情報が正しいかの判断は読み手に委ねられる時代の「情報リテラシー」
先月起きたスープストックの「非実在型炎上」。
発端はごく一部の超少数派の極端な意見だったみたい。
様々な組織、企業、個人の目的により、過激な発言を追いかけてわざと着火させたり、面白おかしく拡散したり、その過程で議論がすり替えられることがある。
PV数や視聴率を優先する一部のマスメディアやミディメディアに取り上げられることで、本来関心がなかった人の多くが知り、まるで世論が動いているような騒動となった。
ふと「日本人は70%が新聞の情報を信頼する"メディアを信じやすい国民"である*」(*アメリカのメディア信頼度は20%、イギリスは10%)と大学の授業で聞いたことを思い出す。20年前のこと。今も変わっていない模様。
さらに、イーロンマスク氏が「日本でのツイッター利用率の高さを理想的な姿であると指摘したうえで、「例外なくすべての国で日本の使われ方を目指すべきだ」と強調した」というニュースを思い出す。
企業の利益追求で、仮にモラルや倫理観などと反対方向に進んでいても益々匿名アカウントなどの盛り上がりは収まるどころか加速する可能性が高いと感じた。
そして、昨年末にリリースされてから急速に普及するChatGPTなどの生成AI。
誤情報がそこそこ含まれている。
これにより故意でなくともフェイクニュースや誤った情報がSNSや分散型メディアなどに乗っかって拡大するのは不可避みたいだ。
この「マスコミ信じやすい」×「誤情報が回りやすい」×「匿名投稿増える(過激な発言や攻撃性が強まる)」という3点セットの世の中において、
大人でも日々論争が起きているのに、
子どもをどう情報関連のトラブルから守るかは
「情報リテラシー(あるいは、ネットリテラシーやメディアリテラシー)」をしっかり考えて伝えていくに尽きると頭が落ち着いた。
まだ理解は難しいと分かりながら、子どもに伝えはじめたこと
伝えていること:主に「情報の解釈」と「情報発信」の2点
「幼稚園のみんなが言ってるよ」という娘に「みんなって誰のこと?何人くらいかな?」と会話を続けたり、「Youtubeですごく楽しいオモチャだって言ってたよ」に対して、広告の説明をして一応そのオモチャは購入した上で現実を知ってもらったり、
危機一髪、紙一重で崖ぶつかってしまうような山から飛び降りるリールで「これは本当は危ないよ。合成や加工をしていることもあるよ」と日常的に捉え方を伝えている。
(こういうので、善悪とか倫理観が磨かれずにアルバイト先の冷蔵庫でふざけた動画をあげたり、おでんを突っつく動画が上がったり、回転寿司屋で非常識な動画をアップするなどが起きている可能性もあると思っている。
誰かがネットとの付き合い方を教えてあげれば、もしかしたら未成年のうちから不名誉に新聞に載らなくて済んだかもしれないと思うと、胸がキュッとなる。他方自分の子どもだって危険性と隣り合わせだと思うと他人事とは思えない。)
危惧した背景にあるスープストックの「非実在型炎上」とChatGPTの出現
先月のスープストックが発表した離乳食プランに端を欲した騒動。
発表直後は好意的なツイートがほとんど且つ少なかったにもかかわらず、
その後「極端なごく一部の声」から、テレビやYahooニュースなどのマスメディアに波及し全国皆が知るニュースへと展開した。
起きたことや広まり方については徳力さんの記事にて!
ちょっと引用しますね!
元は全く大きな声ではなかったんですね。
スープストックが離乳食の全店提供開始をツイートした時は、歓迎ツイートが多く、当日のツイートは90件ほどだったそうです。
一部の特異な声を「炎上」を取り上げる(あるいは、作り上げるSNSアカウントを含めたメディアが取り上げ)、それを一部の「マスメディア」あるいは「ミディメディア」「新興メディア」が取り上げる。
先進国で最もマスコミを信じやすい日本人(日本70%,米20%、英10%)
この一部の声をマスメディアが拾い上げてしまうと、子どもだけでなく大人も規模や影響範囲、本質的な話がわからなくなり錯覚してしまう可能性が高い。
私も個人に最適化されているYahooニュースが、世の中の声と勘違いしそうなほど偏っていて見過ぎないようにする時がある。知人のトップページに表示されるニュースとの大きな違いに驚き声を上げてしまった。
SNS普及により、SNSとメディアが怒りを増幅しあう
マスメディアだけでなく、分散型メディア、転載型メディア、フェイクニュースとが入り混じり広がると、前述の「メディアを信じやすい日本人」の特性と合わさって、さも世論が大きく揺れているように「錯覚」していく。
一部の声が騒動を引き起こすことは下記光文社新書のページと、現代ビジネスの記事にも記載の通り。
◯◯狩や、プロレスラーの木村花さんの死去など、実は本当にごく一部の姿や顔を明かさず執拗に否定的なコメントが、上記理由で広がり、情報を信じやすい日本人の特徴によるものと考えている。
ChatGPTが掛け合わさると、炎上的な騒動は一層強まる
ChatGPTは便利なので仕事でも使っている!便利!
