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「半額」シールを見つけることは、父との遊びだった。

週に2-3回はスーパーで買い物をします。ご飯をつくることは好きなので、何を作ろうかなと色々考えながら、あれこれ買う時間が好きです。

スーパーに行くと、今でも反応してしまうのが、「半額」シール。
半額シールが貼ってある商品を見ると、ついつい覗いてしまいます。

通常価格よりお得に買えるという魅力もあるのですが、幼い頃に父と買い物を行った時の思い出を覚えているんだろうなと思います。


赤いシールを探せゲーム

私の家族は共働きだったので、ご飯はみんなでつくっていました。母が買い物の時もあれば、父が買い物の時もありました。

私は母との買い物より、実は父との買い物が好きでした。

理由は、好きなお菓子を1つ必ず買ってくれる(父は今でも私に甘いです)ことと、「半額」シールを見つける遊びをよく提案してくれていたからです。

スーパーに着くと、

「ゆかがこの商品を買えばお父さんお母さんが喜ぶだろうな、と思うもので、赤いシールがついているもの選んできて!」

と父から任命されて、私は広いスーパーの海原へ飛び出します。

自分で見て選ぶ経験

保育園の私からすると、スーパーはとっても広い公園みたいな感じです。
キョロキョロと辺りを見渡しながら、お父さんとお母さんは何が喜ぶかなあと、喜びそうなものを探します。

あ、これお父さんが好きなものだ。
これ私が食べたいなあ。
これよくわからないけど、美味しそうだな。

色々なことを考えながら、自分の思う「良いもの」で赤いシールがついているものを選んで父の元へ。

とにかく褒めてくれた父

父のもとに戻った私。
お魚、お肉、おかず、野菜ときには使用期限が近いシャンプーまで、とにかく自分が良さそうだと思ったものは父の元へ持って行った。

自分が一生懸命選んできた商品を見て、

「いいねいいね!」
「これ、お母さんに調理してもらおうか」
「ゆかは、見つけるのが上手だねえ」
「今日もゆかはいっぱい食品をレスキューしたね!」

ととにかくよく褒めてくれていました。
それが当時は嬉しくて嬉しくて、たくさんたくさん赤いシールが付いたシールを父の元へ持って行って、少し困らせてしまったこともありました。

この時の経験から「赤いシール」は私にとって特別なシールになっていきました。

大人になってみて

大人になってみてあの頃のことを思い返すと、生きる知恵を教えてもらったなあと思います。

半額シールが貼っているものなんて….と思う方も中にはいらっしゃると思います。少し痛んでしまった野菜とか、もう賞味期限が間近なものとか、「捨てられる」可能性のあるものたちです。

わざわざそんなもの買わなくても、綺麗なものとか新品のものを買ってもいいじゃん、という考えも悪くないと思います。

一方で、私は半額シールは生きる知恵が詰まっているとも思うんです。

私が初めて一人暮らしをする時に、自分でどうやりくりしながら生活していくかを考えたら、食費はうまく節約できるという発想が、私にはありました。

買い物をする私の姿を見る人に、「買い物上手だねえ」と言われるのですがきっと父のおかげだと思います。

あと、父からは、「半額シールは食品たちのレスキューの声だ!」と言っているのを聞いていたので、恥ずかしい、とかそういう感情は全くなく、自分は食品をレスキューしているんだ!という価値観が育ったのも大きいかもしれません。

もう25年も前の話にはなりますが、父との買い物はよく覚えています。
そして、25年経った今でも、私はレスキューを積極的にしています。

幼少期の頃みたいに、なんでもは手に取らないけれど。

今日も、スーパーの大海原へ!


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