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【続】アガサ・クリスティ沼へのお誘い~13作品&ベスト10~

以前、こんなnoteを書いたところ、ありがたいことに継続的に読んでいただいておりまして。

今年、2020年は、アガサ・クリスティデビュー100周年&生誕130周年記念!!
新訳も出たり、映画も公開されたり、「今まであんまり読んだことなかったけど...」という人も、クリスティ作品に触れる機会が増えているのではないでしょうか?

私も間違いなくその1人で、ここ最近の最高の息抜きは「コーヒー片手にクリスティ」となっております。

前のnoteではクリスティ20作品を勝手にランキングしましたが、今回は別の13作品を勝手にランキングして、最後にトータル33作品で「私的ベストクリスティ〜まず読んで欲しい10冊〜」をば...!

なんとも自己満足なnote。誰の参考になるかわからんnote。
それでは早速、前回のnote執筆以降に読んだ13作品をご紹介していきます〜(もちろんネタバレありません)

※あらすじの出展はすべて早川書房のクリスティー文庫です


1位:死との約束

あらすじ:「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃ…」エルサレムを訪れていたポアロが耳にした男女の囁きは闇を漂い、やがて死海の方へ消えていった。どうしてこうも犯罪を連想させるものにぶつかるのか?ポアロの思いが現実となったように殺人は起こった。謎に包まれた死海を舞台に、ポアロの並外れた慧眼が真実を暴く。

前回のnoteを書いたところ、コメント欄に「死との約束もお好きでは?」とご紹介いただいたので、読んでみた一冊。

いや、本当に好きでした!紹介いただいた方、本当に感謝!!!

私が前回1位にあげている『葬儀を終えて』の「リチャードは殺されたんじゃなかったの」に引き続き、本作の「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃ…」というセリフ。ここからスタートするのが、もう最高です。

クリスティの夫が考古学者だったこともあり、クリスティものには中東が舞台の作品が多々あります。『ナイルに死す』とか『メソポタミヤの殺人』とか、本作の『死との約束』も。

私は中東ものより、イギリスが舞台のものの方が好きだと思っていたのですが、本作は情景が豊かに浮かぶし、独裁的な1人の女性の周りにいる家族、各人の精神面についてフォーカスされていて、謎解きもいつもと少し違い、もちろん驚きもあるわけです!

間違いなくオススメ。

2位:無実はさいなむ

あらすじ:資産家の義母を殺害した罪で獄に繋がれたジャッコは、懸命に無実を主張した。が、それもかなわず彼は獄中で死亡した。やがて、その二年後、一人の男が現われた。ジャッコの冤罪を証明する証拠をもっているというのだ。まもなくジャッコの完璧なアリバイが証明され、事態は混迷してゆく……。

ポアロでもマープルでもない、ノンシリーズの本作。

前でご紹介した『死との約束』は独裁的な1人の女性とその家族の話でしたが、今作は慈善家の老婦人とその家族の話。

私はどうやら、「関係者の精神状態」がよく描写される、そして考える余地のある作品が好きらしいです。

今作もこんなセリフが出てきます。(ネタバレではないのでご安心を)

「人間の心といのは複雑なものでね。ひとに親切にしてやれば、親切にしたほうの人間は結構いい気持ちでいる。しかし親切にされたほうの人間は、はたして相手にいい感情を抱くだろうか。感謝すべきことはもちろんだが、はたして実際に感謝するだろうか」
出典:『無実はさいなむ』アガサ・クリスティー著

一見、恨まれる余地などなかったような慈善家の老婦人を取り巻く家族が一体どういう心情だったのか、面白いです。

あと、ポアロでもマープルでもないので探偵が出てこないのも、置いてきぼり感がなくて好きなポイント!

3位:杉の柩

あらすじ:婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。ロディーが彼女に心変わりし、婚約は解消された。エリノアの心に激しい憎悪が湧き上がり、彼女の作った食事でメアリイが死んだ。犯人は私ではない! エリノアは否定するが……嫉妬に揺れる女心を、ポアロの調査が解き明かす。

3位に置いておいてなんですが、私、この作品に少し文句がありまして。

クリスティ作品の中でも、かなり印象に残る本作。なのに、なんでタイトルが『杉の柩』!
柩(ひつぎ)が見慣れている「棺」ではなく「柩」という漢字のせいで、読めなかったし(私だけかしら...私だけだったら恥ずかしい...)、タイトルだけ見てストーリーを思い出しにくい!

