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サブスク解禁に寄せて。aikoの名曲13選を恋愛シーン別に全力で推してみた

2020年2月26日。通算39作目のシングル『青空』の発売日である昨日、全414曲ものaikoの楽曲がサブスクリプションで解禁された。

サブスクの常であるのかもしれないけれど、現在進行形のガチファンというよりも、昔よく聴いていたという人や、なんとなく好きな人の方が、より反応が大きかったように感じた。インスタグラムやツイッターのタイムラインが、続々とaikoで埋まる。

こんなにも多くの人の心にaikoの楽曲が根付いていたのだ。その圧倒的な知名度と存在感に、わたしは胸が熱くなった。
みんなおまつり気分で(?)、自分の好きな曲や思い入れのある曲なんかをどんどんアップしている。これはもしかして、知られざる名曲をも聴いてもらう大チャンスなのではなかろうか。

そこで、わたしの独断と偏愛により、恋愛シーン別に全13曲を厳選してみました!
移り変わってゆく恋愛の流れをたどりながら、時に疑似恋愛に酔いしれながらお楽しみいただけると嬉しいです。

もういつのことやら思い出せない……という大人の皆さんも多いかもしれませんが、きちんと順路をたどるなら王道の入口。

まずは、片想いシーンにピッタリな楽曲からスタートします!

◇もどかしくも愛おしい。全身全霊の片想いソング

・「かばん」

歌い出しから痺れる名曲。

そのまんまのあなたの立ってる姿とか
声とか仕草に鼻の奥がツーンとなる

好きな人は、ただそこに存在しているだけで良い。
今でこそ、“尊い”という表現が一般的になったけれど、それを詳しく説明するとまさにこの歌詞になるんじゃないだろうか。

あたし あなたと知り合うまで
何をして生きて来たんだろうか?
忘れてしまいそうな位

かつてaikoがインタビューで話していた、“家にいる時基本的にずっと好きな人のことを考えている”というエピソードを体現したような歌詞だなあと思う。
何を隠そうわたし自身ももちろんそうで、好きな人がいない期間は何を考えてこの膨大な時間を過ごしていたのか、到底思い出すことができない。

自分をまるごと持っていかれるような片想い。
良くも悪くもずっとは続かない期間だからこそ、何にも代えがたい経験になりますよね(誰)。

*その他のおすすめソング*
・「どろぼう」
・「学校」

◇好きで好きでたまらん両想い最高!幸せの絶頂にいるあなたへ

①「more&more」

インディーズアルバムに弾き語りで収録&シングル『桜の時』のカップリングとして再録された一曲。

なんともカワイイ若気の至りが歌詞にもメロディーにもめいっぱい現れていて、聴くだけでハッピーな気分になれること請け合いです。

熱すぎる太陽と突然のスコール
そしてグッドタイミングのKiss
もうばっちり

ちなみにこの歌詞は「non・noみたいな曲作りたい!」と思って書いたそう(ライブ中のMCより)。

②「桜の時」

ゆっくりゆっくり時間を超えてまた違う
幸せなキスをするのがあなたであるように

まるで二人の姿が目に浮かぶようなサビの歌詞もさることながら、わたしはこの曲の神髄はBメロにあると思っている。

「春が来るとこの川辺は桜がめいっぱい咲き乱れるんだ」
あなたは言うあたしはうなずく

ここ、ここですよ。
「桜の時」というタイトルからも惑わされがちなんですが(別に惑わせようとしているわけではない)、この曲は春ではなく冬の二人を歌ったものなのです。

“春が来ると~”という言葉からは、あなたの隣で季節を巡るんだという気持ちがにじんでいる。それも特別なんかじゃなく、当たり前にそうなるんだという確信に満ちた想いのもと。

