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奇跡の朝ラーメン in 香川【アラフィフ女のソロ活ガイド】

奇跡的にうまいものに出会ってしまった。

その名も「朝らーめん」。

朝っぱらからラーメンなんか、人生で食べることがないと思っていた。

だがこのラーメンは朝食べるラーメンではなく「朝ラーメン」というの別の食べ物だった。

今日はこの奇跡的な体験についてお伝えしようと思う。


完全夜型人間で
朝が苦手なわたしだが、
旅行中はさすがに早起きする。

朝食やチェックアウトの時間などの都合もあるし、何より観光したい場所は日中に行かねば閉まってしまう。

ただし、テンションはかなり低い。
基本、もっと寝ていたいのに無理に起きているので
たとえホテルビュッフェでも、そこまでテンションが上がらないし、

朝ごはんなんか、正直あんまり興味ないけど
何も食べないとお腹がすくしな、って感じだ。

しかし今回は違った。

香川のゲストハウスに宿泊したときには素泊まりで、翌日の朝食をコンビニで買っておこうか、もしくは近所で朝ごはんを食べられるお店があるかどうかゲストハウスのご主人に聞いたのだが、そのときの返答が

「朝ラーメンか朝うどん、どっちがいいですか?」

だった。

何言ってんだこの人。と一瞬思った。おばさんの胃もたれを知らないのか。

とりあえず香川で、朝うどんはなんとなくわかる。

香川は「うどん県」というくらい讃岐うどんが有名だし、朝6時くらいからやっている製麺所のイートインみたいなうどん屋さんがあるようで、県民のソウルフードということでそれは納得がいく。

しかし、「朝ラーメン」てなんだ?

大食いで不摂生なわたしは、若いころは飲んだ夜のシメにラーメンをすすったものだが、さすがに今はそれもキツイお年頃。

夜のラーメンもキツイのに、朝いちばんにラーメンは無理だ。
下手な冗談でも言っているのかと思って「うどんです」と即答した。

だがその後、宿主催のバーベキューで同席させてもらった、同世代のひとり旅女性に、朝ラーメンの話を聞いたところ、これがとんでもなく美味しいらしい。

もしこの情報源が若者だったら、きっとわたしは朝ラーメンがイケるという話を信じなかっただろう。だが、この朝ラーメンを絶賛しているのは、大酒飲みの同世代女性だ。もう胃が食欲についてこないこのお年頃でも、美味しく食べられるラーメンらしい。

しかも朝6時~8時までしか食べられないらしく、朝8時を過ぎると朝ラーメンからちょっと別のメニューに変わってしまい、行くなら7時くらいに行かないとその朝ラーメンは食べられないそうだ。

さらに出汁は煮干しだしなのだが、その女性は、わたしと同じく煮干しだしがイマイチ苦手らしいのだが、煮干しの臭みが全くなく、本当にうまみのあるスープとのこと。

そこまで熱弁をふるわれると、ぜひ一度食べてみたくなる。


讃岐うどんなら、本場とまではいかなくとも、首都圏でそれなりのものは味わうことができるし、その前日に香川で有名なうどん屋さんでシコシコの麺を堪能したばかりだ。だがしかし、朝ラーメンは香川でもこの三豊市にしかない、知る人ぞ知る名店だそうだ。それならレアなほうを体験したいと思い、がぜん興味が沸いた。

しかも、朝うどんのお店は車で15分ほどかかるらしいが、朝ラーメンは徒歩圏で、車なら5分とかからないらしい。朝に弱く面倒くさがりなわたしは、この最後の一押しで朝ラーメンに行くことにした。

朝ラーメンを紹介してくれた女性も、翌朝食べに行くとのことで、一緒に行きませんかと誘ってくれた。そりゃあ行ったことのある人が一緒に行ってくれたら心強い。翌朝7時に出発することにした。

翌朝は雨だったので、徒歩よりも車のほうが良いだろうと、レンタカーで来ているわたしは、誘ってくれた彼女を車に乗せて朝ラーメンに向かった。3分ほどですぐに着いたが、そこには驚きの光景があった。朝だというのにラーメン屋に行列ができている。車もじゃんじゃん来る。どうなってるんだここは。

前に5人くらい並んでいたので、その後ろについた。勝手に、観光客の行列を想像していたが、実際に並んでいるのは明らかにこれから仕事の現場に行くようなガテン系の男性数人だった。お店の中は8席しかないらしく、しかもご主人ひとりで店を切り盛りしているため、どうしても列ができてしまうらしい。ただし、食べたらすぐに帰るので回転が速いため、さほど待たないだろうとのことだった。

待つのが嫌いだが、この程度なら待てる。そして、地元のおにいちゃんが仕事前に並んでまで食べる朝ラーメンをどうしても食べたくなった。

順番が呼ばれて店内に入る。入った瞬間にフワっと煮干しの香りがしたが、嫌味な香りではない。店内は確かに狭い。ラジオが流れ、店内は昭和の雰囲気だ。


先に入った仕事前の朝ラーメン兄ちゃんに、大将が「これから仕事かい?連休なのに大変だな、頑張れよ」なんて声をかけている。間違いない、この店のドアはどこでもドアで、入った先は古き良き昭和だ。