ただ、傑作です。文句言ってすみません。

本作の主人公とも言えるエリノア・カーライル。彼女は一体どういう人物なのか、何を考えているのか。すっかりエリノアの虜になる私!!!!

4位:カーテン

あらすじ:ヘイスティングズは親友ポアロの招待で懐かしきスタイルズ荘を訪れた。老いて病床にある名探偵は、過去に起きた何のつながりもなさそうな五件の殺人事件を示す。その影に真犯人Xが存在する。しかもそのXはここ、スタイルズ荘にいるというのだ……全盛期に執筆され長らく封印されてきた衝撃の問題作。

上位に持ってきていますが、すみません!これは、ポアロシリーズを一通り読んだ人にオススメできる作品です。

なぜかというと、ポアロ最後の事件だから。

ポアロとヘイスティングズの関係性がわかった上で、ヘイスティングズの愛すべきキャラクターとポアロの衰えない観察眼を存分に楽しめる一冊です。うーん最高!

5位:エッジウェア卿の死

あらすじ:カーロッタは人気女優ジェーンのものまねで、ポアロを含む多くの観客を魅了した。奇しくもジェーン当人が、ポアロに奇妙な依頼をしてきた。離婚を拒む夫の男爵をなんとか説得してほしいというのだ。純粋な興味からこの依頼を快諾したポアロ。が、数日後その男爵が謎の死を遂げてしまう……。

純粋に面白いです!ミステリーってこれだよね、という感じ。軽い気持ちでサクサクと読めるのもオススメのポイントです!

「検討のつくトリック」と思って読み進めると、あれ?私が考えてたの違った?となって最後は怒涛のスピードで展開していくストーリー。

6位:牧師館の殺人

あらすじ:嫌われ者の老退役大佐が殺された。しかも現場が村の牧師館の書斎だったから、ふだんは静かなセント・メアリ・ミード村は大騒ぎ。やがて若い画家が自首し、誰もが事件は解決と思った……だが、鋭い観察力と深い洞察力を持った老婦人、ミス・マープルだけは別だった!

はい、きました。私が大好きなマープルおばあちゃん初登場の長編作品!

マープルおばあちゃんの家の隣で事件が起きます。

この作品、私がマープルものが好きなので贔屓目に見ているのかもしれませんが、マープル初登場長編であっても、マープルの描き方が、ポアロのようなどぎつい印象を残さず「そこらへんにいるおばあちゃん」なのが良い。

もちろんクリスティなので、読者を裏切らない「意外性」はバッチリです。

7位:メソポタミヤの殺人

あらすじ:考古学者と再婚したルイーズの元に死んだはずの先夫から脅迫状が舞い込んだ。さらにルイーズは寝室で奇怪な人物を見たと証言する。だが、それらは不可思議な殺人事件の序曲にすぎなかった……過去から襲いくる悪夢の正体をポアロは暴けるか?

クリスティを語るのに、私の知識量が少なすぎることが残念でなりません。なんかもっとこう、「〇〇のミステリーを反映させた〇〇」とか「クリスティの〇〇な境遇が現れた〇〇」とかそういうのも書きたいんですけど。

一方で、そんな小難しいこと知らなくても面白いのがクリスティなんだ!って声を大にして言いたい感もあります。

ということで、面白い!

最後まで読んで、犯人の動機がおぅ...となる作品。

8位:もの言えぬ証人

あらすじ:ポアロは巨額の財産をもつ老婦人から命の危険を訴える手紙を受け取った。が、それは一介の付き添い婦に財産を残すという問題のある遺言状を残して彼女が死んだ二カ月後のことだった。ポアロとヘイスティングズは、死者からの依頼に答えるとともに事件に絡むテリアの「ボブ」の濡れ衣を晴らす。

えーっと、このあらすじ、早川書房のクリスティー文庫からとってるんですけど、そんなに犬、関係ありません。もちろん関係あるんだけど、犬の濡れ衣を晴らす目的の話ではない。

ポアロとヘイスティングズのコンビがいい味を出し、相変わらず「そうだったんかい!全然犯人当たらんな!」と思わせてくれる作品です。

9位:書斎の死体

あらすじ:町で名士と評判の大佐の家に死体が。しかも金髪の女性の――町のうわさになり、四面楚歌の大佐のために、ミス・マープルが調査に乗り出した。やがて死体の身元が判明するが、大佐と意外なつながりをみせる。

本作は有名ですね!聞いたことのある方も多いのでは?

