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可愛いと思える瞬間を見つけたかった。だから私はselfieを撮り続けた。


「私は可愛くない」


顔は大きいし
鼻は大きくて丸いし
面長だし

言い出したらキリがないけれど
自分に自信があったことなんて一度もありません。


小学校高学年の頃から眼鏡っ子で陰キャだった私は
お洒落とは程遠い存在で
更に言うなら田舎だし友達少ないし
流行りにも疎くて
自分がモサいことにも気づきませんでした。

学生時代の写真はほぼ黒歴史ですね。
思い出したくない記憶・・・


そんな私がセルフポートレートに出会ったのは
専門学校に入ったばかりの頃でした。

私が入った学校は音楽に特化しており
私は舞台音響をやりたくて
音響と映像を学ぶ学科に入学をしたのです。

(これは余談ですが
高校の頃に憧れていた先輩がいたから
そこにしたという安直な理由もあったりします。)


でもセルフポートレートって写真だよね?
なんで出会うのって思いましたよね。


実は私、その専門学校の体験入学で
すっかりカメラに目覚めてしまったのです。

体験入学でビデオカメラを使った
撮影体験をした時のこと。


その時に撮らせていただいたのは
アーティスト学科の現役学生さんたちの
模擬演奏でした。

キラキラと輝く舞台で演奏するアーティストさんが
とてもかっこよくて
「ここでアップにしたら映えるな」とか
「ここはライトが綺麗だから引きが良いかな」とか
そんなふうに自分の思うままに撮影をします。

その時ふと思ったのです。

ライブに行った時に誰もが思うであろう

「あの時の表情を近くで見たかった」とか
「もう一度あの感動を味わいたいな」とか

そういうライブの熱量やアーティストの表情を
余すところなく撮影して記録するカメラマンは
とてもやりがいのある仕事だろうなと。


カメラだからこそ残せる瞬間がある。
残したい瞬間があるから撮影する。
自分や誰かの目となり心となり
記憶の分身となってくれるのが
カメラなんだ。


それから私は私生活でも
すっかりカメラに魅せられて
ついに自分でミラーレス一眼を購入したのが
専門学校1年生の頃。

人生初めてのカメラは
OLYMPUSのOM-Dを選びました。

カメラにお詳しい方ならお分かりでしょうが
フォルムがTHEカメラという形をしていて
すごく可愛いんですよね。

この時は機能云々よりも可愛さ重視でした。
我ながら安直すぎる。

とても愛着を持っていましたし
ミラーレスは持ち運びが楽ちんなので
どこに行くにも持ち歩いていた気がします。

スマホを持ち始めてからは
SNSでも写真を投稿するようになり
そこでカメラ仲間もできました。

そんな時にSNSで見かけたのが
セルフポートレートだったのです。

セルフポートレートの写真の撮り方は様々で
風景に溶け込むように佇んだり
後ろ姿や部分ショットだけだったり
様々な形で自分を撮影するスタイルが
とてもお洒落でかっこよくて
何より綺麗でした。

写真だからこそ写せる一瞬の綺麗さ。

それがとても魅力的で
軽い気持ちで撮り始めたのが始まりでした。


人生で初めてのセルフィー

写真を見てお分かりの通り
この頃はカメラ2台目のCanon EOS kissを
使っています。


確か二十歳の頃だったと思います。

自分のことを撮影しているなんて
友人にも家族にも言うのが気恥ずかしかったので
こっそりクローゼットの鏡越しに撮ったのが始まりでした。

最初は恥ずかしくて顔を完全に隠していましたが
徐々にモノクロなどで加工して顔を出した写真を撮り始めます。


モノクロで撮り始めた頃


最初にも書きましたが
私は長くて丸い鼻が好きではありませんでした。

でもこの写真を撮ったときに
横顔だと気にならないし
なんならちょっと鼻が高いんだなと
少し嬉しくなったのです。


徐々に顔を出すようになった頃


私は唯一好きな部分があります。
それは丸くて二重の瞳です。

周りから褒めてもらうこともあるくらい
目だけは謎の自信がありました。

(年を取るごとに目元に小シワが増えて
大変ではあるのですがね・・・)


目は口ほどに物を言うとはよく言ったもので
セルフィーを撮るにあたって
雰囲気を作り上げる要となるのが瞳でした。
ここだけは私の武器であるなと自負しています。


家のクローゼットの前での写真


正直SNSで有名な
セルフポートレーターさんに比べたら
クオリティーはとっても低いです。

それでも撮り続けているうちに
自分の容姿が嫌いではなくなっていたのです。

それが撮り続ける理由でした。


昨年の2月頃
昨年の2 月頃


そして何より自分自身が垢抜ける
きっかけともなりました。

出来上がった写真は
どれも納得した一枚ではあるのですが
実はそれまでに
何枚も何枚も取り直しているのです。

50枚近く撮って5.6枚くらいしか
納得のいく写真にならなかったこともあります。

それらは全て自分が「可愛くない」と感じるから。

いつもカメラのモニターと睨めっこしながら
どこが可愛くないんだろうと
顔の角度を調整していきます。

そうやって自分の欠点を
明確に理解するようになったのです。

おかげさまでメイクを勉強するようになったし
顔のマッサージもするようになったし
ダイエットをするようになったし
面長を隠すためのメガネも卒業しました。



「私は可愛くない」

自信をなくして落ち込んでばかりで
現状を変える術もわからなかった
いや、変えようとしていなかった私。

セルフポートレートを撮ることで
自分の好きなところをもっと好きになったし
自分の嫌いなところを
見つめ直すこともできました。

それは今の自分をありのままに写し
一瞬を捉える写真にしかできない
不思議な魔法だと私は思うのです。

今は自信を持って写真に写れるようになったか
と言われると未だにそうではないのですが
少なからず自信を持てるようになりました。

自己肯定感低めな私なので
きっと満足することはないのかもしれません。

だからこそこれからも
自分の好きなところを
どんどん増やしていきたいと
そう思います。

死ぬまで自分を嫌いでいたくないですから。


こうやって綴った文章や写真が
誰かのきっかけになれたなら嬉しいです。

一緒に自分をほんの少し好きになりましょう。


由佳

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