なんかもう、嘘みたいに幸せな話じゃないですか。書いてたら感極まって涙出てきた。

*その他のおすすめソング*
・「Power of Love」
・「桃色」
・「キスする前に」
・「蝶々結び」
・「愛は勝手」

◇幸せなはずやのに、恋人のことが好きすぎてしんどい人に捧ぐ

①「愛の病」

なんといってもaiko。aikoの曲です(全部そう)。
もう隅から隅までわたしの好きなaikoがみっちり詰まってる。

あなたを好きで心底愛して
こんなに切ないものなんだって声を殺して泣きました

恋愛のすべてがこの一文に尽きる。
自分の意思に反して、常時とめどなく勝手に涙出てくる。

そして、片想い中には贅沢に思えた感情に日々支配されるんですよね。

明日あなたがいなくなってあさって心変わりして
いつか嫌いになられたら……

愛の病というよりか、愛は病、なのかもしれないと思ったりする。

②「キスが巡る」

ロックな曲調に反して歌詞はすごく切実で、恋の渦中にいる時の自分の変化への戸惑いや喜びが素直に込められた一曲。

あぁ つめ込んだ思い出が
溢れ零れてしまっても
あなたの仕草に明日も
胸を詰まらせたい

この歌詞が本当にほんとうに好きで、ふとした瞬間に何度もふっと浮かんでくる。

「かばん」とも通じるものがあるけれど、好きな人を眺めていて感じるのは必ずしも幸せな気持ちだけではなくて、むしろ苦しかったりしんどかったりすることの方が多い。
そんな感情をこんなにも端的に言い表した言葉を、わたしはほかに知らない。

余談ですが、この曲ライブの演出が超超超かっこよかったんですよね……。エロティックに歌うaikoと、チカチカ光るライティングとのコントラストに痺れた。

*その他のおすすめソング*
・「キスの息」
・「彼の落書き」
・「恋人同士」

◇好きな人をしっとりと想う夜に聴きたい

①「まつげ」

濡れたまつげ 乾く間もない
あなたがあたしを泣かす
いじわるされた訳でも
怒鳴られた訳でもない
あなたがいるだけで

好きな人がいるだけで泣いてしまう。「愛の病」の真逆をいくしっとりとしたバラードであるにもかかわらず、同じ感情がくり返し描かれている。

なんで出逢ってしまったのだろう

一般的には別れのつらさの表現として使われるフレーズだが、aikoは違う。
曲中で明言されているわけではないけれど、おそらくその想いは、両想いの渦中に身を置いている幸せさゆえ。

あなたはあたしの胸を貫くの
怖い位に

たとえ自分が望んだものであったとしても、果ての見えない想いはとてもこわい。

②「甘い絨毯」

すごくもろくて大切なものをそっと並べたような歌詞と、どこかはかなげな淡い曲調。
はっとするほど綺麗で優しくて、大切な人を大切に想う気持ちの大きさが溢れてる曲やなあと思う。

どの部分も良すぎてなかなか切り取れないんですが、わたしが特に好きなのはここです。

あなたの名前を
初めて知った日みたいに
胸が今も苦しい
淡い瞬間

*その他のおすすめソング*
・「すべての夜」
・「心に乙女」
・「星のない世界」

◇ひと休み:楽曲と歌詞の美しさにとにかく圧倒される

・「You&Me Both」

ピアノの旋律にストリングスが重なって少しずつ広がっていくようなイントロと、断片的な言葉が連なった詩みたいな歌詞が本当に綺麗。

約2分半の短さであるにもかかわらず、一度聴いたら忘れられない印象的な曲です。

アルバム『秘密』の一曲目なのですが、ぜひ順番に聴いてもらい、アウトロが二曲目の「二人」に繋がる感動を味わってほしい。一聴の価値ありです。

*その他のおすすめソング*
・「月が溶ける」
・「恋をしたのは」

◇ほんまに無理やから前向かせようとせんとってほしい。失恋にとことん溺れるなら

①「こんぺいとう」

aikoの得意ジャンル“切な明るい”(※詳しくは後述)がギュギュッと詰まったとびきりの一曲。

一緒に溺れてしまえるのなら
それでもいいと思ってたの

文字列だけを見るととんでもなくヘビーな歌詞だけれど、aikoはこれをあくまでも明るいメロディーにのせて歌い上げる。

とはいえ、底抜けの明るさではない。最後の大サビのアレンジからもわかるように、語尾の歌い方に込められた切なさたるや、その部分だけを聞いても胸を締めつけられるほどなのです。

