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中学時代の勉部のはなし

久しぶりに中学時代のことを思い出した。このnoteは私の中学時代にあったちょっと変わった部活の話。



(登場人物の名前は全て仮名です)

あれは多分、公立中学に通う私が3年生の秋頃だったと思う。部活を引退し入試が近づく季節に、クラス1勉強ができる秋山くんが朝の時間に勉強しないかと話をもちかけていた。私の記憶だと、秋山くんが、席の近かった犬飼くんと遠藤くんを誘っていたところで、席の近かった私も話に入り参加させてもらうことになった…だと思う。おそらく。

私の学年にはとびぬけて勉強ができる男子7人がいたのだが、当時流行っていたAKB48からとって、ひそかに神7(セブン)と呼んでいた。神7の一人である秋山くんは朝学習の時間を部活動と称して、その日から勉強部、略して「勉部」の活動がスタートした。

教室で活動を行うと他の生徒の迷惑をかけるからということで、誰も使っていなかった英語専用の教室使用許可を取った秋山くん。

秋山くんは毎回自分で問題を作ってきて、勉部部員がそれを解いて一緒に答え合わせをする。問題が手書きで、秋山くんの字は、綺麗とはいえなかったが、熱意がものすごく伝わってくる字だった。国語問題の時もあったし、英語の時もあったし、数学の時もあった。毎回自作の問題を作ってくる秋山くん、今考えても仏の行動としか思えない。

勉部は毎日あったのだが、最初5名程度の部員だったところ、口コミで少しずつ部員が増えていった。ほとんど同じクラスの人だったが、たまに他のクラスの人もいた。男子女子ごちゃまぜで、それぞれ志望校も違うし、得意な教科も違うし、まずそんなにクラスで仲良いグループなわけでもなかった。不思議な光景だった。

学校の定期テストの時、勉部の部長秋山くんは、点数が上がった部員が居ればとても喜んでくれていた記憶があるし、私自身勉部に入っているから結果を出したいという気持ちで、だいぶ勉強に前向きになっていた。さらに、秋山くんは、部員にテストで間違えた問題を聞いてまわって、その問題の復習問題を朝の勉部の時間に行うというすごいことをしていた。秋山くんは中学生にして、塾の先生みたいなことを無償でしていたということだ。普通に凄い。

勉部の活動が、受験ギリギリまで続いたかは定かではないが、私の記憶が正しければ勉部の部員全員志望校に合格している。もちろん一人一人の努力があっての結果だが、勉部の時間以外でも、お互いに分からない所を質問しあう環境を作った勉部の存在は大きかったと私は思う。

一緒に勉強しようと声をかけてくれた秋山くんのことを、私の母は未だに崇拝している。秋山くんに感謝しなきゃと母が思い出す度言われる。部長だけではなくて、部員だったメンバー全員良い人だったな~と思う。ずっと独りで勉強していた私にとって、目標は違えど一緒に勉強を頑張る仲間がいたことがありがたいことだった。



みんな今どこで暮らしているだろう、元気でいてくれたらと願う。

社会人になって、秋山くんのように、一緒に学ぶ場を作ってくれる存在はなかなかいないと感じる。オンラインスクールに入っていた時、同じスクールの受講者が声をかけあって一緒に勉強する光景を見ていたが、言い出しっぺの人の行動力には驚く。

独りでやる勉強があっても良いと思うし、複数人でやる勉強があっても良いと思う。ただ、勉強をしていて楽しいと思っていた中学時代の自分の気持ちを忘れないでいたいとも思った。

また今日から韓国語の勉強頑張ろう、そう思った。






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