#7 叶った先にあったもの
チーズケーキ一個分のホッ。
ずいぶんと時間が空いてしまったように思うが、何を隠そう、転居の夢を叶えたのだ。
はじめての一人暮らし。
あれだけ切望していたにも関わらず、金銭的な不安に駆られて、実際に移動する半月前は心ここにあらずな状態であった。
当初の希望価格からはいくぶんと高い住処になってしまった。条件はただひとつ「海が見える」だけで良いと信じ込んでいたが(笑)、近辺の治安が気になるということで、結局は家から海も見えないところへ。笑
こだわりが強い分、辛い部分はあった。
その条件がなければ意味なくない?辞めた方がよくない?というゼロヒャク思考にはやはり振り回されがちだ。自分だけでなく周りも巻き込みそうになるが、そこはグッとこらえる。
本当に自分で納得して選んだのかといえば、なりゆきな気がする。もう時間もないし......相手に悪いしなと。こういう性格が、人生のさまざまな部分で足かせになっていそうだ。
切に希望したものの見られなかった物件も多々あったが、もちろん目にした中ではここがベストであった。そして、何がなんでも早く実家を出たかったし。
あ、夢を壊すようなことを書いたが
実際に移動してみたところ、ホッとした。
誰にも邪魔されない守られた空間があること。
繊細ですぐ周りの影響を受けやすい自分だが、
ここでは自己の価値観の輪郭をくっきりと描いていけるのではないか......。
そんな予感がした。それが一人の時間が大切な理由。一人の空間が必要なわけ。
ガス水道電気が通ること。点灯式(大げさ)の儀式を通過すると、非常にありがたみを感じる。
光が入りやすくあたたかい。そして何より電波が通じることがありがたいこと。
いやーありがたやーー。
日頃のストレスが4割ほど減ったと言っても過言ではない。電波は仕事に直結しちゃうから。
あと4ヶ月走りきりたくて、環境を整えるためにもここにやってきた。
自立したい!その一心で、この働き方にシフトしてひたすら走ってきたが、
やはり自立は難しいという壁にぶちあたっている。自分と自立の間に<<<<何枚も隔たりがある気がしてならない。
そして世間の人々は何の苦労もなしに、
なんだかんだ言いながら、当たり前のように月々の収支バランスをとり、適度に仕事とプライベートも充実させて、結婚や出産あるいは独身貴族謳歌など、次のステージへと進んでいっているように見える。
思い込みで作った偶像かもしれない......
いやきっとそうに違いないが
遠くて眩しいのだ、その背中たちが。
ひとりで住むからなお、ひとりで抱えてはならん。もちろん、特性があるので福祉サービスの利用を見越しての引越しであったが。
自立とは、きっと収入を増やすだけのことではないと少しふにおちた。
自立とは依存先を増やすこと
いまは、やけにこの言葉が心に染みる。
また狭く深い依存になってはいないだろうか。
自分で自分を狭めないで。
見せたい弱さ見せたいな 見せたくないないなぁ 見せようか本当の私を もうちょっとかくれんぼ
かくれんぼしてる場合じゃないでっせ。
頼り上手は自立への道につながるよ。
そう言い聞かせて、店の扉をギギーっと開けた。
*エッセイは投げ銭制です*ありがたく音楽活動に使わせていただきます!そして、(状況が落ち着いたら)チーズケーキをいただきながら、丁寧に言葉を紡いでいきます♪