見出し画像

【前編】アウトサイダー・アートフェア2021

今年もアウトサイダー・アートフェアが開催されました。

アウトサイダー・アートフェア(Outsider Art Fair)とは、毎年1月にニューヨーク、10月にパリで開催されている「アウトサイダー・アート」と呼ばれるアート作品が一堂に販売される国際的なアートフェアのこと。

会場には世界中から集まった出展者がブースを構え、一押しのアーティストの作品を出展する。今回は2018年1月にニューヨーク、10月にパリの会場を訪れた記憶を交えながら、今年のアートフェアについて紹介したいと思います。

アートフェアってなに?

そもそも、アートフェアとはどんな催しなのか。
美術館・アート情報のWebマガジン、artscape(アートスケープ)のアートワードで検索すると、このように書かれています。

アートフェア(Art Fair)
さまざまなアート・ギャラリーが一同に集まり、作品を展示販売する催し。基本的にはアート作品の売買を目的としているが、アーティストにとっては新作発表の場、コレクターやギャラリストにとってはアート市場の動向を探る情報交換の場、一般客にとっては新しい作品の鑑賞の場として、多角的な側面をもっている。アートフェアはその国のアート市場の活性化や自国のアートを内外にアピールするだけでなく、他国の美術関係者とのコネクションを繋ぐ絶好の機会でもある。

世界中にさまざまなアートフェアがありますが、ニューヨークを代表するフェアには、毎年3月に開かれるアーモリー・ショー(The Armory Show)という大型のアートフェアがあります。
ニューヨークでは、この時期にあわせて市内で複数のフェアが同時開催され、アートウィークとして賑わうんだとか。

アウトサイダー・アートフェアとは

アウトサイダー・アートフェアは、1993年にサンフォード・L・スミス協会によって設立・運営され、チェルシー地区にあるメトロポリタンパビリオン(Metropolitan Pavilion)で初開催されたのが始まりだそう。

当時、25人の出展者で始まったイベントが、今では世界各都市から70近いギャラリーが出展しているというから驚く。その後、2013年からはソーホー地区にあるAndrew Edlin Galleryが企画・運営を引き継いでいます。

ちなみに、先に紹介したアーモリー・ショーは1913年から続いていることから、アウトサイダー・アートフェアは比較的、新しいアートフェアという位置付けだと思います。

2018年にニューヨークの会場で感じたこと

画像1

2018年1月の会場では、アートを専門的に扱うギャラリーだけでなく、障害者支援施設が運営するギャラリーも参加していました。
ニューヨーク市内を拠点に活動するPure Vision ArtsLAND Gallery、オークランドにあるCreative Growth Art Centerなどです。

近くにあるホテルと連携した特別展示やイベントも開催されていて、とても洗練された印象を受けたのを覚えています。

画像2

画像3

画像4


当時の私が行ったことがあるアートフェアといえば、毎年3月に東京国際フォーラムで開催されているアートフェア東京
初めて足を運んだとき、美大生だった私は、スーツをカチッと着たアート関係者やギャラリストが集うビジネスの雰囲気にただただ圧倒。当時はまさか自分がアート作品を購入できると思っていないので、びくびくしながらブースを一周。会場を出たあとにほっと深呼吸、とひどく緊張感を感じて帰った記憶があります...。

アートフェアに対して、そんな印象を抱いていた私は、まず会場の雰囲気の違いに驚きました。

画像5

画像6

画像7

アウトサイダー・アートフェアの会場で感じたのは、良い意味で肩に力が入っていないというか、どこか自然体でリラックスした雰囲気。
(犬を連れて歩いている人も...!)

スマホでビデオ通話をしながら、「どの作品がリビングに合うかしら」と、家族と確認しながら会場を見てまわる女性。小さな子どもを抱きながらブースを歩く人。印象的だったのは、家族と一緒にお気に入りの作品を探している光景をたくさん目にしたことでした。

画像10

画像8

おもしろいなと思ったのは、作品を家に迎えるということ、気に入った作品と一緒に暮らしたい、という感覚が人々の前提にあるということ。

インテリアとして家のリビングに飾る。パートナーへのプレゼントに贈る。

日本と比べて、作品を購入することへのハードルが低く、もっとファッション感覚に近いというか、ライフスタイルを豊かにする一つの楽しみかたとして自然に根付いている印象を受けました。

画像9


会場に出展されている作品も本当にさまざまで、数百ドルで購入できる作品から、目が飛び出る価格で販売されている著名アーティストまで幅広い。

家族やカップルが手に取る作品から、コレクターの手に渡る作品まで、この多様性こそ、アウトサイダー・アートフェアの面白さなのだと感じました。

同時に、二ューヨーク近代美術館(MoMA)や、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum)、アメリカンフォークアートミュージアム(American Folk Art Museum)など、ニューヨーク市内の有名な美術館にコレクションされているアーティストも出展。
アウトサイダー・アートの分野のみならず、アートマーケットや美術史との関連性もあって、アートファンに広く開かれた場なのだと感じました。

画像11

続いて、パリの会場で感じたことを交えながら、今年のアートフェアについて書きたいと思います✍️


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?