ちなみに「こんぺいとう」とは、“悲しみから逃れるために噛んだ腕に赤”く散らばった痣のことなのだそう。感性……。

②「キョウモハレ」

もはや解説する必要もないほど、どの部分を切り取っても傷心にぎゅんぎゅん沁み込むこと間違いなしの名曲。

いつも自分に言い聞かせる
君の目にはもう僕はいないと
「さよなら」と心だんだん
離れていっても
君の仕草は忘れたくないんだ

中でもとりわけ切ないのが、1、2番のサビと最後の大サビに共通したこの歌詞。

今日も今日も今日も 空は晴れ

”空は晴れ”。たった一文字の”は”っていう助詞だけで、晴れていない別の何かを想起させる効果がこんなにもあるなんて、日本語ってすごいなと思わされる。

*その他のおすすめソング*
・「ポニーテール」
・「Yellow」
・「線香花火」
・「September」
・「今度までには」
・「おやすみなさい」
・「サイダー」

◇未練をぶっとばせ!失恋を強気に振り切りたいあなたの背中を押す

・「赤い靴」

めちゃくちゃ好きだった相手に心変わりされてムカついて強がる曲です。

君を好きじゃなくなったって
息巻くくらいに言えばいいじゃない

1999年にリリースされたシングル「ナキ・ムシ」のカップリングなんですが、良い意味で今のaikoじゃ言わなさそうなド直球な歌詞が印象的。

転んだってすりむいたって
傷口なめてまた歩けばすぐ
ただ痛いだけの後悔に
情愛もって手をふってみせる

……なんて強気なことを言いながら、最後のダメ押しがなんとも心憎い。

瞬きさえ出来ないあなたの笑顔には
あたしを追い込んだ無防備な
最期に落ちて来る太陽のよう

だいっすきな曲。ライブで歌うハイテンポバージョンが最高。

*その他のおすすめソング*
・「あなたの唄」
・「遊園地」
・「ゴーゴーマシン」

◇別れた恋人がやっぱり忘れられない……。そんなあなたにそっと寄り添う

①「あたしの向こう」

何を隠そう、これはわたしが史上最大の失恋をしたときに、すり切れるほどずうっと聴いていた曲でした。
2014年のドラマ『素敵な選taxi』の主題歌に起用されていたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

わたしは、aikoをもっともaikoたらしめているのは“切な明るい”というジャンルを確立していることだと考えているのだけれど、「あたしの向こう」はその最高峰に位置する一曲だといっても過言ではない。
文字通り、“ものすごく切ないことを、あくまでも明るくさわやかに歌い上げる”のです。これは、最新曲の「青空」にも同じことが言える。

さよならなのはわかっていたけれど 知らないままであがいてみたんだ

そう、そう、そうなんですよね。
何の前触れもなく、突然別れがやってくることなんて果たしてあるだろうか(いや、ない)。
決して豊富とはいえないわたしの経験上ですらそうなのだから、多分ものすごくたくさんの人の心にぐさぐさ刺さるフレーズなのではないでしょうか。

だいたい、なんとなくちょっと変だな~みたいな感じになっている真っ只中に、合意の元ですっぱり別れるだなんて、よっぽどお互いの気持ちが似通っていない限りはありえないだろうと思う。

やばいのはわかっているけれど、もうどうにも引き返せそうもない。かといって今すぐに別れを受け入れられるかと言われれば、もちろん無理に決まっている。長い時間隣で過ごしてきたし、一緒にいるとすごく楽だし、もうすぐ記念日だしなどなどの理由がとめどなく思い浮かび、決断することができない。

そこで、このBメロが刺さるのだ。

ドラマみたいに遡って本当のこと 話せたらいいけどそんなの無理だよね

曲の中でも特に、わたしが長年、おまもりみたいに大事に持ち続けていたのが、最後の大サビの部分。

これからの朝これからの夜たまには思い出してもいい?
あなたの心に変わった形のままでもいいから
いられたらな

これまでずっと、自分に言い聞かせる形で綴られてきた歌詞が、ここで初めて相手への問いかけになる。

“思い出してもいい。”ではなく、“思い出してもいい?”。二人の関係がもうどうにもならないことは充分にわかっていて、懸命に受け入れようとしているにも関わらず、最後の最後で思わず漏れてしまう弱さ。

