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【絵本紹介】2024年はたつ年~たつ・りゅうの絵本特集~


十二支の中で唯一「想像上の生き物」である竜。
干支では「辰」という漢字が使われるようですが、一般的に生き物を表すときは「龍」「竜」の方が多いですね。


昨年の「うさぎ」にくらべると、かわいらしさという点ではがくんと落ちますが(失礼!)、なんといっても縁起のよさやパワーはピカ一。
昔話でも、「龍神さま」は人々の信仰を集めていますし、現代でもそのチカラを信じる人たちはたくさんいます。


今回は、そんな「龍」にまつわる絵本をご紹介します。




■まゆとりゅう(富安陽子 作  降矢なな 絵  福音館書店)


あるつめたい春のあさ。
目をさますと、やまんばのかあさんが「きょうはおきゃくさんがやってくるよ」とおしえてくれました。
まゆとやまんばのかあさんは、おきゃくさまのために、やまもものお酒のはいったたるを、ごろごろころがして山のてっぺんにはこびます。
そのとき、ドンゴロンと音がしてやってきたのは……。


「やまんばのむすめ まゆのおはなし」のシリーズ2冊目の絵本です。
相変わらずかわいくて、力持ちで、りゅうもおそれないまゆのふるまいに、子どもたちもややあっけにとられながら話を聞いていました。


来年は辰年だから龍の絵本を、と思って2学期末に読みましたが、内容としては早春のお話です。
「たつ」にこだわらなければ、季節感重視で春先に読んだほうがいいかもしれませんね(^^;)





■りゅうのめのなみだ(浜田 広介  文  いわさきちひろ 絵  偕成社)


みなみのほうのくにでは、山のどこかに大きなりゅうがかくれていると、昔から言われていました。
こどもらはみんな、りゅうをおそれていました。
それなのにどこかのまちにいる、ふしぎなこどもは、りゅうをこわがりません。
それどころか、自分のおたんじょう日のおいわいに、りゅうをよんでほしいと言って、おかあさんにおこられてしまいます。
こどもはひとりで、山のりゅうに会おうと、一人で歩きだしました……。


巻末に「1925年に作者はこれを書きましたが、こんど絵本にするについて、文章をつづりなおして、もとの長い作品を適度の量にちぢめました。」と書かれているように、初出は100年ほど前になるようです。


文章はちょっと時代を感じるものですが、それがまた「ふしぎなこども」の純粋さをよりはっきりと伝えているような気がします。
大人やほかの子どもがなんといおうと、りゅうのことを心配をしている姿、「ぼくはおまえさんをにくみはしない。いじめはしない。もしもだれかが、かかってきたら、いつだって、かばってあげる」という言葉が、まっすぐに私たちの心に入ってくるようです。


いわさきちひろさんの絵が、また効果満点な気がします。


ロングセラーを通り越して「古典」というイメージですが、今の時代の子にも響くものがあるはず!




■ほしになったりゅうのきば(君島久子 再話  赤羽末吉 絵  福音館書店)


むかしむかし、二ひきのりゅうがあらそって、天がやぶれてしまった。
人びとは、山のほらあなににげこんだまま、そとにでることもできず、「さむい!はらがへった!」とこまっていた。
サン(えいゆう)という名前のわかものが、天をつくろうために出かけることになり……。


夜空の星、天の川にまつわる中国の民話です。
なんとも壮大なお話で、赤羽末吉さんの絵と相まって、軍記物語を読んでいるような気持ちになります。スケールが大きいんですよね。


かなり長いので、一回の読み聞かせでは、読み切るのが難しいかもしれません。
「龍のお話」「星や天の川のお話」として、子どもたちに紹介できたらいいなと思います。




■さらわれたりゅう(今昔物語より 沼野正子 作  福音館書店)


むかしむかしあるところに、たいそう大きな池があって、そのそこふかく りゅうがすんでいました。
ひでりがつづく夏になると、むらびとたちはりゅうじんさまに雨ごいをするのが、いわやまにすむてんぐにはおもしろくありません。
がまんができなくなったてんぐは、とんびにばけて、りゅうをさらっていくのですが……。


出典は「今昔物語」というのですからこれは昔話も昔話。
時代背景としてはざっくり言って、今年の大河ドラマ「光る君へ」の頃ではありませんか……!!


面白いのは、りゅうもてんぐも、何かに姿を変えて化けるということ。
これではまるできつねとたぬき。いえ、神話では神さまもなにかに姿を変えたりしていたのですから、昔の人たちは、偉大なものは姿を変えると信じていたのかもしれませんね。





■小さなサンと天の竜(チェン・ジャンホン 作  平岡敦 訳  徳間書店)

むかしむかし、三つの高い山にかこまれた谷間に、小さな村がありました。
ある夏の夜、がけがくずれて、村の畑は岩や泥にうまってしまいました。
もう村に住めなくなった村人たちは、そこをはなれることにしましたが、一軒だけのこったかぞくがありました。
子どものサンは、おとうさんとおかあさんが毎日毎日、山をこえて畑にいく苦労を目にして
「ぼくが山をうごかしてみせる!」
と言います。
そして、ほんとうにつるはしを手にし、岩をくだき、北のむらはずれに運び続けます……。


私には『ウェン王子とトラ』の印象が強い、チェン・ジャンホンの絵本です。
表紙を見ての通り、この絵本も絵力がすごい。
絵とストーリーで、すっかり絵本の世界にひき込まれてしまいます。


「あきらめない」「信じる」「愛」……読み手にいろんなキーワードを与えてくれます。





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