見出し画像

今年初めてできるようになったこと

週末の朝、中学生が起きるのを待ちきれず置いていく朝飯弁当

ごはんの上に明太子と韓国海苔
卵焼き
里芋の煮っころがし
ほうれん草の胡麻和え
もやしのナムル

母はジョギングに行くので寝坊息子など待っていられないのである

今年50歳になったものの、その数字が大きな節目だという感慨は全然ない。
でもなぜか今年は、生まれて初めてできたことがいくつかあり(月間のジョギング走行距離が初めて120キロ超えたとか、飽きずに洋書ペーパーバックを一冊読み切ったとか)、人って結構、そういうことの多くは、視座や物事の捉え方を新たにしたり変えたりする、ささやかながらも実りある経験になったりするものですね。

「鏡を見ずにコンタクトレンズを装着する」のが、実は今年初めてできた。
コンタクトにしてから30年以上、ずーーっと鏡を見ながら装着していた。それに不便を感じたことは一度もなく、そもそも、鏡を見ずにつけてみようと思いついたこともなかった。
ある朝、娘を見ていたら、鏡を見ずにコンタクトレンズを付けていることに初めて気がついた。へー、器用なことするのねえ、と眺めていたら、ママもできるよ、やってみたら?と言う。

いやいや、できませんて。
目の位置を鏡で確認しながら毎日コンタクト入れてるんだもの。
鏡がなかったら、目の位置わかんなんだもの、できないって。

という私に、目につける直前までコンタクト見てればいいんだもの、試しにできるかどうかやってみて、と娘が言うものだから、まあこんな小さいことでもやる前からできないなんて言ったらよくないわねそりゃ、と思い直し、やってみた。

すると、できたんです。
ものすごく簡単に。
自分が拍子抜けするほど、簡単に。

この時私は、ちょっと期待したのです。
この些細な出来事が、もしかしたらまた1つ、自分の実りある経験に繋がるかもしれないと。だって、50歳にして生まれて初めてできたんだもの。30年、自分ができるわけないと思い込んでいたことがこんなに簡単にできたんだもの。

その日から、私は鏡を使わずにコンタクトレンズをつけるようになった。
でもそれが、何か尊い経験になってきている手応えは、未だこれっぽっちもない。
コンタクトレンズをつけるのは毎日朝一番、顔を洗った後で、そのとき必ず目の前には洗面台の鏡がある。鏡がなくてもつけられる利便性が、全く芽生えないのだ。
外出先で急にコンタクトレンズが外れちゃってどうしよう!なんてハプニングも起きない。思い返してみると、コンタクト生活になってから30年以上、ごく最初のハードコンタクトレンズの頃に1度だけ起きたことがあるものの、ソフトコンタクトレンズにしてからはそんなトラブルは無縁。

半世紀生きてきて、生まれて初めてできた画期的な経験が、これほどにも手応えがない事実に、私はちょっと困惑している。
もしかして、その尊さを見逃しているんじゃないかと、戸惑っている。
とんだ拍子抜けである。
経験に何の学びもない、ってこともある。そんな学びなのか。
鏡を見ずにコンタクトレンズをつけられるようになった経験が、私の人生に新たな価値をもたらす。そんな明日は来るだろうか。

レシピメモ

このお弁当に入れた卵焼きは、小さい丸フライパンで作っている。
卵1個を割って溶きほぐし、きび糖2つまみと塩1つまみを入れてよく混ぜる。
フライパンにごま油を熱し、卵液を流し入れて(一度に全部入れる)全体に広げ、大きく菜箸で混ぜながら卵に火を通し、8割ぐらい火が通ったらクルクルと巻く。細長い形になった卵焼きを半分にたたんで、ぎゅっと押さえてできあがり。
切らずにそのままお弁当に詰める。
たたんで焼いても、くるくる焼いても、卵焼きは卵焼きなのである。



この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?