そこからの、“変わった形のままでもいいからいられたらな”というダメ押し。

恋人としてではなくてもいいから、自分のことをどうか忘れずにいてほしいという切実な想いに、何度涙したかしれない。

②「愛だけは」

この曲で注目すべきは、決して“恋愛感情=愛”ではない、ということだと思う。
今なお残る恋愛感情が今後きっと変化していくこと、薄れていくであろう事実を冷静に見つめながらも、その根底にある愛はきっと変わらないだろう、という確信にも近い想い。

好きな気持ちの形変わっても
一生変わらないでしょう
小さな想いがひとつずつ薄れ行く日が来ても
変わらないこの愛だけは

また新しい誰かと恋に堕ちることがあったとしても、心の奥底に依然として残り続けるその感情を、aikoはまるっと肯定してくれるのだ。

無理に忘れなくてもいい。
この2曲を端的に表すならば、aikoからのそんなメッセージに尽きると思う。
自分にとって本当に大切な存在であるならば、たとえ恋愛感情がなくなったとしても、ずっと心に残り続けてしかるべきなのだろうな。

*その他のおすすめソング*
・「嘆きのキス」
・「恋人」
・「大切な人」
・「青空」

◇まとめ

以上13曲、恋愛シーンに合わせて聴きたいaikoの名曲でした。

今の自分に合わせて聴くのはもちろん、全然違う状況下においても、聴くだけでスッと気持ちを持っていかれてしまうことがしばしばある。何度聴いてもはっとさせられる曲ばかりです。

余談ですが、2017年の夏にaikoの名バラードを紹介した記事も書いているので、よかったらこちらもぜひ。

"泣いてしまうなんて勿体ない" aikoの名バラード10選|優香|note

(今回は、この中に登場する曲は外してピックアップしてみました)

最後におまけです。

◇おまけ:通勤・通学中にピッタリ!朝聴きたいアガる一曲

・「予告」

ここ一年の中で、一番たくさん聴いている曲だと思う。
底抜けに明るいメロディーと前向きな歌詞が朝にピッタリ!

ただ、時には容赦ない強さで涙腺を揺さぶってくることもあり。

あたしだけの道をあたしは知っている
変幻自在振り返れば綺麗
選べないよ ずっと だけどそれでいい
きっとあたしのあたしが知っている
もうじき頬も晴れやかだ
泣いたのは出口を探した証さ

将来に思い悩んでいた就職活動のさなか、「ストロー」とあわせて願掛けみたいにずうっと聴いていたこともあって、個人的に思い入れの深い一曲です。

*その他のおすすめソング*
・「なんて一日」
・「未来を拾いに」
・「ストロー」
・「beat」

◇プレイリスト作っちゃいました

本記事で紹介した楽曲+αを盛り込んだプレイリスト『aiko:繰り返す恋道』をApple Musicで作成しました!

1.かばん ★
2.どろぼう
3.学校
4.more&more ★
5.桜の時 ★
6.Power of Love
7.桃色
8.キスする前に
9.蝶々結び
10.愛は勝手
11.愛の病 ★
12.キスが巡る ★
13.キスの息
14.彼の落書き
15.恋人同士
16.まつげ ★
17.甘い絨毯 ★
18.すべての夜
19.微熱
20.いつもあたしは
21.秘密
22.心に乙女
23.星のない世界
24.You&Me Both ★
25.月が溶ける
26.恋をしたのは
27.こんぺいとう ★
28.キョウモハレ ★
29.ポニーテール
30.Yellow
31.今度までには
32.愛のしぐさ
33.明日もいつも通りに
34.おやすみなさい
35.サイダー
36.赤い靴 ★
37.あなたの唄
38.遊園地
39.ゴーゴーマシン
40.あたしの向こう ★
41.愛だけは ★
42.嘆きのキス
43.恋人
44.大切な人
45.約束
46.自転車
47.青空
48.予告 ★
49.なんて一日
50.未来を拾いに
51.ストロー
52.beat
※ ★は記事の中で紹介した曲です。

記事と同じく恋愛シーンに沿って順番に聴くもよし、はたまたシャッフルで楽しむもよし。
聴いてみてもらえると嬉しいです!

楽曲にめいっぱい込められたaikoの愛が、あなたにもきっと届きますように。

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