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運のいい人は、そうなるべくしてなっている。日頃の行いって大事だな。と思った話。

パート先の店長が退職した。けれど、残念ながら誰も悲しまなかった。

就任前から噂は流れてきていたが、噂通り、就任後もこの店長は全くやる気がなかった。本人なりに「やる気はあるつもりです」とは言うものの行動が伴わない。

とにかく全てにおいて「責任を取りたくない」と言う気持ちが前面に出てしまう。お客さんが待っていても「そこでお待ちください」と他のスタッフが動くまで自分は動かない。人と関わるのが嫌なのか、案内が不親切。彼が来てからこの店のクレームは増えた。悲しいことに「店長らしき男性に威圧的な態度を取られて不快」など、絶対にあいつだと特定できるようなクレームもあった。

ちなみに店長とは店の責任者だ。売上をあげることがミッションで、その他店の管理やスタッフの管理など現場にいながらもちょっとした管理職である。

けれど彼は店長らしき業務をするどころか、「パソコン作業があるので」と、店の人手が足りなくて店舗の運営がひっちゃかめっちゃかになってもお構いなしに事務所にこもり、事務作業をやっていることがほとんど。

全国に数百点あるので、マニュアルはしっかりしている。誰でもできるように「この週までに秋物を出す」みたいな指示もマメに来ているのだが、まったく無視。店の中はひっちゃかめっちゃかのままだ。もう夏が終わったのに暖房器具も出さない。扇風機が置いてあったりする。見かねて主婦スタッフが売り場をいじったりする。

店の中の運営ももちろんのこと、いざ自分が仕事をするとなると学生アルバイトが一番最初にやるような簡単な仕事しか手をつけず、店長がやるべき処理などはなぜか出勤の多いパートを使ってやらせる。

シフトの人員が足りなくても、自分がヘルプに出ることは一度もなく、接客業には大事な土日祝日もしっかりお休みを取ったり「自覚無し」なことが続いた。

さらに遅刻も多かった。ご家庭の事情など聞いてはいたが、「親戚のお通夜で休みます」や「犬が死んだので休みます」やらに加え、本人も頭痛持ち、めまい持ちで突然「今日病院に行くので遅れます」なども日常茶飯事。それはそれは本人にとっては大事なことなのかもしれないのだが、当日のスタッフは大迷惑だ。さらにその遅刻も、全体に知れ渡らないよう、こっそりと当日スタッフにだけ遅刻をすると連絡していたりと、やり方がこすい。

だけど上司が見回りに来る臨店の日には、怒られたくないからとその日の朝から掃除「だけ」している。お客さんの邪魔になろうがなんだろうが、上司に「叱られたくない」一心でやっているように見えた。

たぶん彼には「店長」とか「接客」とか向いていなかったのだと思う。もっと人と関わらずに同じことをずっとやっているような仕事が向いているのだと思う。お客さんがいる以上、常に仕事の優先順位が変わり、臨機応変に動くというスキルが必要になる。それは善し悪しではなく向き不向きであり、彼はその向いてない側の職についてしまったのだろう。

だけどそれでもそれなりに置かれた立場で頑張ろうという気持ちがどうしても感じられない。プライドが高いので分からないことを分からないと言えない。仕事が分からないので間違いを指摘するとむくれる。だからといって指示はない。みたいな感じで本当にただの困った人となっていて、本人も本人で合わない場所での合わない役職に悩んだではあろうけれど、それにしても「そこでなんとかしよう」という気持ちが見えなかったので結局スタッフみんなの信頼は地に落ち、「あきらめの境地」に入っていた。

こんな感じで全員の信頼を失いきったころ、本人から「退職します」と連絡があった。

すっかりみんなしらけていたので、誰も悲しまなかった。

これほどまでに信頼を失い、何とも思われない人って、人生で初めて見たかも、というほどみんながみんなクールだった。申し訳ないけどわたしを含む何人かは「ラッキー」と思ったくらいだ。

彼を見て本当に人って日頃の行いが大事だなと思った。成果の出る出ないではなく、人に対してだったり、仕事に対して誠実な態度でないことを周りは共通認識としてみている。

彼は悪人ではない。別に人格がどうとかではないし、彼は彼なりに思うところがあるのだろうけれど、残念ながら彼の元でみんなどんどんやる気をなくして言ったし、気持ちもすさんでいった。

できないながらに頑張っている店長であれば、わたしたちができることは協力してあげようという気持ちにもなれたし、過去にそういうこともあったのに、彼に対してはさっぱりそれを思うことができなかった。

わたしは神社参りなども好きなのだが、ツアーでお世話になるくれや萌絵さんにはよく「自分は何もしないで、都合の悪くなったときだけ助けてっていう人に、神さまが助けたいと思う?人も同じ、神さまも同じじゃないですかね」という問いかけをされるのだが、本当にそうだなと思う。

わたしは人の人生や背景を知ることが好きなのだが、いざというときに力を貸してもらえる人って、やっぱり普段から誠実な人なんじゃないかなと思う。みんなちゃんと、見ていないようで日頃の行いを見ているってことだ。日頃きちんと生きている人には、いざというときに救いの手が差し伸べられるわけで、それって人の感情として当然だと思うんだけど、なぜか普段ちゃんとしてない人ほど「自分には運がない」だの「あいつばっかりズルイ」だの言い出すんだよね。

運のいい人、人に恵まれている人は表に出さずとも誠実に生きていると思う。

こういう人に出会うたびに、他人にどう思われるかとか、助けてもらいたいとかいうことではなく、自分は自分に恥じないように、せめて自分は自分のタスクに誠実にまじめに生きて行こうと心を引き締める今日この頃だ。

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