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誰かに夢を託すこと。TBSドラマ「天皇の料理番」に涙が止まらない

自分の夢が、もし、どうしても叶えられないとしたら??

2015年に放映された、TBS開局60周年特別ドラマ「天皇の料理番」はオンエア当時も毎回号泣しながら見て、当時のブログにもそのことを書いていたが、久しぶりにオンデマンドのパラビ(Paravi)で再度見てみると、やはり胸が熱くなる。きれいごとと言われればそれまでだが、愛とやさしさと希望に満ち溢れた作品だった。

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とにかく興味が沸けばそれにまっしぐら、熱しやすい分冷めやすい主人公、佐藤健扮する篤蔵(とくぞう)が、七転八倒しながらも周りの応援を得て料理の道を究め、そして天皇の料理番、つまり宮中を預かる料理人になるという話だ。

単純なサクセスストーリーではない。

小さいころからどうにも手が付けられない子で「のく蔵」(役立たず)とあだ名をつけられた主人公と、それを暖かく見守る母、厳しいながらも彼をなんとかまともにしようと思う父、そして何かと問題を起こす彼の本質と本気を見抜いて支援する人たち。自分が叶えられない夢を託す兄。

壁にぶつかりまくって、何度も何度もやめてやる!となっては、周りの想いや協力でなんとか思いとどまって、まっとうな道に進んでいく。立派な偉人として語り継がれてる人だって、実際は本人だけのおかげではなく、たくさんの周りの協力があってこそ成し遂げられた功績であろう。

そのヒーローの陰にいる、縁の下の力持ちたちにフォーカスしているからこそ、この作品が愛に溢れていて、そして主人公も、手が付けられない大バカ者だけれども、何にでもまっすぐにぶつかり、正直で実直なところが憎めなくて周りがつい手を貸してしまうところがあるのだろう。


そして、人は平等ではない。叶えたい夢があっても、その状況が許さない場合だって多々ある。経済状況や家庭状況、そのとき自分を取り巻く政治状況、世の中の時勢、さまざまな理由であきらめざるを得ない、という人だって世の中にはたくさんいるのだ。

このドラマでいうと、篤蔵の兄がそうだ。
勤勉で大学に行って弁護士になるという夢を持ち、金沢の実家から東京に下宿して勉強に励んでいるのに病で夢を絶たれる。

絶望した彼が選んだのは、「弟に夢を託す」ことであった。

そして飽きっぽい弟は、自分のことをいつでもやさしくかばってくれた兄のことを思い、くじけそうになっても兄を思い出して、兄がブレーキとなってギリギリのところで放棄せずに踏ん張る。


兄のほうがよほど真面目で、彼がしっかり出世できるだろうに、あろうことか病に侵される。しかし、あの飽きっぽい弟が無我夢中で取り組んでいる料理の道で、兄も弟と一緒に夢を見ることができる、といって兄が支える。

滅多に人をうらやまない兄が、
弟に「頑強な身体をもっているお前がうらやましい」という。
泣けてくる。

そんな様子を見て母は、

「恵まれてる人は、余計に励まんといかんね」

と声をかける。


誰かに夢を託す、という物語は、昔から今へ、人類が渡し続けているバトンにも似ているようで、とても考えさせられるテーマだ。

以前わたしが紹介した「チ。」では、空に、宇宙に思いを馳せた登場人物たちが、その時代では重罪に値する「地動説」の研究に取りつかれ、大きなリスクを冒しながら研究を行い、いざ自分が続けられないとなれば、次の誰かに思いを託す、という風にで話が進んでいる。


また別で紹介した映画「トゥルー・ノース」もそうだ。


最近流行りの、「クラウドファンディング」なんかも、誰かと一緒に夢を見ると言う名目の投資だ。

そういう意味では株や投資も「一緒に夢を見る」類の行為なのかもしれない。

自分が応援される側になるのも嬉しいし、でも自分が叶えられない、どうにもならないことについては、誰かに夢を託すと言う方法で、一緒に夢を見ると言うのも、これはこれで夢がある話ではないか。と思う。

ちなみに本作は主人公が佐藤健、兄に鈴木亮平が演じているのだが、のちに映画「ひとよ」でも鈴木亮平と佐藤健が兄弟で演じている。こちらもぜひ見てみていただきたい。

TBS開局60周年記念ドラマ「天皇の料理番」は、パラビで観ることが出来るので、ぜひ見ていただきたい。

今日もお読みくださりありがとうございました!

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