[第1部 被災](7)
初顔合わせ
お盆休みに入った日の夕方、家のベランダの水槽で日なたぼっこをしているカメに餌をやっていると、部屋の向こうの呼び鈴が鳴るのが聞こえた。玄関をあけると、マンションの管理人が立っていて、僕に「来期の理事会のメンバーになってほしい」と告げた。入居3年目でちょうど順番がまわってきたのだ。
僕は断わろうと思った。平常時ならともかく、この時期に理事になるということはマンションの復興問題にいやがおうでも取り組まざるを得なくなる。自分の住むマンションの問題は勿論、自分自身の問題で