実は、この作品、クリスティもので唯一と言っていいくらいですが、私が読んでいる途中に犯人がわかった作品です。なんで分かったんだろう...意外性はあるはずなのに、きっとその時の私は異様に冴えていたんでしょう。

マープルお得意の「この人は私の知っている〇〇さんタイプだわ」というのが沢山出てきます!

10位:ゴルフ場殺人事件

あらすじ:南米の富豪ルノーが滞在中のフランスで無惨に刺殺された。事件発生前にルノーからの手紙を受け取っていながら悲劇を防げなかったポアロは、プライドをかけて真相解明に挑む。一方パリ警視庁からは名刑事ジローが乗り込んできた。たがいを意識し推理の火花を散らす二人だったが、事態は意外な方向に...

ポアロ×ヘイスティングズが好きなら絶対読まなければならない一冊。

今回結構ヘイスティングズに言及しているのですが、彼はホームズものでいうワトスン君の立ち位置にいるわけです。

でも間抜け。ワトスン君よりも間抜け。ポアロがどぎつい自信家なこともあり、ヘイスティングズの可愛らしさが際立つコンビなのです。

クリスティ作品では断トツでマープルおばあちゃんが好きなのですが、次点でポアロではなくヘイスティングズが私は好きです。ふふふ

11位:バートラム・ホテルにて

あらすじ:古き良きエドワード朝時代の面影を今なお残すバートラム・ホテル。ミス・マープルも淡い過去の思い出を求めて訪れた客のひとりだった。だが、その優雅な雰囲気の陰に彼女が見たのは、巧妙にしくまれた大陰謀……はたして巻き起こった驚愕すべき犯罪とは? 香り高き本格ミステリの逸品!

バートラム・ホテル、泊まってみたい!という感想が第一にくる作品。

私はリース ボウエンの『貧乏お嬢様シリーズ』も好きなのですが、それは20世紀初頭のイギリスが舞台だからです。

本作はイギリスが舞台である良さが存分に出ているので好き!なのですが、マープルの良さが出ているかというと微妙かもしれません。

12位:雲をつかむ死

あらすじ:英仏間を飛ぶ飛行機内で、変死した老婦人が発見された。死因は蜂毒によるものか、それとも……。名探偵ポアロが大空の密室に挑む

最近新訳が出た本作。飛行機の中で起きる殺人の話です。

飛行機の中の殺人と言えばコナンを思い出してしまう私ですが、感想としては「楽しめるけど、もっとなんか欲しかったな」という感じ。

13位:火曜クラブ

あらすじ:甥のレイモンドを筆頭に、前警視総監や画家など様々な職業の人々がミス・マープルの家に集った。一人の提案で各自が真相を知っている昔の事件を語り、その解決を推理しあうという〈火曜クラブ〉ができたが……田舎の老婦人ミス・マープルが、初めて驚異の推理力を披露した短篇13篇を収録。

クリスティの超有名短編作品集です。しかも私が好きなマープルもの。

ただ、私、本作を読んでみて「クリスティは長編の方が面白い」と思いました。

クリスティで私の大好きな「意外性」って、登場人物がどういう人たちかを知って、私の頭の中で推理しながら進めて、それが裏切られた時の「意外性」なんですよね。それが短編集では推理する暇がないうちに種明かしで終わってしまう。

他にも有名な短編集、『謎のクィン氏』とか『死の猟犬』も読んでみないと分からないのかもしれないので、今度読んでみたいと思います。

私的ベスト・クリスティ〜まず読んで欲しい10冊〜

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『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』『そして誰もいなくなった』については前のnoteにちょっと記していますが、私が何をいう必要もなく読まれる機会の多い作品だと思うので、スルーしています。スミマセン

クリスティはどれを読んでも一定の面白さを保証するので安心して読んでいただきたい!

でも、私がオススメするのであれば上記の10冊はまず読んでいただきたい!

そして私と「クリスティ飲み会」でもしていただきたい!

という気持ちです。

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