布施祐仁

Journalist(Freelance)

布施祐仁

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最近の記事

浮島丸の名簿4点が新たに開示されました。500人以上の朝鮮人が犠牲になった浮島丸の沈没から、まもなく79年を迎えます。

 私が厚生労働省に開示請求していた浮島丸の名簿が、新たに4点開示されました。3月に開示された3点、5月に開示された12点と合わせて、これで計19点の名簿が開示されました。これまでに開示された名簿と同様、乗船者の氏名や生年月日、本籍地などが記されている箇所は、「個人情報」だとして全てマスキングされています。  また、名簿以外にも、死亡した朝鮮人徴用工の遺族への補償(扶助料)の支払いをめぐって日本政府が在日本朝鮮人連盟と行った折衝の経緯を記した文書などの関連資料を数点開示されま

    • 米軍ヘリ墜落20年-闇に葬られた日米合同委員会合意と米軍をかばった日本政府

       沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学に米軍普天間基地所属のCH53D大型輸送ヘリが墜落した事故から今日で20年を迎えた。普天間基地周辺の市街地上空を米軍ヘリが低空で飛び交う状況は、あの時から何も変わっていない。私は2010年に出した『日米密約 裁かれない米兵犯罪』(岩波書店)という単行本の中で、この事故について書いた。事故から20年という節目に改めてこの事故について考える材料にしてもらえればと思い、該当部分をここに再録する。 大学が占領された  イラクの治安が急速に悪化していっ

      • 浮島丸事件・韓国訪問レポート

         韓国で浮島丸事件(※)の問題に取り組む諸団体の招待を受けて、7月16日から20日まで韓国を訪問しました。   ※浮島丸事件=終戦直後の1945年8月24日、朝鮮人徴用工らを帰国させるために青森県の大湊港を出港して韓国の釜山港に向かっていた海軍特設輸送艦「浮島丸」が京都・舞鶴湾で爆発・沈没し、500人以上の朝鮮人と日本人乗組員25人が犠牲になった事件。    厚生労働省は今年3月、私の情報公開請求に対して、「浮島丸乗船朝鮮人名簿」などと表紙に記された文書を開示しました。日本政

        • 浮島丸事件-新たに12件の乗船者名簿が開示。しかし前回開示された情報も「外務省との調整」で不開示に。

           日本政府が長年「存在しない」と説明してきた浮島丸事件の乗船者名簿が実は存在していた(※私の情報公開請求に対して厚生労働省が開示)というニュースは、韓国で大きな反響を呼んでいます。 遺族団体、日本政府に真相究明と謝罪を要求 浮島丸事件の遺族団体(浮島丸事件被害者賠償推進委員会)代表の韓永龍(ハン・ヨンヨン)氏は共同通信がこのニュースを配信した翌日(5月24日)に声明を発表し、これまで乗船者名簿を存在しないと偽ってきたことについて、日本政府に真相究明と謝罪を求めました。韓氏は

        浮島丸の名簿4点が新たに開示されました。500人以上の朝鮮人が犠牲になった浮島丸の沈没から、まもなく79年を迎えます。

        • 米軍ヘリ墜落20年-闇に葬られた日米合同委員会合意と米軍をかばった日本政府

        • 浮島丸事件・韓国訪問レポート

        • 浮島丸事件-新たに12件の乗船者名簿が開示。しかし前回開示された情報も「外務省との調整」で不開示に。

          政府が「ない」と説明してきた浮島丸事件の「乗船者名簿」、やはりあった!

           終戦直後の1945年8月24日、日本に強制連行された多数の朝鮮人らを乗せた海軍特設艦(*)「浮島丸」が京都府の舞鶴湾で沈没し、500人を超える犠牲者を出した事件をめぐり、これまで日本政府が「存在しない」と言ってきた乗船者名簿の存在が明らかになりました。厚生労働省が3月、私の情報公開請求に対して開示しました。  概要はこの共同通信の記事の通りですが、私のnoteでは開示請求を行った当事者の視点でもう少し詳しく解説したいと思います。   *特設艦とは、民間の船を海軍が徴用して

          政府が「ない」と説明してきた浮島丸事件の「乗船者名簿」、やはりあった!

