルに演じるのは高杉真宙さんです。
先週は姉の書いた物語を「面白い!」と絶賛していたかわいい弟君です。
そして無邪気に「中宮様はバカなのか?」と聞いてしまうスットコドッコイなところがあります。
今週は道長の思わぬ引き立てでとうとう蔵人に召し上げられました。
「身分を超えた恋愛をしてみろ」と普通の姉は言いませんが、昔から仲の良かった二人にはあるあるの場面でしたので、ちょっと不穏な空気が和らぐよいシーンでした。
来週は真宙君の恋路に何事かあるらしい???

 彰子の変化

34話の劇中では『空蝉』が話題となっておりました。
この帖はざっくりいいますと、「雨夜の品定め」にあった中流の女に該当する「空蝉」と源氏の恋が描かれております。
正妻の葵の上ともうまくゆかない源氏は夜毎あらゆる場所に通っておりました。そうして久々に訪れた葵の上の邸は、方角が塞がっていたという始末。
(もちろんわざとです)
そこで「方違え」として紀の守の家を訪れたところ、義理の母である伊予介の妻とその一行が滞在しており、無防備にも施錠していないところから源氏はその女主人と逢ったのでした。
思わぬ出会いに彼女を忘れられなくなった源氏は再びの逢瀬の為に策をめぐらしましたが、この恋は単衣を残して逃げた空蝉の勝ちとなりました。
さて、目当ての女主人に逃げられてしまったものの、そこには義理の娘の軒端荻が驚いているもので・・・、
「実はあなたに前から好意を寄せていたので忍んできた」と源氏は彼女とも関係をもつのです。
藤原公任(町田啓太さん)が奥さんと読んでいたのはまさにこの場面ですね。
「俺はそんな間抜けなことはしない」と豪語されておりました。
ここで私が源氏の現代訳で心がけたところをまさにまひろが言っていたのが印象的でした。
みなが自分の父の話しかと・・・、いや、俺のことだろ。
と評するのを「読み手によってそれぞれ」とまひろは答えます。
私が源氏の容貌をあえて描かなかったのはやはりこのためです。
みなさん想像されるそれぞれの源氏像が読者の数だけある、という余韻をもたせたかったからでした。

さて、中宮・彰子にはみなが夢中になる「源氏物語」をなかなか理解できないようで、まひろの局を訪れます。
この姫は裳着をしてすぐの12歳で一条天皇の元へ輿入れされました。
12歳というのは数え年ですので、実際は11歳。
くわえて蝶よ花よと風の当たらぬようにかしずかれた深窓の姫君にはいささか情緒というものが理解できないご様子でした。
友人もおらず、年上の女房達に囲まれて、閨房のことなど無頓着、となれば彰子様がお可哀そうですね。
しかし、昔からの友人たちの前で飾らない父の姿や殿方の談笑などを聞いて、表情が豊かになってこられました。
他人にも興味が芽生えたのではないでしょうか。
物語を書く紫式部という人物像は最近ようやく私の中で吉高さんと重なるようになってきました。
(それまではどうでもよいエピソードなどが多かったもので)
それは彰子を人として目覚めさせた役割に通じると思うのです。
人を観察し、深く理解しようとする作家の感性が紫式部にはあったのではないでしょうか。
中宮の表情の変化に道長も気付いたモヨウ・・・。
来週の予告では感情の発露ともいうべき場面がありそうで、楽しみですね。

そして道長との出会いを思い返して、とうとう『若紫』が誕生するようです。順番からするととても人気のある女君『夕顔』のはずですが、先は長いので割愛されてしまうのでしょうか???

ともあれ、また来週☆



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