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『光る君へ』第25話を観て・・・ ※ネタバレあり

みなさん、こんばんは。
次回、『宇治の恋華 第百八十一話 翳ろふ(一)』は、6月29日(土)に掲載させていただきます。
本日は『光る君へ』第25話を観ての感想文を掲載させていただきます。


  清廉な為時パパ

中央から派遣された国司にとって、最も重要な任務が税の徴収でした。
為時パパ(岸谷五朗さん)は、多く納められた越前和紙に不信感を抱き、賂を固辞します。
まひろ(吉高さん)も、そのような心持ちであってほしかった・・・。
「役得」という言葉がありますが、これまで政治の在り方に民を思い遣る平等さを求めたまひろがくどくどと役得にこだわるのが、違和感を覚えました。それがたとえ紙一枚でも。
直秀の死から、道長に貧しい者も理不尽に死なない世を望んだのではなかったか。
しまいには宣孝(佐々木蔵之介さん)の悪い影響かと為時パパからディスられる始末。
ここまでドラマが進み、「志」を感じるのは柄本道長のみ。
なんとも残念ですね。

 今週の真宙君☆

久々に登場の真宙君(紫式部の弟・惟規役、俳優は奇しくも名前が一緒のまひろの高杉真宙さん)。
このドラマにおいて一服の清涼剤的なポジションだと思います。
思ったことが顔にも態度にもすぐ出てしまって正直なところがいいですね。
今回は乙丸(矢部太郎さん)にとうとう奥さんができましたね。
きぬちゃん(蔵下穂波さん)、素朴でいい子です。
幸せになってね♡
そして帰京してみたら惟規の乳母であるいと(信川清順さん)にもイイ人ができておりました~。
てっきり為時パパの召人の君かと思っていたら(以前、さわのお母さんに嫉妬していたので)、ちゃっかり男がいたんですね。
しかも他に妻のある男、というところは、平安時代の自由な恋愛観を演出したのでしょうか。。。
ともあれ真宙君の「いとには、俺だけでいいと思ってたのに」という、台詞に笑ってしまいました。
そして宣孝(佐々木蔵之介さん)が早々に訪れて、デレデレしている様子にビックリの真宙君・・・。はや、この二人の接近ぶりに感づいたモヨウ。
この姉弟は仲がよいので、生温かい目で見守ってください。
というか、真宙君も身を固めないと!
(ドラマの中のお話です)

 晴明の予言

人払いをしてこっそりと晴明(ユースケさん)に先行きを聞く道長(柄本さん)ですが、晴明は最悪な予言をしました。
地震、災害、疫病、洪水などの厄災がすべて起こると道長に告げましたね。
そしてそれを阻止できるのは道長しかいないということも。。。
前回の疫病騒動の時にも書きましたが、帝が治めるこの時代、国が乱れ、天災などに見舞われるのは、「帝の不徳」と考えられておりました。
源氏物語でもこうした天災に見舞われた場面が二か所あります。
それは源氏の兄の朱雀帝の御世、それから源氏の息子である冷泉帝の御世において。

桐壺院が崩御され、世は弘徽殿皇后と父の右大臣のものとなり、源氏は須磨へ隠棲します。この時に天下を謳歌したのは弘徽殿皇后と右大臣ですね。
朱雀帝は院の遺言を守りたかったのですが、積年の恨みが強すぎて、二人はいうことを聞いてくれません。その折に京は天災に襲われ、それは朱雀帝の不徳とされました。
その部分のさわりを書いたのが明石の帖になります。

朱雀帝はこの後眼病を患われ、弘徽殿皇后も体の不調を訴えられます。
そして右大臣は命を落としてしまうのです。

今回の『光る君へ』の一条天皇(塩野瑛久さん)は私の中ではすごく美男で源氏物語に登場する冷泉帝のイメージです。
ですから、これから天災(すでに鴨川は決壊しましたが)は、冷泉帝の御世に起こったことへのオマージュかと思われます。
冷泉帝はけして徳の無い天子ではありません。それでも天災に見舞われたのは、冷泉帝が真の父の存在(=源氏)を知らなかったからです。
この時代には儒教の考え方も色濃く反映されており、知らぬとはいえ父が臣下であることを不孝として、天が戒めている、というわけですね。
冷泉帝は自分の不徳を悩みましたが、見かねた事情を知る内裏に長くいる老僧から、まことの御父が源氏であることを知らされるのです。
天変のくだりはこちらです。。。

 道長、もう無理・・・

道長よく頑張りました。
女に溺れて政治を顧みない帝には辞表を叩きつけるしかありませんよね。
一条天皇には顔がおきれいなばかりに、とても幻滅です。
しかも伊周(三浦翔平さん)が平然とのさばっているのがまたみっともない。
前回の疫病騒動でも自分たちさえ無事ならそれでいい、という態度でしたので、政治家としての資質は皆無・・・。
定子さまもとても残念な描かれ方で、中宮という責務を髪を下ろした時点で放棄しているのですから、実資(ロバート秋山さん)にディスられても仕方がありません。最近一条天皇と定子さまのキスシーンが多く、何だかだんだん気持ち悪く感じるようになりました。
「妄執」という言葉がぴったりかと・・・。

 「不実」って・・・

今回のラストにまひろが宣孝を迎え入れる場面で「不実」といっていましたが、コトバンクによりますと「不実」とは「誠実でないこと。誠意や情愛に欠けていること」とありました。
なんだかこの台詞がしっくりこなくて、頭を捻ってしまったのですよね。
他に好きな人がいるから不実なんでしょうか。
それに「不実」と返す宣孝も???
言葉は使い方によって伝わり方も違うので、ちゃんとよく考えて使わなくては、と思った瞬間でした。

では、また来週☆


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