          沖縄県知事は最高裁判決に従って辺野古埋め立てを「承認」しなければならないのか?―行政法研究者の見解

           沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設をめぐり、行政法の研究者らが国会内で記者会見を開くというので参加してきた(10月5日)。  この前日、沖縄県の玉城デニー知事は、埋め立て工事の設計変更(軟弱地盤の地盤改良工事の追加)を承認するよう求める国土交通大臣の指示を事実上拒否する政治判断を行っていた(正確には「期限までの承認は困難」と回答)。これに対してSNS上では、「最高裁判決に従わないのか」「行政の長なのに法治主義を無視するのか」といった批判が浴びせられていた。  国土交通大臣

          沖縄県知事は最高裁判決に従って辺野古埋め立てを「承認」しなければならないのか?―行政法研究者の見解

          【防衛省概算要求を読む①】日本版「中距離ミサイル」の「量産開始」前倒しへ

          当初予算6兆円突破は確実 防衛省は本日(8月31日)、来年度(令和5年度)当初予算の概算要求を決定し、その概要をウェブサイトで公表しました。  「これまでの延長線上にあるものとして行う防衛力整備事業」に5兆5947億円を計上する一方、いわゆる「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」(骨太方針2022)予算については金額を決めない「事項要求」として盛り込みました。これを含めれば、史上初めて当初予算が6兆円を突破するのは確実です。  今日は、概算要求で私が一番気になったことを書

          【防衛省概算要求を読む①】日本版「中距離ミサイル」の「量産開始」前倒しへ

          日米共同訓練に参加する米陸軍「マルチドメイン・タスクフォース」とはどんな部隊?

           現在、九州の陸上自衛隊の駐屯地や演習場を中心に、陸上自衛隊と米陸軍の共同訓練「オリエント・シールド」(OS)が行われている。陸上自衛隊からは約1400人、米陸軍からは約700人が、この訓練に参加している。  今回のOSの最大の“目玉”は、米本土から「第1マルチ・ドメイン・タスクフォース」(MDTF-1)が参加していることだろう。  このMDTFとは、いったいどのような部隊なのか? そして、この部隊が日本にやってきて陸上自衛隊と共同訓練を行うのには、どのような意味があるのだろ

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          70年前、米軍の行動を規制する「行政協定案」は、なぜ実現しなかったのか①

           前回の記事で、外務省が1950年12月に作成した日米行政協定(現在の日米地位協定の前身)の「草案」が最近公開されて、それが意外なほど「まとも」で驚いたという話を書いた。  「沖縄タイムス」に続き、沖縄のもう一つの地元紙「琉球新報」も本日、この「草案」に関する記事を掲載した。 米軍の基地外での訓練や移動を規制し、国民への影響を最小限に抑えようとした  この「草案」で、私が最も注目したのは、米軍の基地の外での行動を規制しようとしていたことである。   たとえば、米軍が基地の

          70年前、米軍の行動を規制する「行政協定案」は、なぜ実現しなかったのか①

          72年前に外務省が作成した「草案」が浮き彫りにする日米地位協定の異常さ

           沖縄の地元紙「沖縄タイムス」は本日、1面トップと3面で日米地位協定に関係する記事を掲載した。私も取材に協力し、記事にコメントが掲載されている。以下が記事のリード文である。  現在の日米地位協定は1960年の日米安保条約改定と同時に締結されたものであるが、その大部分は1952年に結ばれた日米行政協定の内容を継承している。その最初の「草案」とみられる文書が、今年4月に公表されたのだ。   同文書のタイトルは「軍隊駐在に関する技術的問題の研究」。1950年12月に作成され、表紙

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          72年前に外務省が作成した「草案」が浮き彫りにする日米地位協定の異常さ

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          復帰50年、変わらぬ沖縄の現実-ルポ再録

           5月15日。今日、沖縄の”本土復帰”から50年を迎えた。1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効し、日本は独立を回復した。しかし、同条約によって沖縄は日本本土から切り離され、引き続き米軍の統治下に置かれた。沖縄の施政権が日本に返還されたのは、それから20年後のことであった。 思い出した13年前のある事件  今月8日、沖縄県北谷町の国道58号線で米軍普天間基地所属の海兵隊上等兵が運転する乗用車が歩道に乗り上げ、歩いていた男性をはねる事故が起きた。歩いていた男性

          復帰50年、変わらぬ沖縄の現実-ルポ再録

          沖縄・南西諸島を米軍の「盾」にするアメリカの戦略とは

          海兵隊が「戦力設計2030」の改訂版を公表  米海兵隊は5月初め、「戦力設計2030」の年次改訂版(Force Design 2030 Annual Update)を公表しました。 「戦力設計2030」は米海兵隊が2020年3月に公表した報告書で、今後10年間で取り組む組織変革の大枠を定めたものです。これをアップデートしたのが、今回の改訂版です。  改訂版の中に気になる記述がありました。  沖縄を本拠地とする海兵隊(第3海兵遠征軍)が、米海軍(第7艦隊)や自衛隊と共に、ス

          沖縄・南西諸島を米軍の「盾」にするアメリカの戦略とは