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豪華キャストなのに期待はずれ。映画「いのちの停車場」の違和感


映画が期待ハズレだったことはあるが、
口直しに見た2本目もハズレだったことは初めてだ。

バカリズム脚本で期待した「地獄の花園」が
わたし的にはハズレ過ぎて

朝一番の回で頑張って観に来たのに、もう最後のエンドロールまで見られないほどで、このままでは帰れないと思い、その場でもう一本予約して観た「いのちの停車場」

こちらも観たいと思っていたので、たまたま時間がちょうどよく、口直しににもなると思ったのだが、これまた見事に期待外れだった。

吉永小百合に西田敏行、そして最近推しの松阪桃李、極めつけに田中泯、とくれば、とりあえず「地獄の花園」よりはかなり良いだろう、と思ったのだが。。。

「まほろば診療所」という在宅医療の診療所を舞台に、診療所のスタッフと在宅医療の患者さんたちとのかかわりを描くオムニバス形式なのだが、なんともこれが駆け足すぎて「え?」というエピソードの連続。

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(C)2021「いのちの停車場」製作委員会


吉永小百合は、救急救命医の道ひとすじのベテランだったが、ある問題の責任を取り、実家の金沢に近いこの診療所に医師としてやってくる。

のだが、多くのレビューにも書かれていたが、
この吉永小百合が申し訳ないけれど、お世辞にも救急救命医には見えないのだ。生死の境目をさまようこの緊急事態に、いつもの優しいトーンで指示を出す吉永小百合が思いっきり浮いている。ミスキャストとはこのことか。

診療所に移ってからの話がメインなので、診療所に来てから吉永小百合の違和感はなくなって、さすがの演技なのだが、話がとにかく駆け足で、新任の小百合先生がかかわって、何か相談して、ちょっとアドバイスして、そしたら亡くなる。みたいな、そこまでのプロセスみたいなものがなくて、きっと描きたいのは診療所のスタッフと、あえて在宅医療を選んで見送る患者さんについて、みたいなものなのだろうけど、あまりの駆け足で、吉永小百合が着任したとたんに患者が亡くなったような印象を受けるので、めちゃくちゃ意地悪な見方をすれば、「ちょっと、この先生、死神?」みたいな感覚になってしまう。それほど駆け足なのだ。

さらに吉永小百合のお父さんが色々と病気になり大変なのだが、その看病についての選択も「え?」とびっくりするような感じになってて、最後は急展開で意味不明に終わるという、観客置いてけぼり状態。

こちらも、「地獄の花園」同様、それぞれのキャストの演技はすごくいい。

吉永さゆりは透明感があるし、安定の存在感。広瀬すずも若いながらにしっかりとした存在感だったし、西田敏行もいつもどおりの安定感。松坂桃李もどちらかと言えばいつもどおりの張り切り青年系のキャラなんだけど、ちゃんとはまっていたし、患者役で出てくる石田ゆり子とかも良かった。

ひとつ、吉永小百合の父親役が田中泯だったが、田中泯自体はとんでもなく演技がすごいのだが、吉永小百合と実年齢は同い年ということで、

最初に出てきたときのセリフで「お父さん」と呼んでいたのだが、旦那さんのことをお父さんと呼んでいるのか、本当のお父さんの意味なのかわからず混乱した。これはやはり、主役を高齢の吉永小百合にしたことのシワ寄せだろう。

多分設定上は50代位の役だと思うのだけど、世の中、吉永小百合が70代だと言う事はもう知っているし、若い頃一瞬の若作りならまだしも、全編を50代で通すには無理がある。動きで年齢がある程度わかるし、いくら美人でも50代には見えない。なので、吉永小百合の実父がいったい何歳の設定かも謎だし、そもそも俳優同士の実年齢が同い年と言うので違和感が半端ない。ここは原作の設定を変えて、旦那さん役でもよかったのではないかと思ってしまった。ただ、そうすると父親をどう見送るかと言うことに苦悩するのと、他人である旦那を見送るかにってかなり感覚が違うと思うので、臨場感が減ってしまうのかもしれないけど。

なんにせよ、「地獄の花園」も「いのちの停車場」も、豪華キャストの熱演がもったいない感じで残念な作品だった。

やはり最近見た中で、中身も俳優もすごかったのは、西川美和監督の「すばらしき世界」


アマゾンプライムで見た同監督の「ゆれる」もすごかった。こちらもまた感想を書こうと思う。


ちなみに同じく役所広司の「孤狼の血」もすごかった。グロシーン炸裂だが、パート2が松坂桃李主演で公開されるので、興味ある方は是非。


今日もお読みいただきありがとうございました!



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