ラーメンに話を戻そう。

朝8時まで、メニューは「煮干しらーめん」しかない。ただし、麺は平打ちか細麺か選べるらしく、入店後すぐに麺の種類を聞かれた。同行した女性はすでに平打ち麵を経験済みだったので細麺にするらしい。迷ったが、食べている人の麺を見て、平打ちのほうが味が絡みそうなので平打ち麵を頼んだ。

座って5分程度で出てきた煮干しラーメンは、驚くほど澄んだ黄金色のスープ。伊吹島という近くの島で特産の煮干しを使っているようだ。丁寧にした処理をしているのだろう、煮干しの臭みゼロ、ふわぁっと上る優しい出汁の香りは、朝にふさわしい。具はシンプルに半熟卵(2分の1個)、油揚げ、ねぎ、のり、とシンプルだ。もちろんチャーシューは乗ってない。

見た瞬間に美味しいのが分かってしまう。

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食べ物の写真は、ほとんどの場合、おいしそうに見えるフィルターをかけるのだが、この写真に関してはフィルタをかけない方が美味しそうに見えることに気づいた。やばいなほんと。


さっそくいただく。
スープは多少鶏の香りがする油も感じるが、とにかく優しくてアッサリだ。スープを一口飲むと、のどを通って、じんわり身体の中を温めていく。カピカピの身体に入るこのスープは、まさに「五臓六腑に沁みわたる」のだ。


平打ち麵は、たとえていうなら会津の喜多方ラーメンの麺に近い。ちゅるちゅるっとのどごしが良く、食べやすい。


ラーメンかうどんかと言われたら、確実にラーメンなのだが、「ラーメン」と言われてわたしたちが想像するものとはほど遠い。こってり感ゼロだが、都会のアッサリ系のようにこじゃれた感じもない。お吸い物をラーメン風にした感じ?なかなか表現が難しいくらい、絶妙なバランスに仕上がったお味だった。スープを残すのがもったいなくて、最後の最後までスープを飲み干した。


食べ始めてから食べ終わるまで「んまい」と何度言っただろう。一口食べるたびに「んまい」とつぶやきながら味わって食べた。まさにドラマの「ソロ活女子のすすめ」のように、誰かとのおしゃべりを楽しむのでなく、ひたすらラーメンと対峙して味わう時間。贅沢だ。


さてこのレアな朝ラーメン、なんと500円。ワンコインで食べられる。そして水曜日だけは煮干しラーメン以外のスペシャルメニューがあるらしい。朝8時を過ぎると「煮干しラーメン」の代わりに「中華そば」が登場し、お値段は700円になるらしい。こちらは朝の11時までやっているらしい。


かくして朝ラーメンをおいしくいただいた後、店を出て駐車場に向かうと、同じような名前のラーメン屋があった。まだ開店はしていない。同行の女性に聞くと、この朝ラーメンをやっている大将が、11時くらいになるとこちらの昼ラーメン用の店に来て、昼ラーメンを提供するらしい。同じところでやればいいのに、と思わなくもないが、そこらへんは店主の思いがあるのだろう。


しかもこの大将は、うどん屋としても有名だったらしいのだが、あえてのラーメン屋をオープンし、人気を博したらしい。店内には芸能人のサインがたくさん飾ってあった。


しかしいい経験をさせてもらった。ひとりでは絶対にたどり着けなかった美味しさ。自分でガイドブックを見ただけでは、どんなに口コミが良くても朝っぱらからラーメンを食べようとは思わなかっただろう。たまたまその場で会った人とコミュニケーションを取り、そこで教えてもらった情報をつたって、とびきりの体験ができたときの喜びはひとしおだ。


やはりわたしはこういう旅が好きだ。できあがった人間関係の外に、世間の外に、旅先でいままで他人だった人同士がふと触れ合う瞬間。そこから広がる世界。旅先で見るものや食べるものにももちろん刺激を受けるが、やはり一番楽しいのはこういったコミュニケーションだ。


昔は日本にこのようなゲストハウスがあまりなく、海外でのバッグパック旅行を楽しみにしていたのだが、時代は変わり、外国人がたくさん訪れるようになったこともあるせいか、日本でも人好きな主人が経営する気楽で安くて楽し気なゲストハウスが増えたようだ。日本でひとり旅というと、誰とも話さずポツンと旅館の部屋でテレビを見ているイメージだったが、これなら国内でたくさんひとり旅ができそうだ。


香川を訪れることがあれば、うどんだけでなく、ぜひこの「朝ラーメン」も体験してみてほしい。


朝ラーメンのお店は「はまんど」


​はまんどの朝ラーメンに関しては
こちらのサイトに詳しく書かれているので、行かれる方は要チェック!


今日もお読みいただきありがとうございました!

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