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経験を積み重ねて人は、成長する。自分で試行錯誤し、大人になる準備を重ねる。「地域ぐるみの学童保育の実践とその評価ー及川房子の事例から」から見えてきた、遊びやゆとりの価値。

コラボレーターの板谷です。私の活動の基盤は、コーチングをはじめとした人材育成です。最近は大人向けが多いですが、保育士資格や社会科の教員免許を持っており、子ども番組制作の打ち合わせや子ども向けのコンテンツに関する相談を受ける事もあります。


保育の分野で尊敬しているのが、及川房子さん。京都の学童の集まりで出会ったのは8年程前。


「子ども達が自分で考え、行動できるように。」という体験と、大人(保護者)から見た時の納得感の間で、「枠の中での自由」な機会しか創れていないのではないか?という想いで迷いがあった頃に、寄り添いながら、応援してくださった方。


「保育や教育の結果って、時間がかかるのよね。私も随分と保護者の方に反対された事もあるけれど、当時小学生だった子ども達が30代、40代になって、今の基盤が学童保育にあるという事を伝えてくれる事もあってね。その頃の保護者の方に感謝される事もあるのよ。」という言葉は、当時の私に勇気を与えてくれていました。


そんな、及川子ども研究所ーみらいー代表の及川房子さんから、本が届きました。地域ぐるみの学童保育の実践とその評価ー及川房子の事例からーという本です。

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優しそうなパステルで描かれた表紙。2019年度 前川財団 家庭・地域教育助成研究の「学童保育実践資料で再構成する地域ぐるみの育児・教育実践」報告書であり、学童保育での施設職員研修会での講演や、作文にみる在籍児童の成長について書かれていました。

当初、子どもは大人の言う事を聞くものだと思っていた及川さん。学童指導員を始めた頃、子ども達の反発に遭い、子ども達に罵声を浴びせられ、辞めようと思ったところから書かれていました。

悪戦苦闘の日々を送る中、旦那さんが、働いている様子を密かに見に来ていて、家に帰ったら、「あなたは何をしているんだ、子どもは学童に行かない方がいい」と言われた事も。

そこから、子どもが好きなこと、何がしたいかを考えて、考えたところでわからないので、子ども達に、実際に問いかけていくことから始めた記録でした。

色々出てくる、子ども達の意見に対して、自分達でやって、それが失敗してできないと言う事がわかったところで、指導者の力が必要だと言う事をわからせていくこと。

学校は学ぶところに来ていて、学童は、遊びに来ている放課後の場所。ただ、好きなようにしたくて、好きなようにしたいだけでは学級運営は成り立たなくて、その中で学年の違う仲間達が、様々な体験を経験しながら乗り越えていく。

学童に行って、子ども達だけでおやつを買いに行って、おやつの用意をして、みんなの前に配って、いただきますから始まる。後片付けや掃除も自分達で時間を決めて、1日の時間、何時間をどう言う風に使うかを子ども達が考えてゆく。

おやつのお金を無くしてしまう事もあるし、お菓子屋さんで万引きしてしまう子も出てきたりするし、片付けをサボる子もいるけれど、起きてきた色々な問題に関して、子ども達がどう言う風にしていくかを考える事もすごく大事なこと。

及川さんは指導員として、失敗をバネに次に繋げていくシステムだけを作り、見守っていく。

2年生になると、1年生が入ってきて、自分が必要とされている事がなんとなく分かる。3年生になると目標にされる。それに応えるために、3年生が授業で遅く学童に帰ってくる時には、2年生が代わりに副リーダーとして動く。そうして人間の感受性を育てていく事が描かれていました。

養護学校の5人の障がいのある子ども達を受け入れてのインクルーシブ教育についても様々な事例が記載されていました。

この本を読んで改めて感じたのは、子どもの時代は大人になる準備であり、日々試行錯誤を繰り返しながら、成長を重ねていくと言う事でした。
そして、試行錯誤する時間を奪ってはいけないと言う事です。習い事やコンテンツを学ぶ事も大切ではありますが、小さい頃に、人と関わること。

思い切り、身体を動かして暗くなるまで遊んで、喧嘩して、気まずくなったり、仲直りしたり、そう言う事を繰り返していくこと。日々の生活の中で、何かに興味を持って取り組む体験がかけがえのないものである事を改めて感じました。

小学2年生の頃、生活科の授業でさつまいもを学び、放課後に図書館でさつまいものことを調べたり、さつまいもの苗を売っている園芸のお店にさつまいものことを調べに行ったりしていました。

小学校3年生の頃、工場見学に興味を持った時は、市内の興味を持った工場にアポイントを取り、放課後工場見学に出かけていました。チョコレート工場や、ガチャポンの中身を作る工場、蕎麦工場、靴工場、お酢工場、今でも印象に残っています。

子どもの頃、「暇な時間」と言うのは凄く貴重で、その暇な時間を楽しくするべく、工作をしたり、興味のある本を読んでいたように思います。
そして、そんな子ども時代を共に過ごした時の仲間とは今でも、友達で一緒に仕事の話をしたりしています。

私自身、学童にも通っていないですし、中学校から私立な事もあり、人生経験をきちんと積み重ねてこれたのか若干、不安な事もありますがw大人と呼ばれる年齢になってからでも、人生の中で手遅れという事はないとみています。

自分で考え、行動する時間を増やしたり、生活の中に余裕を増やしたり。
人間関係の中や日常生活の中で、自分の好きな人を1人ずつ増やしていったり、自分を好きになったり。豊かな人生を過ごせるように、様々な試行錯誤を積み重ねながら意識して生きていきましょう。

そして、子育て中の方には是非、及川先生の著作をおすすめします。
一般販売されているものをご紹介しますね。学童保育に携わっていない方でも、十分活かす事のできる観点が含まれています。

学童保育実践の記 子どもたちと創った放課後

続・学童保育実践の記 障害児と共に歩む

それでは、味わい深く素敵な日々を共に過ごしていきましょう!!


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