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『令和源氏物語 宇治の恋華』 第一章/光りなきあと 解説

みなさん、こんばんは。
次回『令和源氏物語 宇治の恋華』第85話 うしなった愛(十八)は2月13日に掲載する予定です。

本日は第一章/光りなきあと の解説をさせていただきます。
源氏物語はもちろん有名な物語でありますが、登場人物が非常に多く、一度その時代の状況を整理する必要があります。
この第一章/光りなきあと と第二章/花あわせ は、源氏が関わりを持った人々のその後や新しい王朝の現体制などを説明するために設けました。
物語にすんなりと入って行けるように、そのための状況説明と考えていただくとよいでしょう。
源氏物語の素晴らしいところは背景がしっかりしていて、物語に奥行きを感じるところです。

国母となった明石の中宮は民に尊敬され、源氏の権力の象徴たる六条院は夕霧の財力で昔の輝きを損なわずに燦然と輝いております。
明石の上も健在で、一族の繁栄を静かに見守っており、花散里の姫も夕霧の義母として大切にされ、永らえております。
登場する人物は老い、子供はたくましく生い立ち、昔と変わらぬ王朝の美しさは若い世代に継承されてゆきました。
そこに当代一といわれる薫る中将と匂う兵部卿宮が世の注目を浴びながら生き生きと若さを謳歌するところから物語が始まるのです。
この二人はまさに若かりし日の源氏と頭の中将を彷彿とさせる存在です。
友情、時にはライバルという立ち位置で互いを高め合いながら、くだけた親しい間柄ですが、後に同じ女性(浮舟)を愛して愛憎劇が繰り広げらえることになろうとは、この時は露とも知らぬ若者たちを思うと人の世の不思議を思わずにはいられません。
二人の関係性が変わってゆくのも物語の醍醐味と感じます。
宇治のお話は薫と宇治の橋姫たちの恋物語に焦点をあてていますので、源氏の生涯を描いた「雲隠」までのお話とは違い、現代のドラマのようなテイストです。
私は常日頃からそう思っていますので、これから源氏物語を読もうという方には、宇治のお話から読むというのも、古典に親しむよい機会ではないでしょうか。
242話で完結ですのでまだまだ先が長いですが、どうぞ気長にお付き合いください。

明日は、第二章/花合わせ について解説していきます。

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