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SABETSUする心を変えるデザインを探そう 連載第2回

髪がないという目に見える障害、記憶が悪いという目に見えない障害

今回のイベントは、ASPJとNPO法人Reジョブ大阪の共催だ。
簡単に二つの団体を紹介する。

ASPJ(Alopecia Style Project Japan)

サイト
https://alopecia20.wixsite.com/alopeciastyleproject

上記ASPJサイトより

髪を失った、たったそれだけのことで、
私たちは稀有な目で見られ、傷つき、涙してきました。
自分の容姿を「隠さなければ」と思いながら鏡の前に立つ。
自分を隠そうとするそんな自分の気持ちに、自らの心を傷つけてきました。
でも本当に私たちの容姿は隠さなくてはならないほど醜いものでしょうか。
髪を失った女性が自分だけの笑顔を輝かせるために。
私たちが私たちの心を優しく受け止めるために。
イベント・パフォーマンス・講演活動などを行っています。
私たちから、次の私たちへつながり、未来に続く小さな灯りになるように。
違いが優しく溶け合う世界に向けて。

NPO法人Reジョブ大阪

サイト
https://www.re-job-osaka.org/

上記サイトより

脳損傷者に社会的役割を
家族には心安らぐ場を
そしてそれらを社会に広める活動を
脳損傷患者、特に「見えない障害」と言われ、医療従事者にさえ十分理解されているとは言いがたい高次脳機能障害。
私たちは、その人達が自分らしく社会復帰する手助けをしたいと思っています。
また、脳損傷患者への家族支援の乏しい状況の中、単発ではない継続的な家族支援が必要です。
私たちReジョブ大阪は、脳損傷患者の社会復帰支援活動および家族会等の継続的運営を目指します。
また、それらをSNSやブログなどを通じて世の中に広めていきます。

このイベントのフライヤーにはこのようにある。

髪を失った女性が受ける見た目での差別
高次脳機能を失った人が受ける見た目以外の差別
私たちの身の回りには、ほかにも様々な差別があります。
人間には自分とは異なる者に注意を向ける本能があり
差別そのものはなくならないと思われます。
では社会の、意識のどこを変えればいいのでしょう。

まずは、出口先生とともに、多様性を語ると必ず出てくる議論について意見を述べ合う。

質問
「多様性を認めるのであれば、多様性を認めないということや、多様性を認めないという人も認めないといけないのではありませんか?」

それぞれの回答を聞いてみよう。

出口
ドイツではナチスを認めるような活動をする人に発言権を与えていません。分かりますか?「言論の自由」とは、「誰にでも罵詈雑言を言っていい」という意味の自由ではないんです。「嘘でたらめ」を言うことは、表現の自由とは言わないんですね。それが世界の論理です。

西村(NPO法人Reジョブ大阪)
昨日まで普通に生活していた人が、事故や病気で急に障害者になることがあります。障害者って、いつなるか分からないんですね。私は多様性うんぬん以前に、そういうことを言う人に対し「あんたのその態度は損やで」ということやと思います。

ヒロセ(ASPJ)
そういうことを言う人に対し「自分の立場に置き換えられる?」と聞きたいです。そして、それができる人は、逆に髪がないようなことを笑い飛ばせるんです。みなさんには笑い飛ばせるくらいの人でいてほしいです。多様性といっても「なんでも」自由じゃないんだよって思います。

さて、どの本を読んでも思うのだが、出口先生は、議論の前提を大事にしている。特に言葉の定義が大切で、言葉の定義が違う議論は、ただの口喧嘩だとしている。揚げ足を取られたときや、屁理屈を言われたとき、こちらの言葉尻をとらえただけのようなものをぶつけられたときには、議論の前提とそこで使用する言葉の定義を振り返る必要があるということだ。

差別は無知、区別は理知。

「差別」についていろいろ議論してきたが、「差別」に非常によく似た言葉に「区別」がある。このイベントでは休憩時間を利用して、「差別と区別の違い」のアンケートを行った。
様々な意見が付箋紙で貼り出された。

その中から会場がどよめいたいくつかの例をアップする。

・差別は無知、区別は理知。
・心の有無じゃないかな。
・差別は属性でくくって扱われること。区別は選択の結果を属性化すること。
・差別は感情で分けること。区別は事実で分けること。
・差別は自分の優位を保つこと。区別は相手が不利にならないようにすること。

出口先生や2団体の代表は「差別と区別」どう定義するのだろう。

出口
漢字には意味があります。なので、そこを考えればいい。
差別は「差」をつけること。ある価値観の押し付けによって差をつけることです。
区別は単なる「区」分。機能的なことです。
とにかく、ファクトベースでものごとを考えないと、劣等感やゆがんだ価値観と結びついて差別が行われますね。

西村(NPO法人Reジョブ大阪)
区別は相手の利益になることです。
例えば「精神疾患の人は入院させない」というのは差別です。それは相手の不利益になるから。でも、「精神疾患のケアができない人が、ケアをしない」というのは区別です。

ヒロセ(ASPJ)
問題を直視できるのが区別できる人、その問題があるということを否定してしまう人が差別する人です。後者は情報弱者に多いと思います。知っていれば、知識があれば、問題の存在を否定はしないでしょう。


文:NPO法人Reジョブ大阪理事 松嶋有香
写真:さっち

つづく(全3回)
第1回 URL
https://note.mu/yukamatsushima/n/n4eefb3a879d2

主催団体、ASPJとNPO法人Reジョブ大阪では、講演活動、啓蒙活動のための資金を集めています。ASPJのメンバーの一人は群馬、NPO法人Reジョブ大阪のメンバーは大阪で暮らしています。二人の、東京までの片道切符、みなさんの支援で買えますように。
帰りは自力で帰ります(笑)
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