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ゆうきゆう先生にインタビュー!コロナ禍の「リワーク」で大切なこと

コロナ禍で増えるメンタルヘルス不調

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コロナ禍でメンタルヘルス不調を訴える人が増えている。

メンタルヘルス相談の事業を行っている「T-PEC」では、「死にたい」などと訴えるメンタルヘルス件数が前年比1.7倍に増加したそうだ。

東京の医療情報提供サービス会社「eヘルスケア」は、コロナ禍での生活環境変化の影響で増えた疾患について調査をした。その結果、医師の約4割近くが精神疾患増を挙げ、最多だったという。

コロナ禍でのメンタルヘルス不調について、「マンガで分かる心療内科」でおなじみの「ゆうきゆう先生」にお話を伺った。

ゆうき先生は、ゆうメンタルクリニックの総院長でもある。
コロナ禍での患者数の変化を聞いてみると、自粛や緊急事態宣言などにより一時期減ったものの、現在は増加傾向生活様式の変化によりストレスを抱える人が増えたのが大きな原因ではないかと話す。


働き方の変化がもたらす問題とは

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新しい生活様式の中で、働き方も大きく変化している。
テレワークやローテーション勤務、時差通勤、オンライン会議など直接顔を合わせずに仕事をすることが増えた。社員同士のコミュニケーションがうまく取れず、それが心理的なストレスになることが考えられる。

さらに、仕事とプライベートのオン・オフの切り替えが難しかったり、一人暮らしの社員の孤独感が強まったりするなどストレスを溜め込みやすい環境を生んでいるのではないだろうか。

産業医サービスを提供している「アドバンテッジリスクマネジメント」の調査によると、登録している産業医の約半数が、例年に比べて健康相談や面談等の追加業務が増えたと感じている。新型コロナ感染症関連の相談に次いで、2番目に多い相談がメンタルヘルス相談だ。約7割の産業医がストレス関連疾患の発生予防が課題であると回答している。

長引くメンタル不調は、精神疾患を引き起こし、休職や退職につながる。
文部科学省の令和元年度人事状況調査によると、精神疾患による病気休職した教職員は5478人と過去最多。「新型コロナウイルスに対応しながらの職務が教職員の精神的な負担につながることも懸念される」として、健康相談窓口の整備など対策が急がれている。


今求められる「リワーク」の役割

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精神疾患による休職者が増える中で大切になってくるのが、「リワーク」である。

リワークとは、「return to work」の略語であり、精神疾患を原因として休職している人に対して、職場復帰に向けたリハビリのプログラムのことだ。リワークを受けると、就職率・定着率が倍になると言われている。

ゆうき先生が総院長を務める「ゆうメンタルクリニック」では、院内デイケア「ゆうリワークセンター」を設置し、リワークプログラムを実施している。集団活動を通して、復職への力をつけていくサービスだ。生活リズムを整え就業する体力をつけながら、復職後に役立つスキルを身につけていく。

ゆうき先生によると、「リワーク」で一番大切なのは、「コミュニケーション能力やスキルを学ぶこと」だそうだ。ストレスの要因の多くが人間関係によるものだからだ。

そのため、「ゆうリワークセンター」では、心理学を応用して、コミュニケーションが重点的に向上できるようなプログラムになっている。さらに、コロナ禍におけるリワークでは、オンラインでのコミュニケーションを重視するなど今までと違う方向のプログラムも必要となってくる。

仕事のベースとして「家族との人間関係の調整」も大事だとゆうき先生は話す。テレワークなど家庭と仕事との切り替えが難しい環境だからこそ、家族との関係が大切になってくるからだ。


コロナ禍だからこそ大切にしたい「人との関わり」

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精神疾患は、再発・再燃の可能性が高いと言われている。
スムーズな復職のために「リワーク」の担う役割は大きい。
働き方が多様化する中で、復職支援の在り方も変化している。

しかし、リワークで大切にしている「人との関わり」の部分は変わらない。
むしろ人との関わりが少なくなるコロナ禍だからこそ、リワークにおいて人間関係を調整するコミュニケーションスキルを身につけることが大切なのではないだろうか。


ゆうきゆう近影


ゆうきゆう先生

精神科医。東京大学医学部を卒業し、ゆうメンタルクリニックを開院。
ゆうメンタルクリニックグループ総院長。「マンガで分かる心療内科」など著書多数。

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