ただ、必ずしも正確ではない。その精度について確かめたい人は、知らないことではなく自分が精通していることについて何度か質問してみてもらうと納得感があるはず。
例えば、先日国土地理院が「国土地理院が維持管理する電子国土基本図を用いて、我が国の島を一定の条件のもと数えた結果、14,125島となりました。」として、これまでの6,852島から倍増したことがニュースになっていた。
数ヶ月経った今ChatGPTに質問すると間違えていた。
他にも、直近の動向について質問すると「私は2022年1月までの情報しか持ち合わせていませんので…」と回答されたりするので、最先端感満載のChatGPTは最新情報やネット上に情報が少ない正確データをキャッチするのは苦手なご様子。
広報領域で仕事をしている私の仕事へのChatGPT活用というノートを先日書いた中にも、「あくまでアタリをつける」とか「記事URLを探す」といった情報収集量を上げる手伝いをする程度の使い方で何パターンか記載しました。
https://note.com/yukafujimura/n/n03dcd22c2cf4
ChatGPTも人と同様に得意・不得意があるので、ChatGPTの得意なことを任せたいから。
情報を鵜呑みにしないために、考え直したり、調べ直す習慣づけ
普段ニュースやデータを見るときに、意識しているのはデータの出元とグラフなどの対象期間をもっと広げて出典元データ全体を見にいくこと。
「解釈」の部分は自分で考え直すこと。
「言葉、特にタイトル、短い文章の情報だけで判断しない」
例えば「コロナ/過去最大/2022年」と検索すると、色々な月でニュースが出てきます。常に過去最大のニュースが出てきます(笑)
・今年の感染者数、過去最大
・昨年同月比の死者数、過去最大
・オミクロン株の感染者数、過去最大
・新潟県での死者数、過去最大
・60歳以降の感染者数、過去最大 などなど
広報の仕事で、企業の情報をニュースにして取り上げていただくときに大事な観点として「IMPAKT(インパクト)」があり、
特にこの「最上級表現(Most)」がニュースになりやすい。
だからこのような見出しがつくこと自体は理解しているのですが、うっかりすると「ひどい時代になったもんだ」と誤解するほど煽られる可能性があるので気をつけてます。
Most表現は、めちゃアンテナを張って注視しているので家でもテレビの情報番組にツッコミを入れまくっています。
「花粉症の今年の飛散量は昨対xx倍」みたいな見出し、
この情報だけを見ると花粉症歴20年の私はもう花粉症であの世にいっていそうですが、株価のように上下する中でいい感じに切り取られている。
ー過去3年で最大
ー昨対同月比で最大
コロナの時なんかは
ー月曜日の数字としては過去最大の感染者
というのがあって家で一人で爆笑していた。
そこまでMost表現してニュースにしなくても良いのになと思う。IMPAKTはニュースにしやすい。
ということで、
情報発信の傾向や日本人の傾向、SNSの特徴、それにまつわるメリットやデメリットについて大人が子どもに伝えるのは必須だと思うので、
日頃から意識しておきたいのと同時に、
広報マンとしては「巻き込み炎上リスク」についての知識もしっかりつけながら過ごしたいと色々考えるのでした。
これからの時代は今以上に情報リテラシーを上げることが大切。
大人がそれを理解し、子どもに伝え一緒に学び考える必要がある。
悪意のあるニュースはリツイートしない、拡げない、そういった炎上ネタ・ガセネタ系企業が儲かることに加担しない言動も重要なんだろうなと感じています。
あらためてメディアリテラシーについて共感してくださる方、身近なお子さんたちに伝えてくださったりスキしてもらえたら嬉しいです♪
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