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文章術小ネタ「知ることができる」は別の言葉に

知ることができる」は「分かる」でいい。その理由が分かる人は、もうこの先は読まなくていい(笑)

私が敬愛する大学客員教授の望月りん先生(小4)は、この言葉を多用する。

昨日公開されたこの動画でも、望月りん先生はこのように仰っていた。

知ることができる

もちろん、違和感を覚えない人はスルーでいい。というか、りん先生の講義は、内容がとてもイイので、この話を読むのを終わりにして、この動画を見た方が、今後の人生の役によっぽど役に立つ(笑)

「〇〇することができる」問題

〇〇することができるは「可能」を表現した言葉だが、たいていは言い換えることができる。この「言い換えることができる」も「言い換えられる」で十分なのだ。

翻訳本に多く見られる表現で、当然、それらをよく読む人の文章にも多い。時々出てくるくらいなら良いのだが、1ページに何度も出てくる時があり、気になりだすと下線を引きたいくらい、その多さが気になる。

私は文章指導をしているが、生徒にヒアリングすると、意味なく使っている場合が多い。また、可能の表現をかっこつけて書こうとするとこうなってしまうという。おそらく「ら抜き言葉」の恐怖、「られる」なのか「れる」なのか判断が不安だというな人が多いように感じる。それを「○○することができる」に言い換えてしまえば、すべてまるっとOKになってしまうのが、つい使ってしまう利点なのかもしれない。
難点は長くなってしまうこと。そして、多用すると、耳障りな言い回し、目障りな表現となってしまう。

「食べる」で可能を表現

正 食べられる

正しい例 温めると、より美味しく食べられます

誤 食べれる

誤った例 温めると、より美味しく食べれます

言い換え

温めると、より美味しく食べることができます。
「食べれる」か「食べられる」か不安な人は「食べることができる」と言えば間違いない。

温めると、より美味しく食べることができます

「来る」で可能を表現

正 来られる

正しい例 明日は何時くらいに来られますか

誤 来れる

正しい例 明日は何時くらいに来れますか
※この言い回しはだんだんと市民権を得てきていますが、国語的には誤り

言い換え

正しい例 明日は何時くらいに来ることができますか
「来られる」か「来れる」か不安な人は「来ることができる」と言えば間違いない。

明日は何時くらいに来ることができますか

他の言葉に言い換えた方がいい場合

「○○することができる」という表現は、長くなる。でも、自分が言おうとしている言葉が「ら抜き言葉」かどうか自信がない。調べる時間もない。
そんな時、間違えたらはずかしい……という場合は、いっそ他の言葉に言い換えられないか考えてみるといい。しかも、その方がありきたりな言い回しにならないのでかっこいいのだ。国語の勉強にもなる。この小さな勉強が数年後に物凄い差となるわけ。

「知ることができる」は「分かる」「理解する」に

さきほどの、望月りん先生のセリフ

今日の授業を受ければ、そんな「経済学を用いて幸せになる方法」を知ることができるようになるだろう。

も、

今日の授業を受ければ、そんな「経済学を用いて幸せになる方法」が分かるようになるだろう。

でもいいし、

今日の授業を受ければ、そんな「経済学を用いて幸せになる方法」を理解できるようになるだろう。

でも、かっこいいね。「知る」よりも深いでしょう?

「食べられる」は、敬語にしたいのかどうか考える

温めると、より美味しく食べることができます。

これは、よく、食品のパッケージなどに書いてある。アップルパイとかかな(笑)
この場合は、敬語にしたいのか、可能を表す表現にしたいのか、企業側で考える必要がある。

敬語にしたい場合は、召し上がるに言い換えるといい。

温めると、より美味しく召し上がることができます。

この場合は「ら」を入れて「召し上がられます」とすると、変な感じだしリズムも悪いので、むしろ「〇〇することができる」の形の方が美しいです。

また、可能の場合、つまり、味がどうのこうのと言いたい場合は、

温めると、より美味しく食べられます。

でOK。でもたぶん、企業がパッケージに書くなら、断然前者だね(笑)

こんなふうに「ら」を入れるかどうか迷い、自信がなくて「〇〇することができる」に逃げるくらいだったら、他の言葉に言い換えられないか考えた方が、ずっといい結果になるし、文章力もつくよ。


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